最強の援軍!
「お父様、新婚旅行って…………?」
私はお父様に尋ねました。
「前に言わなかったか?還らずの森の防衛の為に、愛する妻を何処にも連れて行けなかったからな。これを機に、色々と連れて行ってやろうかなと思っているんだ」
「あなた………♪」
お母様はうっとりしながらお父様を見つめています。
「ま、まぁ~他国に行けるのは本当だし、ローズガーデン王国は、名前の通り『薔薇』が名産で、美しい薔薇園が有名なんだ。戦争が終わればゆっくり観光しても良いと思うよ」
アーク王子がフォローします。
「それで、戦況はどうなんですか?」
お兄様が現実的問題を尋ねました。
「まだ戦端が開かれたばかりで、戦況は拮抗しているとのこと。レグルス帝国は3万の兵力を投入し、ローズガーデンは2万5千を防衛に出した。今は様子見の段階だろう。しかし、帝国もまだ予備兵力があり、時間が立てば援軍を投入してくるだろう。故に、今すぐにでも出発しなければ、間に合わないのだ」
ここから隣国まで通常なら5日ほど掛かる。軍なら8日は掛かるのだ。確かに微妙な時間だね。
「わかった。ではすぐに出発しよう」
お父様が言いました。
「おおっ!行ってくれるか!?感謝する!だが、今日はもう遅い。御主達も今日きたばかりだ。本日は王城でゆっくり休み、明日出発してくれればよい」
国王様の言葉に私達は甘える事にした。
「あなた、領地の皆にも手紙を書いて帰りが遅くなる事を伝えなければなりません。今日ぐらいはゆっくり休みましょう」
「ああ、わかったよ」
その時、精霊ドリアードが提案してきた。
「それなら『転移』を使いますか?」
聞いたことのない魔法に首を傾げた。
「転移ってなに?」
「おや?この時代では消失したのでしょうか?転移とはそのまま、離れた場所に一瞬で移動できる魔法です」
!?
「なんだと!?それは凄い!」
国王様が1番反応しました。
「ただ、現時点では何処でも自由にと言う訳にはいけません。現在、還らずの森のグリーンウッド領ならば、私の力が充満しているので戻れます。他の地域では私の力が及びませんので、今は帰還のみならできます」
「いや、帰還のみでも十分だよ」
「そうだね。遠くに行っても、すぐに戻ってこれるのは助かるよね♪」
こうして私達は便利な力を手に入れたのでした。
そして、お城の豪勢な宮廷料理を食べた私達は次の日に出発しました。
「あれ?皆も付いてくるの?」
今回は、アーク王子に渡す武具を100人分を運んできたので、大人数でやってきました。約50人は居ます!
「当然です!カウス様が戦争に行くなら、我々もお供します!露払いぐらいはさせて下さい!」
おおっ!頼もしいですね♪
「お前達、これは強制ではない。命を掛けた戦争だ。妻子の持つ者は許可できんぞ?」
お父様の言葉に1人の兵士が前に出ました。
「カウス様!お言葉ですが、我々は日々命を掛けて魔物と戦っております。いつ死んでも大丈夫なように心構えは出来ております!」
「そうですよ!ここで領主様だけ戦争に行かせたら、嫁に半殺しにされますよ!」
あっはははは!!!
辺りに笑い声が響いた。
「………まったく、羨ましい限りだな。どんな逆境でも、信じて着いてきてくれる部下………いや、仲間は金貨100枚以上の価値がある!」
国王はグリーンウッド卿の兵士を見て、自分の理想がそこにあるのを見た気がした。
「よし、お前達に1つだけ命令を授ける!」
お父様が何か言い出しましたよ!?
「「「はっ!どんな命令でも、命を掛けて遂行致します!」」」
「では、命令だ!戦争終結まで、誰も死ぬな!ここにいる全員でグリーンウッド領へ帰るぞ!!!」
!?
兵士達は感動の余り、声が出てきません。
「返事はどうした!」
「「「謹んで承りました!!!」」」
兵士達はやる気に満ちています。
「グリーンウッド卿の強さの理由がわかった気がするな」
「ええっ、英雄に相応しい御方です!」
こうして、私達は隣国ローズガーデンへと向かうのでした。
「グリーンウッド卿よ、少しだけ待ってくれ!」
国王様が呼び止めました。
「これを渡しておこう」
国王様がバッチのような物を渡して来ました。
「これは?」
バッチは龍に剣がクロスしているデザインです。
「これは我がユグドラ王国の英雄の証だ。普段は必要ないが、戦争にはハッタリも必要だからな。持っていってくれ」
「わかりました」
お父様はそのバッチを胸に付けて出発しました。
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