第50話 第三章 『護衛するのだぞ? 同居生活は当然であろう!』(9)

 実は彼女には話さなかったが、名前が有名だから目立たない呼び方に変えたい、という理由のほかに・・・もうひとつ理由がある。

 それは、彼女の類まれな容姿だ。

 考えてもみろ。

 繰り返しで恐縮だが・・・なんといっても、栗色に近い柔らかなブロンドから始まって。

 色白のきめ細かい肌、見る者を吸い込んでしまいそうなブルーの瞳。

 ウエストが折れそうなほど華奢なボディーなのに、めっちゃ巨乳。

 そこいらのモデルとかアイドルなんて、まるでメじゃない。

 な? これで目立たないはずがない!

 しかも、あの贅を尽くしたファラオの衣装だろ?

 そんな目立ちまくりの容姿をしているところに、トドメとばかりに、クレオパトラって名前じゃ・・・MAXで人目を惹いてしまうことこの上ない!

 しかも、常に付き従う侍従長セクメトナーメン。

 彼女も相当の美女だ。

 そんなウルトラ美女が、ひとりのみならずふたりもいたら、目立つなんてもんじゃない。

 イルミナティ以外の衆目を引き付けまくりだよ。

 はあ。


 ・・・だけど、そうか!

 彼女の容姿・・・で、長年、議論されてきた有名な問い『クレオパトラ七世は、はたして絶世の美女であったのか?』の答えが分かったわけだ。

 そもそも、クレオパトラ存命中の彼女の絵画や彫像といったものは、残っていない。

『絶世の美女』というのは、後世の哲学者や歴史家の著作を基にしたものなのだ。

 唯一、クレオパトラ存命中に残っている肖像は、アントニウスが作らせたエジプト貨幣に彫られた横顔だが、ちっちゃいコインなので美人かどうかなんてわかりゃしない!

 しかも横顔だし。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る