ソウゾウ / 柚菓

追手門学院大学文芸同好会

第1話

 突然だが、私は超能力者だ。

 想像したものを現実に作り出せる能力を持っているのだ。それなのに誰もこの力をわかってはくれない。


 ◆


「また漫画かアニメの話?」

「漫画じゃなくて、ほんとに私の力なんだってば!」

「あー、はいはい」


 学校からの帰り道、友人のナツがまたか、と言うように笑いかけてくる。


「あの飛行機もそうだよ、だってあんな鉄の塊が何の不思議な力もなく空気の力で飛ぶなんておかしいでしょ!」

「飛行機は揚力で飛んでるでしょ」

「その揚力も私が作ったの!」


 可愛い猫も自信作だし、すごく便利なスマホだって、と私が言っても彼女は前からいるし、アップル製でしょ、なんて言って聞く耳を持たない。そういうことじゃないんだよ、と不満げに口を尖らせていると、彼女はしょうがないな、と口を開く。


「じゃあさ、こんなのいるわけないでしょ、ってくらい変な生き物とか作ってみてよ。」

「うん、いいよ、任せて!」


 ちょうど作ってみようと思っていた動物がいた私は、その提案にのっかかる。約束だからちゃんと覚えててね、と念を押して私たちはそれぞれの帰路についた。


 ◆


「これでどう?」


 翌朝、私は自信満々でスマホの絵をナツに見せた。


「キリンじゃん」

「こんな変に首が長くて、体を支えられるのがおかしいくらい足も細いなんて、意味不明でしょ!調子に乗ってツノまでつけちゃった。しかも5本!」


 私の話を聞いて彼女は呆れたようにため息をつく。それでも私はほんとだよ、と言うことしかできない。私の能力は発動すると、どういうわけか世界の法則が調整されてしまうのだ。どうやったら伝わるんだろうとぼやく私に、でもさー、と彼女は優しい声で語りかける。


「あんたがどんなウソつきだとしても、私はずっと友達でいてあげるからね。……もう出会って5年かぁ、早いね」


 なんてとびきり可愛いくて優しい笑顔を私に向ける。私もそうだね、と答え彼女に笑いかける。




 そういうあなたも昨日私が作った友達なんだけどね。







 あとがき

 世界五分前仮説的なアレです。

 締め切りごめんね。


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ソウゾウ / 柚菓 追手門学院大学文芸同好会 @Bungei0000

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