第一章 四話 友達への相談
その夜、愛ちゃんからLINEがきた。
<私はできるよ>と。
それを見て、よかったと思った。絵里さんはどうだろう。まだ、返信はない。なので、
<ありがとう。でも、まだ絵里さんからLINEきてないからもう少し待っててもいい?>
そう送った。愛ちゃんからは、
<いいよ、わかった>
と、きた。愛ちゃんは気が長い方のようでよかった。待つことができる女性だと思う。
それから約一時間後。ようやく絵里さんからLINEがきた。
<だいぶ遅れてごめん。今、彼氏が来ていて、何時に帰るか分からないんだ。だから、今回はごめん>
そういう内容。散々待ったけど、こうなってしまった。まあ、仕方ない。絵里さんの都合が悪いみたいだから。
僕はその旨を愛ちゃんにLINEで伝えた。なので、今回は絵里さん抜きで通話するか。通話していいかどうか訊いてみると、OKのようなので繋げた。
<もしもし>
<幹人さん、こんばんは。相談ってなに?>
<そのことなんだけど、最近、仕事には無理矢理行ってるけど具合い悪くて……>
そう言うと、会話に間が空いた。次に話し出したのは愛ちゃんだ。
<あの……どういうふうに具合い悪いの?>
愛ちゃんは困った感じだったので、焦った。
<あ、ごめん、そうだよね。ただ、具合い悪いじゃ分からないよね。あの、ネットに書いてあったのは幻聴っていう症状らしくて、周りに誰もいないのに声が聞こえてくるんだ。気味悪くてさ……。どうしたら治るのかと思ってね>
再び僕らの間に沈黙が訪れた。
<それは、病気とか? 話を聞いているとそう思ったんだけど。霊とかは関係ないの?>
霊と言われてビビった。
<えっ、霊? 考えてなかったなぁ……。でも、もしそうなら気持ち悪いなぁ……>
<……あ、ごめん。気持ち悪がらせるつもりはなかったんだけど、もしかしたらと思って>
<もし、病気だとしたら何科にかかればいいんだろう?>
<うーん>
と、彼女は唸った。
<精神科? それとも心療内科? かな?>
<そうかぁ、どちらにしてもこの町にあるかな?>
考えているのか、返事がない。
<あ。一軒あるよ、山側の方にある病院。確か精神科専門だったはず>
<そういえばそうだね。あるわ。病院かぁ、嫌いなんだよな。注射とか薬を飲むのが苦手>
愛ちゃんは笑い出した。
<意外と子どもっぽいところあるのね>
僕も一緒になって笑った。
<調子悪いからそろそろ切っていい? ありがとね>
<いやいや、大したアドバイスも出来なかったけどさ>
そう言って電話を切った。
この調子で明日も仕事……。無理がある……。明日は月曜日。愛ちゃんに教えてもらった病院に行こうかな、有給休暇使って。でも、急すぎるかな。今、店長に電話するのもいいかも。そう思い、かけた。
店長はやっぱり体調不良だったのかと言っていた。一応、嘘をついてしまったことを謝罪した。だが、店長は大して気にもしていない様子だった。なので、怒られるかと思ったがそんなことはなかった。彼は多分四十代だろう、懐の深さを感じた。
有給休暇は取らせてもらえる、今度出勤した時にでも用紙を提出すればいいと言っていた。有難い、本来は遅くても前日までには出さないといけないのに。
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