第11話 第二章 『さあキスをしよう! 話はそれからだ』(2)
教授は、ますます楽しそうに笑って、
「嘘よ。ハチは頭いいから、あたしの性癖を利用して『言語体系』ジャンルから仕上げたでしょ? お見通しなんだから」
ウインクをする教授は、本当に楽しそうだ。
「と~ってもうまいこと考えたけど。惜しい、あと一歩ね~」
ううっ、完全にお見通しってワケか・・・いいアイデアだと思ったんだが。
「そんなにがっかりしないで。相手の思考回路を逆算するのは対人折衝の基本でしょ?」
そうだった。
ホワイト教授の凄いのは、考古学教授でありながら、考古学だけではなくそれ以外の分野も実に博学なのだ。
数学・物理学・生体科学・心理学・言語学といった具合だ。
それぞれの分野で先進的な論文も発表していて、実績充分。むろん各界にも顔が広い。
MIT(マサチューセッツ工科大学)、ロシア科学アカデミー、アメリカ国務省、ペンタゴン(アメリカ国防総省)、イスラエル科学アカデミー、果てはヴァチカンまで。
噂ではラングレー(アメリカ中央情報局CIA)にまで、かなり強力なコネがあるという。
今回のこの大学への短期留学も教授のコネだとか・・・なんたってエルサレム工科大は、機密管理が厳しいために外部からの研究者を拒む・・・というのが、学界でも有名だからだ。
まあそういった感じで、正直、ちょっと得体のしれないスーパーレディーだ。
ただの大学教授とは格が違う、というところだ。
さらに凄いのは、そういった知識を単に知っているだけではなく、実践してしまうところだ。
この人からは、まだまだ学ぶことが多い。
俺は、本当にいい師匠を見つけたと思っている。
リスペクトしているせいか、こういうふうにやり込められても、別に嫌味な感じは一切ない。
いつものことだしなぁ(苦笑)。
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