四月一日


彼女が喋るたび、

口から桜の花弁が溢れる。

毎年四月一日限定で、

嘘をつくと花弁を吐き散らす。

だから口論の最中でも、

余裕をかましていられる。

嘘だから。

どこで折れるか探っていると、


大っ嫌い!


そう叫んだ彼女は、

花弁を溢さなくて。

僕は慌てて謝る。

私もと言ってくれた時、

花弁はなくて安堵した。

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