第3話 スキ

不良A「うぅぅ…ってぇ…誰だゴラァァ!!」

不良B「大丈夫かよ!!やんのか??」

と彼らが言っていると、さらに不良Cが拳を当てられゴミ箱近くで座り込んでいる不良Aの所へに吹っ飛んだ。

不良B「っっ!!」

その様子を見て身震いしたBは私の財布を落とし、走って逃げていった。

不良A「あんのやろっ!逃げやがっ…て…」

そしてAとCの頭を鷲掴みにして、ギロりと睨みつけている男の子が

男の子「次、こんな汚ぇマネしてるの見かけたら血まみれにしてやるからな?」

と言い、掴んでいるAとCの頭をブンっと投げ飛ばし、彼らは走って逃げていった。

その恐ろしい光景を体験し、目にした私は腰が抜け、気づけば床にへたり混んでいた。

雫「…っ…(…とっ、とりあえず助かった…)」

現状を一部把握できた私は、次に助けてくれた男の子の顔を見上げた。

男の子「おいっ!」

雫「はっ!はい!ごごごめんなさい!」

男の子「はぁ?助けて貰ったら普通『ありがとう』だろ。じょーしき」

雫「あっ、ありが…とう…」

男の子「よし。ってかさぁ、女がこんな夜に出歩くんじゃねぇよ〜俺がいなけりゃ今頃お前、汚ねえ事されて、金まで取られてたぞ。」

雫「あっ、あの…牛乳を…」

男の子「はぁぁ??そんな事の為に真っ暗闇の中ココに来たのかよ!…はぁ〜」

と呆れた顔で頭を抱えている。

雫「本当に、ありがとう」

ニコッと、心の底から感謝した。

男の子「っ…お前、どっかで…」

雫「え??……ええええぇ!!?」

男の子「ええええ!?」

「「『姫野くん』『一ノ瀬さん』!?」」

姫野「お前、そんな弱々しかったか?」

雫「姫野くんこそ、なんか男らしすぎっていうか…」

姫野「……もしかしてお前も『夜変』なのか?」

雫「え?この性質は『夜変』ていうの??」

姫野「俺が勝手に読んでるだけだ。」

雫「へぇ……って!(やばい!え??姫野くんも私と同じなの??この事、バラされないよね!?)」

姫野「安心しろ。俺も家族以外にこの事は話してない」

雫「そうなんだ…(心読まれてる!?)へっくしゅ!」

姫野「…」

私がくしゃみをすると、彼は黙って上着を被せてくれた。

ふいだったので、胸がキツくキュンっとしまったような気がする…

雫「えっ、姫野くんが寒くなっちゃうからいいよ!」

姫野「黙って着てろ!俺は今暑いんだ」

雫「暑いって…(もう、12月だけど…)…ふふっ」

姫野「なんだよ」

雫「いーえっ。ありがとう。」

姫野「っっ(萌え袖…って何考えてんだよ俺!)」

そして、私が買い物を済まし、外に出るとまだ彼は立っていた。

姫野「お前ん家近く?」

雫「うん、そこのマンション。じゃあね!今日は本当にありがとう。それに、同じ『秘密』があって嬉しかった」

姫野「っ…あっそ。」

彼は何故かそっぽを向いていた。

スタスタと私が歩いている隣にまだ彼はいる。

雫「えっと…あの、何??」

姫野「俺もこっち方面だから。」

雫「そうなんだ。(き、気まずい!)」

マンションの前に到着し、

雫「じゃ、じゃあ、バイバイ。あっ、この上着返すね。はい。」

姫野「あ、そっか。じゃあ、また。」

私達は反対の方向へ進み始め、私がエントランスの扉を開けようとした時ー…

姫野「っおいっ!一ノ瀬!」

雫「ひやぁぁ!…ど、どうしたの??」

姫野「俺、お前の事好きだわ」

雫「…………へ??……ええぇぇ!?」

突然彼が放った言葉に、私は一瞬理解が追いつかなかった。驚いた私はとっさに

雫「わっ、私も。」

姫野「は!?…えぇ!?」

雫「えぇ!?」

無意識に私も返事をしてしまい、お互いがびっくりしているという、不思議な雰囲気になっていた。

姫野「…ぅあ…じゃ、じゃあ…また明日…」

雫「う、うううん…まままた明日…」

そして、彼はスタスタと帰って行った。

雫「(あっ、やっぱり帰る方向逆だったんだ…心配して送ってくれたのかな……ん?ちょっと待って。お互い好きって言ったって事は明日から恋人同士って事?だよね?ん?そこんとこどうなのー!?)」

色々な事が起きすぎた一夜に驚き疲れた私は、エレベーターに乗った途端、急に恥ずかしくなってきて、かがみこんだ。

雫「(待って。姫野くんも私を…ええぇ!)」

同時に嬉しくもあったので、ニヤニヤともしていた。

ーーー

涼「待て待て!俺、告(い)っちまった!?(ん?あいつは確かに私も。て言ってたよな?気のせいか?)…うぁぁー!もう1回聞きたい!どうだっけ…」

でも、両思いだったらいいな。そう贅沢に思っていた。

涼「…上着…いい匂い…て変態か!俺はァァ!」


これはまだ、『私達』『俺達』の恋の始まりに過ぎなかったー…

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ギャップ萌えどころじゃない! 長月 音色 @mameshibapatororu

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