第43話 第三章 『護衛するのだぞ? 同居生活は当然であろう!』(2)
「しかし・・・俺は日本人だぞ? あ、いや、マケドニアから地球の裏側にあたる地域の出身なわけだから、大王の子孫なんて、ありえないんじゃないか?」
「ハチ・・・否定したい気持ちは分かる。だが妾の時代ですら、エジプト王国は遠く南米大陸のコカインや、インドの香料を求めて活発に交易していたという事実がある。その頃からさらに二千年もの時間があったのだぞ? 血脈が世界のどこに広がろうと不思議はなかろう?」と、言いつつ、さらにダメを押す。
「それに、そなたは命を狙われた・・・これはイルミナティもそなたを『大王の血脈』とみなしている、なによりの状況証拠ではないのか?」
・・・・
彼は、黙る。
表情からして、理詰めの説明に納得したようだ。
「・・・本当に俺が、かのアレクサンドロス大王の直系なのか?」
重い口を開く。
「間違いない。なにしろ、こちらに時間跳躍する術式も大王直接編纂の珠玉のものだ。その術式がそなたの危機に引き合わせたのだから疑う余地は無い」
「・・・・」
「それに・・・」
まずい、自分でも真っ赤になっていると分かる。
「それに?・・・あっ」
ハチも『その時のこと』を思い出したらしく、途中で口を閉ざし、慌てて俯く。
「そうだ・・・そ、その・・・『一番確かな方法』で、か、確認・・・したのだから・・・間違いない・・・」
うう、妾ともあろうものが。
由緒あるプトレマイオス朝のファラオであり、かの大王が結成した栄えあるマケドニア騎士団長であるこの妾をして、噛んでしまったではないか・・・。
「ええっ?」
セクメトのやつが、突然飛び上がる。
やはり・・・彼女には刺激が強いよな。
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