第66話 第三章 『護衛するのだぞ? 同居生活は当然であろう!』(25)

 いやホント、すっかりセクメト共々テンションが上がってきたのだが・・・いっぽうのハチは。このあと夕食の支度を・・・と思っていたらしいのだが、大荷物を持ったまま新市街と二往復もしてしまって、さすがに疲れたらしい。

 買ってきた食材を、冷蔵庫(あの冷蔵庫が小型になって各家庭にあるとは!)に入れてから、結局先日の店に食べに行こうということになった。

 うう、妾たちのせいでほんとうに申し訳ない。

 早く料理とか家事を覚えて、経済面と労働面で少しでもお役に立たないと!


 しかし、ショッピングモールとの往復から薄々気付いていたのだが(今もそうだ)、どうも道で行き交う人々が、妾のことをチラチラ見ているのが気になる。

 気のせいかとも思ったが、為政者たるもの、他者の視線や気配には敏感なのだ。

 普段から臣民の空気感とかは大事だし、暗殺されるリスクもあるので、殺気をつかむことも大変重要なのだ。だからおそらく錯覚ではあるまい。

 しかし・・・この時代の衣服も着たし、王家の装飾品も外している。

 妾のどこに違和感を感じて、こちらをちらちら見ているのだろうか?


「なあ、ハチ。妾は周囲の視線を感じるのだ。殺気とかではないので害は無いのかもしれないが・・・どうにも気になる・・・服とか、何かに問題があって浮いているのだろうか?」

 質問をすると、少し笑い出したではないか!

 それはないだろう、こちらは真面目に気にしているというのに。

「ああ、ごめん。それはたぶんだな・・・」

「たぶん、なんだ?」

 笑われたので、ちょっとだけムッとして。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る