第56話 第三章 『護衛するのだぞ? 同居生活は当然であろう!』(15)

 人の気配でふと振り返ると、クレオが心配そうな顔で覗き込んでいる。

「・・・申し訳ない。そなたの蓄えを散財させてしまったようで」

 下を向き、明らかにしゅんとしている。

 さすがにセクメトナーメンのほうも、申し訳なさそうだ。

「いや! そこは気にするな・・・と言っても無理か」

 俺は、彼女の肩を叩き、わざと砕けた調子で言ってみる。

「たしかにちょっと無理はしたけど、ホラ、これから護ってくれるわけだろ? いわば命を護ってくれるお返しなんだからさ」

 だがファラオというだけあって、根は真面目なのだろう。

 やはり俯いたままだ。

「クレオ。『大王の血脈』が俺で、そしてこうしてオマエと出会えたのは、なにかの縁だと思っている。きっと意味がある・・・だから気にするな」

 自分でもイマイチ、いや、だいぶフォローになってないとは思ったが。

 女子との交際経験とかあれば、もっと気の利いたことが言えたのだろうか。

 だが彼女は、少し顔を上げながら呟いた。

「そなたは・・・ほんとうに優しいのだな」

 ◇◇

 俺たちは、この大荷物を持ったまま買い物を続けるわけにもいかないので、いったんアパートに持ち帰り、再度出向くことにした。

 服だけでは日常生活は出来ない。

 彼女たちの日用品などを揃えるため・・・と・・・そうそう、肝心の食材も買わないとな。

 食いしん坊のファラオ殿が、空腹で倒れてしまいかねない(笑)。

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