珈琲は甘くないと飲めない


 角砂糖を一つ二つ、珈琲の中に入れている。


「昔は砂糖もミルクも入れなかったのに」

「大人ぶってたんだよ、無理してたんだ」


 もう一つ彼は入れる。


「これからは好きな物を好きにしたい」

「……本当にこれで良かったの?」


 不安になって訊くと、呆れたように彼は笑い、


「家より君が大事」


 私の手を握った。

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