第13話 第二章 『さあキスをしよう! 話はそれからだ』(4)
今、俺が向かう先は、ホワイト教授が陣取っている研究棟の一室。
そこの一部屋を俺が使わせてもらっている。
紙袋を長椅子に置き、ポットの湯を沸かす。
コーヒーでも淹れてさっそく取り掛からねえと、終わらないからな。
◇◇
作業を開始して、早くも数時間が経過。
デスクや周りに広げた文献に埋まりそうになりながら、格闘している。
あっちこっちの参考文献(リファレンス)をたどってチェックする話なので、地味な割には手間のかかる作業なのだ。
ここは電子化が進んでおり、たいていの文献はクラウドに収納されているので助かるが、電子化の進んでいない施設だと広い図書館を駆けずり回る羽目になる。そうなると最悪だ。
俺はデスクから立ち上がってストレッチをすると、進捗をチェックする。
・・・よしよし、かなり進んだ。教授の言う半日もかからず終えることが出来そうだ。
さすが俺ってところかな。
ここで、気分転換もかねて市街まで散策に出る。
エルサレムと言えば、三大宗教(キリスト教・イスラム教・ユダヤ教)の三大聖地として名高く、エルサレム神殿を始めとして考古学的遺物が数多い。
俺は考古学者であると同時に、趣味で神秘主義の研究にも手を出している。
神秘主義っていうのは、そうだなあ・・・分かりやすいキーワードを言うと、キリスト教で出てくる奇蹟(イエスが病者を治癒するとか)や、魔術とか・・・いわゆる古代より宗教と共に伝えられきた秘儀を意味するものだ。
もちろん、現代に魔術は存在しないと思うが、個人的にはその可能性に興味がある。
もしかしたら、現代では廃れているだけで、過去にはあったのではないか・・・とか。
そして、イエスが歴史上登場したこのエルサレムこそ、神秘主義の研究対象には事欠かない宝庫だ。
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