国王の相談
王太子の任命式が終わり、グリーンウッド辺境伯爵の一家は、特別に国王の応接室に呼ばれていた。
「凄い豪華だね!」
グリーンウッド領は清貧を尊び、余り贅沢な装飾品などで飾らない為、豪華な部屋にシオンは圧倒された。
「ここは他国の来賓を招く部屋だから、舐められないように豪華にしてあるんだ。自国の国力を侮られる訳にはいかないからね」
なるほど、必ずしも贅沢は悪い事じゃないんだね!
「グリーンウッド卿、還らずの森の防衛は本当に大丈夫なのか?」
国王様が心配そうに言ってきました。
「ええ、思わぬ出逢いがありまして、今後は余程の事が無ければ大丈夫になりました」
「思わぬ出逢いですか?」
お父様は口下手なので、お母様が代わりに説明しました。
「なんと!森の守護精霊ですと!?」
森の守護精霊ドリアードのおかげで、魔物の力が弱まり対応し易くなった事を伝えた。
「ご心配ならお呼び致しましょうか?」
お母様は私の方を見ました。
「お母様?」
「シオン、契約を結んだ精霊なら、どんなに離れていても召喚できるわ。ドリアードさんを呼んでみて」
むむむっ!初めての事に上手くできるかわかりませんが、やってみました。
「シオンの呼び掛けに、ドリアードが参りましたわ」
国王とアーク王子も、ドリアード様の神々しい神気に唖然としています。私もそうでしたからねー!
「これは驚いた。精霊と言うより女神様のようではないか?」
「神々しいですね。流石はグリーンウッド家、こちらの想像を超えてきますね」
「私はシオンに助けられました。私の使命は現在還らずの森と呼ばれている森を管理する事でした。しかし、太古の昔に邪神によって封じ込められました。私の管理が行き届かないため、魔物が狂暴化し、通常よりも強大な力を秘めるようになりました。でも、私の力が行き届かいていけば、魔物は本来の力かそれ以下の力に弱まるでしょう」
国王様は我に返ると口を開いた。
「なるほど、それでグリーンウッド卿のカウス殿が王宮へ来れた訳だ。では─」
国王様が少し考えて言いました。
「もし、良ければ私のお願いを聞いてくれないか?無論、断ってくれても構わない」
おや?国王様のお願いとはなんでしょうか?
「実は、また帝国が活発に他国へ侵略を始めたのだ。知っての通り、我がユグドラ王国は大陸の真南に位置しており、西にはグリーンウッド辺境伯が防衛している還らずの森、南は海が広がり海軍が、北には山脈を隔てて帝国、そして東には、昔から友好国として付き合いのあるローズガーデン王国がある。この国にレグルス帝国が侵攻を開始したのだ」
!?
「我が国も帝国と隣接はしているが、険しい山脈と渓谷を抜けなければならない為、滅多に侵攻はないが、ローズガーデン王国は北側を幅広く隣接している為、日々帝国から狙われているのだ」
ここでアーク王子が補足説明をしてくれた。
「国王の言う通りで、我がユグドラ王国とローズガーデン王国は軍事同盟を結んでいて、いつも援軍を向かわせているんだ。ローズガーデンが陥落すると、次はうちの番だからね」
なるほど、なるほど?
「無論、今回も援軍を送る予定なのだが………」
国王様が言い難そうにしたことで察しました
「もしかして、グレイス公爵が情報を流していた国って………」
「そう、帝国だ。あやつはフォーマルを国王にして傀儡に出来ればよし、ダメなら帝国を内部から手引きして、ユグドラ王国を滅ぼし、帝国内での地位を約束されてたようだったのだ」
うわぁ~!かなりのクズですね!
「何処までの情報を流して、帝国の息の掛かった者を内部に引き込んだのかわかっていないのだ。軍を率いて援軍に向かっても、飲み水に毒を仕組まれたり、指揮官を後ろから暗殺されたりする可能性があるのだ」
それってかなりヤバイのでは!?
「………それで、親父に援軍に向かって欲しいと?」
お兄様が言いました。
「そうなのだ。魔物と違い、対人戦なので勝手が違うだろうし、同じ人間を斬ることに躊躇いもあるだろう。だが、お願い出来ないだろうか?」
国王様が頭を下げます。お父様はどうするのでしょうか?
「別にいいぞ?受けても」
!?
「本当にいいのか?」
「別に人を斬った事がない訳じゃないからな?それに─」
お父様はお母様に言いました。
「ようやく新婚旅行に行けるから」
えっ?
私はお父様を尊敬してますが、たまに付いて行けませんよ!?
ほらっ!お母様も赤くならないのっ!
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