第51話 第三章 『護衛するのだぞ? 同居生活は当然であろう!』(10)

 そのせいか、近代になると、『クレオパトラは伝わっているほど特段美女ではない』という説が持ち上がっている。

 一方で近年、彼女の妹アルシノエ四世の顔が復元された時に美しかったので、姉のクレオパトラも美人だったという話もある。

 ・・・まあ、要は顔つきが分かっていなかったのだ。

 さらに顔の話以前に、クレオパトラの外見は『アフリカ系褐色美女』『マケドニア朝の流れを汲むギリシャ系白人美女』という二説あり、これも昔から論争のタネとなっていた。

 ・・・だが、目の前の本人を見る限り、マケドニア系ギリシャ美女ってことで決まりな訳だ。

 歴史上の謎が、リアルに目の前で解消するって、考えてみればすごい経験だぜ!

 つまりは、クレオパトラはたしかに美女だったという訳で。

 だってなあ・・・実際、昨晩連れて帰る途中でも、衣装が古代エジプト王族のままだったとはいえ、周囲はめちゃめちゃ注目していたもんなあ・・・あれは本人の美しさが大きいと思う。

 あと、オーラも・・・こう、高貴というか近寄りがたいというか。

 でも幸い、向こうが屈託なく接してくれるので、会話出来ているようなところがある。

 ◇◇

「・・・で、その間に、冷蔵庫から卵を取り出してだな・・・」

 翌日は朝から、サンドイッチの作り方を実演中。

 家事の基本の中でも、まずは「食」からというわけだ。

 そもそもクレオは、食いしん坊だしな。

「ハチ、卵の中身をフライパンに落とした。このあとふわふわにするにはどうすれば?」

 クレオは積極的な習得にかかっていて、なかなか覚えるのが早い・・・のだが、いかんせん家事の類は全く未経験なので、朝からキッチンで格闘中だ。

 けっこう大変そうだ。

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