王太子の任命式

普段は滅多に行かない王都にやって来ました!


やはり人の多さは流石は王都ですね。でも、建物やその他の技術力はうちの方がレベルは上でしょうね。


「ねぇ!見てあれ!?」

「なんて美しいんだ!」

「何処の貴族様だ?」


王都に入り、真っ直ぐ王城へ向かうグリーンウッド一家の馬車は真っ白いユニコーンが引いているため、注目された。


そうして王城へたどり着くと、アーク王子が出迎えてくれました。


「お待ちしておりました!ご無沙汰しております!」


深く最敬礼をするアーク王子に好感が持てました。


「ああ、大変だと聞いたからね。還らずの森も落ち着いたので家族でやってきたよ」


「辺境伯………いえ、師匠が来て頂ければ100人力ですよ!」


アーク王子は丁寧にグリーンウッド一家を案内した。


「すでに他の貴族は集まっております」

「うん?他の貴族?」


なんでしょうか?

私達はアーク王子に差し入れを持ってきただけなのですが?


「グリーンウッド辺境伯は領地防衛の為に、滅多に王城へ来れませんので、辺境伯の日程に合わせて本日、次の王太子を決める発表となったのです」


「えっ、そうなのですか?」

「正直、師匠………辺境伯が来てくれただけで私の勝ちは確定したも同然ですよ。これで内乱などになりません!お疲れでしょうが、謁見の間までお越し下さい」


えっ、私達は旅のラフな格好なんですが!?

シオンの言葉にアークは言った。


「いえ、グリーンウッド辺境伯様達はそのままで大丈夫です。ラフな格好とはいえ十分に見栄え致しますので」


そんなものかな?


取り敢えずアーク王子に続いて、謁見の間に着きました。


すでに多くの貴族が集まっていました。


「まったく、いくら父上でも早急過ぎないか?まぁ、僕が王太子になる日が早くなるのは良いのだが」


フォーマルは自分が王太子に指名されると思い込んでいた。


ざわざわ………

ざわざわ………


「なんてお美しいの!?」

「なんて素敵な御方なのなかしら」

「まるで妖精のようだ!」


普段は父親のカウスのみ登城していたため、他の家族の事を知っている者は殆どいなかった。

妻のスピカはエルフの為、こういう人前に出ることもほぼなかったからだ。


「誰だ?あれは?今回の主役は僕なんだぞ?目障りな………」


自分より目立つグリーンウッド一家に苛立ちを覚えるフォーマルだったが、すぐに国王が来場したことで怒りを飲み込んだ。


「まずは急な呼び掛けに集まって貰ったことに感謝する!本日は不幸にも亡くなった第1王子の代わりの王太子を指名する為に集まって貰った!」


ざわざわ!!!

ざわざわ!!!


「静粛に!そして、本日は初めて見掛けた者もいるだろうが、グリーンウッド辺境伯が家族で登城してくれた!」


謁見の間にいた貴族達の視線が私達に集中した。お父様も最低限のマナーは備わっていますので、貴族としての礼を取りました。


「では、自己紹介もすんだ所で、発表しよう。次の王太子となり、ゆくゆくは私の後を継いで国王となる者は─」


多くの貴族がフォーマルが指名されると思っていた。フォーマルの後ろ楯として連盟での署名を国王に提出したのだから。無論、見返りが約束されているからだ。


だが─


「アーク・ユグドラとする!」


!?


「………はっ?」


フォーマルは間の抜けた声を出した。自分が指名されると思っていたからだ。


ざわざわ!!!!

ざわざわ!!!!


「お待ち下さい!順当に行けば第2王子であるフォーマル様が王太子になるべきですぞ!」


即座に反論したのはグレイス公爵だった。

公爵の言葉に他の貴族達もそうだ!と反論してきた。このままでは、敵対した貴族として中央政権から追いやられてしまうからだ。


「明確な理由をお答え下さい!」


フォーマルはいまだに信じられず呆けているが、利権に目の眩んでいるグレイス公爵を筆頭に国王を批判していた。


「先ほど、私はグリーンウッド辺境伯を紹介したな?」

「へっ?…………はい?」


急に予想外の返答に返事ができなかった。


「今回、グリーンウッド辺境伯がアークを推した。それが理由だ」


!?


そこに別の者がカウスに声を掛けてきた。初老の男性であった。


「ご無沙汰しております。覚えておられますか?」


また貴族達の視線が辺境伯に注がれる。


「ああ、スカーレット公爵家の方だったかな?」

「はい、スカーレット公爵家が当主レジット・スカーレットと申します。それより、国王陛下の仰られた事は本当ですか?アーク王子の後ろ楯になると言うのは?」


お父様はスカーレット公爵にはっきりと言った。


「そうだ。我々はアーク王子を王太子に推した。支援として100人分の武具を持参した」


その言葉にスカーレット公爵は国王の方へ向くと高らかに叫んだ!


「我がスカーレット公爵家は『全力』でアーク王子が王太子になることを推します!」


そのスカーレット公爵の宣言は衝撃であった。高い地位の者の言葉は他の者を惑わす為、スカーレット公爵は中立を貫いていたからだ。


それが、グリーンウッド辺境伯が協力すると言っただけで追従したのである。


「それならば、我がイエロームーン公爵家もアーク王子を支援する事を宣言します!元々、我がイエロームーン家はアーク王子を推していたので、今まで以上に支援致しましょう!」


こちらは元々、民の為に活動するアーク王子にある程度支援していた公爵家である。しかし、大多数の貴族がフォーマルに付いていたため、大々的に支援はしていなかった。

もし、フォーマルが王太子になれば、敵対者を支援したとして、公爵家といえども権力を削られるのはわかっていたからだ。


こうして3大公爵家の2つがアーク王子の後ろ楯になると宣言したのだった。











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