第18話 第二章 『さあキスをしよう! 話はそれからだ』(9)

 偶然にしちゃ・・・出来すぎている気がする・・・これはいったい何を意味するんだ?

 しばらく面食らっている俺に向かって彼女が言う。


「ずいぶん驚くのだな。だが妾の魔術であればこのくらいのことは容易い」


 魔術だって?


 俺はさらに、混乱の渦に叩き込まれる! そんな馬鹿な!

 いくら神秘学を追及している俺でも・・・さすがに実在しているとは、にわかには信じがたい。

 ・・・と、思ったが。

 では、言葉が急に通じたことはどう説明する?

 俺は頭を掻きながら、自らに問いかける。

 ダメだ・・・どうにも説明がつかねぇ・・・。

 だが、頭の混乱を一瞬にして切り替えさせてくれたのが、あらためて間近で見る彼女の容姿だ。

 年のころは、俺と同じくらい・・・かな。

 高校三年生か大学一年生か、というあたりだと思う。

 ・・・一番目立つのは、栗色に近いブロンドに、宝石のような碧い瞳。

 背丈は俺と同じくらいだが、全体的にとても華奢な体つきだ。

 いや、訂正する。

 ウエストは折れそうなほど細いのだが、胸が・・・大きい、とにかくデカい・・・しかもチュニックドレスの胸元が大きく開いており、巨大な谷間が・・・エロ過ぎる。

 とにかくすげぇ、これが巨乳ってやつだな・・・。

 やべぇ・・・危うく乳を凝視してしまうところだった・・・事案になっちまうぜ。

 だけど仕方ないよなぁ・・・なんたって俺は彼女持ちになった経験が皆無だ。

 その、だから・・・こんなエロいビジュアルの女の子に対する耐性が低いというか・・・そんな俺にこのスタイルは、目の毒すぎるってもんだ。

 それに、透き通るような白くキメ細かい肌をベースにした目鼻立ちが、恐ろしいほど整っていて、顔自体の造形が・・・そう、美人というよりは『美形』という表現のほうが、ふさわしい。

 このまま古代ギリシャ彫像『美の女神』になってもおかしくない。

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