第1話
声のみで粗暴行為と揶揄されそうな絹を裂いた猫騙し的怒号が響き渡る、右手には斧、身に着けているのはレインコートという
最早言い訳も通じない程にTHE殺人鬼という格好であるが左手にあるのはハゲたオッサンの首である
得物はオッサンから簒奪した由緒もないホームセンター産の代物だ、一部始終という名で生命を謳歌しているこの男はバイトした事があるから分かる
先ほど甘い青春を送っていた女子高生と男子高校生に殺意を向けているに飽き足らず行動にまで移そうとしていたので投げ飛ばした所…
まぁ運が悪くオッサンの首は何故か縦向きになっていた斧の刃に逆再生されたギロチンの如く、どこぞの中世が喜びそうなことになってしまったのだ
「えーっと次はあっちだなァ!?」
まるで次にどこに何が起きているか分かっているかの如くオッサンの首を右方向へ全力投球すると首の断面から血が噴き出る
そして同時に現れたトラックの運転手の目線全てが赤い液体で埋まり【一部始終】の後ろ側を滑り転びながら斧を両手に握りしめると今度は左方向へ全力疾走していく
高校生カップルは置いてきぼりだろう、この後の彼が起こす展開にて後日新聞記者や警察官たちからインタビューを受けるだろうが何を答える事もできる事はない。
さて一方通行の看板をもぎ取り信号をも同時に無視するという補導不可避な事をすれば、そこには先程見事なトリプルアクセル横転を披露したトラックがあり荷台の上へとよじ登る
ソイツ…とある機関に移送される筈であったクラゲの様な質感の熊が荷台から現れると、何らかの背骨で彩られ作られた大槍を握りしめながら【一部始終】に向き直る
一瞬の交差だった
頭にホームセンター産の木こり斧と一方通行の看板を叩きつけられたクラゲ熊の頭蓋骨は粉砕骨折された、だが代わりに【一部始終】の脇腹も一センチほど抉り取られており止まらぬ血が手繰り寄せたのか
ありとあらゆる場所から空気を嗅ぎ取る力が無ければ避けれないだろう凶刃が彼を襲うが、まるで初めから分かっていたかの如く後転し目の前に斧を全力で振るう
グチャリという肉が引きずられる様な音が響くと同時に空中へと飛び込まれてしまった【一部始終】は感と言いたげに適当な場所に斧を投げるとそこで刃は空中で静止し、その後重力に改めて従いながら【一部始終】と共に地面へと叩きつけられる
「ぐっべぇ!あぁクソなんだあの透明な化け物よォ!血が止まらねぇし痛ぇしよぉ!」
透明な山に突き刺さる斧を引き抜きながら失神から復活しつつあるクラゲの様な熊の頭を完全に砕く為に歩きつくと
すぐさまに繰り返し行われる上下行動は顔に青い血が飛び掛かる度にクラゲ熊の身体が震えていくが小さくなっていく動きと共に反対に振り下ろす強さがどんどんと強にメモリを移しているだろう
最早砕くを越えて無くなっていた故かコンクリートに突き刺さり砕ける斧の刃が彼のストレス度数を表していると言える、ホームセンター産と言えど最も品質が良かったソレが砕ける程に怒っているのだ。
「イライラするなぁオイ、なんで俺がこんなヒーローみたいなことを凡人の身でやらなくちゃあ行けないんだァ!?」
突如として空から現れ落下攻撃を仕掛けて来るソレの運転席に向かって斧を投擲すると【一部始終】の命の代償にとトラックのガラスを貫通し運転手の命も奪い去りながら落下時により大爆発を引き起こした
今という瞬間を一生懸命に生きている【一部始終】という男ははこの時に死んだ、死んだ筈であったがまさかどこぞの中世なファンタジーに転生するなど考えれることでは無かっただろう。
「畜生めぇ!あんなとこでまたトラックだと!?次の時にはなんだ前もって灯油タンクと導火線でも組み合わせた爆破物でもぶつけてやるしかねぇか!?
クソ前もって準備出来る時間が一日しかねぇってのにどうすりゃいいんだ、あの時の防刃チョッキが約に立たなかったから捨てるか?
…となるとあのクラゲ熊に対する準備が変わるな、爆破物の作成と言えど数個なら一日で…というか最後のあの運転手の女誰だったんだ?
クソいらつくが仕方ねぇ、時間は無駄に出来ねぇんだ、ちょうど木の匂いがするし導火線の材料に…木の匂い?なんだ死に場所が変わったのか?」
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