第2話 救世主
家に帰ると、私は今日の体育の出来事が頭の中を駆け巡ってドキドキとしていた。
雫「あぁ…可愛い系かぁー」
と無意識に呟いた。
その時、ピンッと漫画を読もうとひらめいた。
ガチャ。
妹「ちょっとお姉ちゃん!いきなり入ってこないでよ!」
雫「まあまあ、あんた少女漫画とか大量に持ってるでしょ?」
妹「あぁ、その棚にあるけど…っていきなり何??もしかして好きな人でもできた?」
雫「ちーがーいーまーすー!ちょっと一応私も女だし少しでもこういうの読んだ方がいいと思って…」
妹「なーんだーま、お姉ちゃんハイスペック過ぎてそれに見合う男はあまりいなさそうだもんねぇ」
少し胸がズキンっとした。
雫「…ねぇ、紗雪は男子でカッコイイ系とカワイイ系の男子、どっちが好き??」
妹「えー何いきなりー……うーん…もちろんカッコイイ系だけど、カワイイ系も一生懸命愛してくれそうな感じはあるよねー」
雫「そうよね…」
ニコッと微笑んだ。
妹「…えっ!お姉ちゃんまさかカワイイ系の男子に恋しちゃったの!?」
雫「ばっ!!だから違うってば!!この漫画借りてくね!!」
バタンっ!と扉を急いで閉めて自分の部屋へ駆け足で戻った。
妹「へへぇ、あのお姉ちゃんが…でも『夜の性質』の事、忘れてないよね…」
そして、机の前の椅子に座るなり、妹に借りた少女漫画を読み始めた。
1分、10分、1時間と時間が経っている事も忘れ、案外面白くてその世界に入り込んでいた。
雫「…ふぅ、恋愛ってこんなに皆積極的なものなのね。でも、漫画を読んでいるとまるで私が男の子のキャラみたい…はぁ〜あ〜!!」
椅子から立ち上がると、近くのベッドに顔を押し付けて倒れ込んだ。
雫「気のせい気のせい!!あーもう忘れよ!!それに…『夜の私』は…」
そのまま、私は眠りについてしまった。だが、毎晩0時には1度目が覚める。
…私には、人とは違った性質がある。
それは先祖から母、妹、私と遺伝しているのだ。
それは、夜の0時〜6時の間に『人格が変わってしまう』。
つまり、もうひとつの私に変わってしまうのだ。
もちろん、記憶はある。自分自身が経験した事は共通しているがただ人格が変わってしまう。
…カチッ、カチッ、カチッっっ!
0時になり、私はパチリと目が覚めた。
雫「ふぁ〜あ…うぅぅ〜肌寒いぃ……ホットミルクでも飲もっと」
階段を降り、キッチンに立ち、冷蔵庫の中の牛乳をガサゴソと探す。
雫「あれぇ〜??ないなー…!!」
私の後ろに不気味が影が広がっていた
母「しーずぅーくー!」
雫「おっ…おかぁさん…」
母「まだ寝てないのぉ??アッハッハッ!」
雫「びっくりしたぁ…」
母「あれぇ〜?牛乳無いんだ!ハハハッ!」
この母の異様な様子は勿論、例の『夜の性質』である。
普段は口数も少なく、クールで仕事をテキパキとこなす母だが、夜になるとこうだ…ちょっとめんどくさい…
母「無いんだ無いんだ!アハハっ。じゃあ、そこのコンビニで買ってきて!」
雫「えぇぇ…夜だし、暗いし、怖いよ…寒いし…」
母「なーにいってんの!夜の探検だよ??ワクワクじゃない!アハッ」
雫「(普通は危ないから家に居て、お母さんが買ってくるものでしょ…)…分かったよ…」
夜の私は寒がりで暗いのが怖く外に出るのが億劫な上、押しに弱い。
つまり、母との相性は最悪…
そして、私は財布を片手に持ち、夜のコンビニへ向かった。
雫「うぅ…寒いぃ…もう眠気が覚めちゃったじゃない…(あっ、コンビニの前、ヤンキーさん達が固まってる…怖い…)」
決して目を合わせてはいけない。そう思った私は顔を背けたまま、コンビニの中に入ろうとした。
……と、その時
不良A「あっれぇ〜?君よく見ると可愛いねっ!」
不良B「こんな夜にコンビニ??いけないモノでも買うのかな〜??」
雫「っっっ!!(嘘…最悪…怖い。どうしよう…)」
ガクガクと足と手が震え始めた。
不良C「おいおい、震えちゃってんじゃーん。しゃーない、俺らん家であっためていくかっ」
不良A「いいねいいねぇ…スタイルも良いし、顔も…興奮しちゃうなぁ」
雫「えっっ!?ちょっ…声上げますよっ!」
不良B「上げてみろよ」
彼らの1人がバッッと手を挙げ、私は体を凍ばらせていると、片手に持っていた財布を取られてしまった。
不良B「返して欲しぃよなぁ??」
雫「(嘘っ…いつもの私の性格なら…でも怖い…)うぅ…」
不良A「あーりゃりゃ…泣き出しちまったよ。とっとと連れてこーぜ」
私の手が引っ張られたその時…
…ゴンッッッッ!!!ドカッ!ガタァァァン!
雫「…!?(誰!?)」
私の目に映ったのはー…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます