迷宮探索 4

 集合時間となり、街の南門へと到着すると、他のクラスメイト達もすでに集まって来ていた。


 それぞれ、自分の武器を手に集まっている。


 初めて触る物でもあり皆凄くテンションを上げていた。


 他の仲間に自分の武器を見せびらかしている者、自分の武器をじっと眺めている者など色々であった。


 それ見ていたテイルは、


「皆無事に武器を手に入れられたみたいだな。それじゃあ森へと向かって出発しようと思うがいいか!」


「はい!」


 声そろえて返事をするクラスメイト達。


 チームごとに別れて南門を出るとき、空は既に赤みを帯び始めていた。


 俺達は一直線に迷宮のある森を目指す。


 その道中、


「まずこれからのことについて少し話しておくぞ。まずは森に入ったら開けた場所を探す。そこで今夜は野宿して夜を明かすわけだ。その際にチーム後に別れて見張りをしてもらう。順番に関してはチームで相談して決めてくれ、これから冒険者をするうえでかなり大切な事だから慣れておいて損はないぞ」


 テイルさんの言葉で、それぞれのチームのリーダーが話し合いをした結果、最初は一班、次に二班、最後に三班が見張りに就くことになった。


 草原を歩いている間モンスターと遭遇することもなく森へと到着することが出来た。


 その頃にすでに空も暗くなってきて視界も悪くなってきていた。


「ここから森に入るが、モンスターとの遭遇した時の戦闘は俺に任せてくれ。まだ戦闘経験のない君たちには少し難しいからな。その代わりに周りにモンスターがいないかよく見て、もし現れたら俺に報告してくれ」


「分かりました!」


 村西が代表で返事を返した。


 それから、森に入り数回の戦闘はあったものの、テイルさんが全ての戦闘を引き受けてくれたこともあり皆無事に目的に開けた場所へと到着した。


 到着するとすぐ、俺達は今日の野宿ための準備へと取り掛かる。


 チームメンバーの内二人でテントの設営、残り二人は森の中へと薪拾いに行くことになった。


 薪拾いにはテイルさん同行の上で全三チーム合計六人で固まっていく。


 俺達のパーティーからは村西とレナが薪拾いに行くことになり、俺と滝がテントの設営をすることになった。


 村西とレナが他の薪拾いのメンバー達と薪拾いに向かった後、俺達一人一つテントの設営を行っていた。


「音無、これだけは言っておくが調子にだけは乗るなよ!」


 テントを張りながらそんなことを言ってきた。


「村西はお前のことを頼りにしているみたいだが、俺はお前のことを必要とは思ってね! それに戦闘のときに力のないお前足で纏いにしかならないんだ! 分かってるだろうな」


 どう答えたものか?


 少し迷ったが、


「分かったよ。 戦闘時は二人に頼るしかないからね」


「まあ、理解してるならいい」


 それだけ言うとその後は一言も発しずに黙々とテントを設営していった。


 それから暫くして、テント設営が終了した頃、薪拾いに行っていたメンバーが返ってきた。


「よし! それじゃ薪に火をつけて焚火の準備だ。それが出来たところから夕食にする」


 テイルさんからの指示に従い、それぞれのチームごとに焚火の準備をしていく。


 拾ってきた薪を円を作るように薪を並べる。その中心に火の魔法を発動することが出来る魔法陣の書かれた紙を置き、テイルさんに魔力を流してもらい火をつける。


 それぞれのチームでも無事に焚火への完成と夕食も終了することも完全に夜も更けていた。


 俺達のテントを張っている周りに小さな置物を四つ囲むように置いていくテイルさん。


 俺やレナ以外に気づいた者はいないようだ。テイルさんが置いている四角い置物、俺はモンスターの意識をそらすための結界を張る道具でった。


 神の世界にも同じ物があり、神になったばかりの者達やソロで依頼に行く者達が、よく使っていた。


 四つの置物をそれぞれの隅に置くことで結界を張ることが出来る。いくら見張りの練習をさせるとはいえ、戦闘未経験の者にこんな火の明かりしかないない中での戦闘は無理と言うものである。そのためこのような結界を作り見張りの危険なく見張りの経験を積まそうとしているのであろう。


「それでは今から一チームを残し、就寝に入る。大体に時間ごとに見張りは交代して、最後は俺が見張りに就く。ではまず一班が見張り、それ以外の者達は就寝だ! 明日は迷宮探索に入るからよく疲れを取るんだぞ!」


「はい!」


 返事の後すぐ、それぞれ焚火の火を消しテントの中へと入っていく。


 俺達も自分達の焚火の火を消しテイルさんの使っていた焚火の元へ集合する。


「よし、まず二時間見張り頼んだぞ!」


 テイルさんはそれだけ言って自分のテントに入っていった。


 静かな夜、村西達は気づいていないが周りに貼ってある結界のおかげで何もなくこの夜を過ごすことが出来るだろう。


 だから、


「少し周りの見回りをしてくるよ」


「危ないよ!」


 俺の言葉に対して心配そうに聞いてくる。


「大丈夫、レナと一緒に行くからそれに三十分程で帰ってくるよ」


「お前! 俺はさっき言ったよな調子に乗るなって! なのにリーダーの言うこと聞けないのか!」


 俺にたいして物凄い剣幕で噛みついてくる滝。


「そんなんじゃないですよ。ただ、ここで見張りをしていてもしょうがないですし、もしモンスターを見つければ早めに危険を知らせることできるでしょ」


「そうだね、じゃあ見回りは音無君達に任せた! その代わり危険なことはしちゃだめだよ」


「了解!」


「はい!」


 俺とレナは返事を返してから見回りに出かけた。


 それからすぐ、村西と滝が話始めた。


「村西はどうして、音無に好き勝手させるんだ!」


「別に好き勝手させてるつもりはないよ。今回の見回りだって私も必要だと感じたから受け入れただけだよ。それに、音無君達には何かあるんだと私は思っているんだよ」


「なにかってなんだよ?」


「それは分からないよ。でもきっと私達になにか隠し事をしていると思ってる」


 滝には村西の言っている事が理解できなかった。この世界ではただの落ちこぼれ、向こうの世界ではただのがり勉の陰キャラの音無になにがあるんだろうか? 滝には勉強しかできないもやしにしか見えないのであった。


 それに、滝にとってはそれ以上に頭にきていることがあった。


 音無が滝の大好きなアイドルレナと一緒にいたこと、呼び捨てにしている事、このことがどうしても許せなかったのである。


 そんなこともあり、音無に対して過剰に怒りをぶつけてしまうのである。





 村西と滝と別れ見回りを始めた俺達は、残っている二人から完全に離れている事を確認してから


「レナ、フィート達と連絡を取るぞ」


「そのために見回りにでた?」


「そうだ。向こうの現状と明日のことで少し話しておきたいこともあるしな」


「わかった」


 俺は宝物庫から神の世界で採用されている通信用の道具を取り出す。電波などを使っていない物になるためこの世界で問題なく使えるはずだ。


 形自体はスマートフォンと似ているが少し違うところである。それはこの危機電気で動かず持ち主に気を流すことで動かすことできるのだ。


 俺はフィートを呼び出す。


 待つこと数分、


「もしもし、びっくりしたよ~! いきなりかけてくるんだもん」


 少し眠そうな声でフィートが通信で出た。


「悪いな。周りに誰もないか?」


「リナだけだよ。でも、こっそり離れるのは少し大変だったよ」


「悪かったな。早速なんだがそっちの状況を教えてもらえるか?」


「こっちは、街を出てすぐに指導教官の冒険者の模擬戦闘があったわよ。その後に、四人一チームを三つ作らされたわ。その後は、武器を買いそろえて、迷宮の近くにある森で今野宿中だよ。それとチームごとに二時間ずつ見張りをするようにって指示が出てうわ」


 今のところは俺達と全く一緒か。


「俺達と全く同じか、明日の予定については何か聞いているか?」


「迷宮での戦闘訓練をするくらいしか聞いてないけど、野宿での見張り番のことを考えるとたぶん順番を決めて班ごとに戦闘を行うんじゃないかと思うよ」


「俺も同意見だ。だからそこで試そうと思っていることがるんだ」


「何を?」


「班としての戦闘を二回ほど行った後でいい、フィートとリナで一回ずつ個人戦闘を行ってくれないか? 判断はフィートに任す。こっちも俺の判断で実行するつもりだ」


「了解! でも私達の正体ばれるようなことしていいの」


「それも考えたんだが、出来るだけ最初の内にこっちの世界での俺達の能力がどれだけ使えるのは確かめておきたいんだ。だから、どんな技を使ってもいい。向こうとこっちでどれだけの差があるかを確かめる」


「了解! リナにも伝えとく」


「頼んだ!」


 それだけ言って通信を切った。


 それから、リナに明日のことを話して西村た達の元へと戻っていく。


 

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