第27話 第二章 『さあキスをしよう! 話はそれからだ』(18)
「いや・・・だって・・・まずいだろ・・・」
「何がだ?」
クレオパトラのやつ、本当に分かっていないのかな?
真顔で聞いてくるぜ・・・。
俺だって、彼女の欲しい健康な男なんだし・・・。
だが、そうはいっても妙案は浮かばないので、俺の下宿先のアパートに向かうことにした。
「・・・わかった。それじゃ俺の家に行こうか」
「ありがたい、とても助かる。それに」
「それに?」
「うむ、常時そなたを護らねばならないのだから、それが一番効率良いのだ」
「・・・・」
また意味不明なことを・・・。
とりあえず、じっくり話を聞くのは帰宅してからにしよう。
こんな街中でどうしようもないしな。
俺は彼女を促し、自分のアパートの方向に歩き出す。
すれ違う人たちが皆振り向いて彼女を見る。
それはそうだろう。
これだけの美女ならば当然だ。
本来なら、これだけの美女を連れて歩く俺は、もっとドヤ顔になってもいいと思う(どうだ? 俺の彼女だぜ・・・みたいな感じで!)。
だけど、あまりに美女過ぎて俺とは全く釣り合っていないので、誰も俺が連れているとは思っていないんだろうなあ・・・。
美しいだけじゃない。こういったコスプレイヤーのような格好をしていても、どことなく気品を感じさせるのだ。
つまり・・・こう、うまく言えないが、彼女には凛とした佇まいとか、高貴な者が身に纏う独特な雰囲気がある・・・これは、簡単に醸し出すことが出来るものではない。
こういったことも、俺が本物のクレオパトラだと思い始めている要因なのかもしれない。
・・・・
そろそろ日が傾いてきたが、暗くなる前に着きそうでよかった。
というのも中東では、都市部でもちょっとはずれた住宅街となるとインフラが未発達なので、街灯も少なくかなり暗いのだ。だから治安も良くない。
こういうとき、俺の母国である日本のインフラは、やはり凄いんだなぁと感心せざるを得ない。
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