ギャップ萌えどころじゃない!

長月 音色

第1話 出会い

ー私には他とは違った性質がある。

ー俺には他とは違った性質がある。

何かって?それはー…


私「今日の体育何するかなー??」

ウキウキとした私は更衣室で次の授業の内容を考えている。

友達「雫(しずく)は体育の為に生きてるもんね。」

私「当たり前!勉強とか何が楽しくて進んでやろうって思えるのか。」

友達「でも雫ってテスト期間とか遊んでる割に成績はいいよねー不思議すぎるんだけど。」

私「えっ…えへへ…そうでもないよー」

次の授業の始まりを告げる予鈴が鳴り響く。

私「やばい!5分で着替えないと!」

友達「急げ急げー!」

私は、一ノ瀬 雫(いちのせ しずく)。

勉強嫌い、体育大好き!な高校生。

趣味は色々あるけど…それはまた今度で。

苦手なもの、本を読むこと。以上。


〜体育館〜

キュッキュッ…

私「こっち!!パス!」

とボールをこっちに渡すように声を上げた。

それに気づいた仲間は

仲間「!雫はいっ!」

私「…後はまかせて。」

と言って、目の前で私のボールを奪おうとする相手の動きを見ながらも、私はシュート出来るポジションを探した。

相手「(右…と見せかけて左ね!)」

キュキュッ

私「(かかった。)」

ニヤリと笑いながら、右、左、右、左、右と大きく素早いドリブルをし、私の手のボールを取れないでいる相手が非常に混乱している。

相手は足がもつれて倒れそうになった所を間一髪ドリブルをしたまま、彼女の片手で体を支えた。

私「ぉっっと…気をつけなよ。ケガされるのは私は嫌だからね」

そして、綺麗なフォームをボールに回転をかけて手から押し出した。

…スパンっという心地よい音がしたと同時に

「「「キャー!!!一ノ瀬さーん!!かっこいい!!」」」

と試合待ちの女子達の歓声が上がる。

友達「って、雫だけかいっ!」

と迷惑そうにかつ、呆れた様子であった。

汗をかいていたので、近くに置いておいたタオルを手に取り長い髪をかきあげ…

私「あぁ、ありがとう。みんな。」

とまるで宝塚の劇団員のような声で感謝の意を伝えた。

他のチームの試合の間は実に暇で、イライラする。

椅子に座り、左足を右足にかけて不機嫌な様子の私を見るなりギャラリー達は

A「しずくさんの試合今日も見れて幸せ〜♡もう女でもいいから抱いて欲しい…」

B「私達試合なんてしなくていいわよねぇ見るだけでいいわ!」

C「あぁ、不機嫌な彼女も素敵〜♡」

と見るだけでいいだのと、ありえない言葉を吐いていた。

友達「はぁ、雫って毎日疲れないの?まぁモテるのはいい事か。」

私「別にいいけど、女子にモテてもしょうがないわ。男にモテたいでしょ」

と言うと、彼女はニヤニヤとした表情で

友達「でもどんな人にモテたいの?好みとかあるわけ??」

私「…んんんー……なんだろ…自分より強くて、運動が出来て、背が高いやつ?とか??」

そう答えると、とてもガッカリして

友達「はぁぁぁーあーあのですね、雫さんや、そんな人この学校にいると思う??そこそこのスポーツ選手以外無理でしょそれ…」

私「そうなのかなぁ。」

ーーー

友達「おい、見てみろよ。あそこの女子全員一ノ瀬の応援してるんだってよ」

僕「へーーー」

友達「ってそんだけ!?ったく、姫野は本当に女に興味ねぇんだなぁ」

僕「だって、僕鈍臭いし、どうせ迷惑しかかけないからもし誰かと付き合っても守れないから…」

友達「うじうじと…お前は乙女か!!もし、今ボールが飛んできたらどうすんだ!」

僕「えぇぇ〜ゆうちゃん守ってぇぇ!」

と彼の体にしがみつく。

友達「おい!ひっつくな!わーったから」

僕「…えへへっ。ありがとう」

ニコッ。と彼から離れると同時に満面の笑みを浮かべた。

女子A「…あっ、姫野くんだ。」

女子B「本当だ!今日も可愛い〜癒される♡」

女子C「姫野くんって顔はイケメンなのに、いつも猫背で誰かにくっついて女の子っぽいよね。惜しいなぁ」

女子A「女子ともあまり話さないしね…」

友達「おいおい、言われてんぞ!お前本当にそれでいいのかよ」

僕「うぅ…よしっ!僕だって男だ!今からバレーの試合参加してくるよ!」

友達「おぅって、次俺らの番だからな(苦笑)」

そして、僕が堂々と先陣を切ってコートの中に入り相手とサーブ権を決めるジャンケンをしている時ー…

僕「じゃあ、最初はグー。じゃーんけーー……」

女子A「危ない!!!」

女子B「!!姫野君!!避けて!!!」

僕「えっ………」

僕が声のする方へ顔を向けると、大きなバスケットボールがこちらへ向かってきていて、もう無理だ。そう思って目をつぶり、体を強ばらせた。

………バシっっっ。

その音と同時に床に尻もちをついたが

僕「………??」

僕に当たるはずの大きく硬いボールが3.4秒たっても当たらない。

恐る恐る目を見開くと、そこには髪を束ねている少し茶色がかった髪の後ろ姿が僕の目に映し出された。

彼女は自分の方に振り向くと、片手にボールを持ったまま、

雫「大丈夫?怪我してない?私がこの体育館にいる限り安心していいよ」

と顔の半分が光に照らされ、もう半分が影になっており、高く整った鼻にキリッとした綺麗な目がより際立って見えて、その目が僕を見つめた。

その時不覚にも、その女子に少しときめいてしまった。

僕「…(かっ…カッコよすぎでしょ…)…あっ…あ、ありがとう…」

と少し照れながら、顔を横に背けて礼を言った。

雫「大丈夫?立てる?はい。」

と手を差し伸べてくれた。

またそのイケメンな行動にときめいてしまった…

僕「あっ、…ありがとう。」

ニコッと、彼女の顔を見上げて笑うと

雫「っっ…(待って、可愛すぎでしょ…)…よいしょっ」

と、僕を引き上げると…

雫「えっ!!君、案外背が高いのね(びっくりした…隣のクラスの姫…なんとか君だっけ。この子いつも猫背だからわかんなかった…だって、私173あるのに彼は180は普通にあるんじゃ…)」

とくんっ

雫「(ってないないない!こんな女の子みたいでか弱そうな男子なんて!)」

先生「おいおい!会話の途中悪いけど、試合だぞー!!早くしないと男子の成績ひいちゃうからなー」

僕「やばっ!じゃ!」

タッタッタッ

ーーー

友達「あ!雫〜〜さすがだねぇ。見てた私が惚れちゃいそうだったよ」

雫「…あっうん、なんか不思議な感じだったなぁ」

友達「姫野くん??」

雫「そうそう……」

友達「もしかして、気になってる??」

とまたニヤニヤと私の顔を伺う

雫「ばっ!違うわよ!ただ…ただ、気になっただけ…」

友達「気にしてんじゃん〜あははっ」

雫「もうっ!バカにして!」

頬をふくらませて、私はそっぽを向いた。

友達「ごめんって!」

私達が話している間をピーーーッという笛の音が入ってきた。

雫「(男子のコート??)」

友達「おっ!あんたが『気になってる』彼がいるよ〜」

雫「もうっ!・・・って姫野くん??」

と隣のコートをチラリと見ると、

男子A「姫野いけ!」

とパスを出す男子。

そして、とても高く宙に上がったボールをバシンっっと大きな手が打ち落とした。

雫「えっっ!!?(たっか!!!え!あの高さまで飛べるの??しかも、フォーム綺麗すぎない?)」

そしてそのボールは相手のコートの床につき、ピピー!という笛の合図とともに点が入った。

姫野「っし!決まったぁ」

と彼は嬉しそうにしている。

男子B「さっすが姫野ー!お前ってバレーと剣道だけ飛び抜けて上手いよなー」

姫野「なんか楽しいんだよね。でもよくボールにつまづくから気をつけないと(苦笑)」

友達「へぇ〜姫野くんカッコイイじゃん。こりゃ、ライバルは結構いるとみた!まぁ、頑張りなよ」

雫「……」

友達「雫??」

雫「うぁっ!な、なに??」

友達「ふふっ、もう顔真っ赤。」

雫「へぁっ!?もう、そんなんじゃないってば!(えぇぇ…ギャップスゴすぎでしょ…もしかして私…)」

また彼をチラリと見返す。

そうすると、私に気がついた。

姫野「(あれ?一ノ瀬さんこっちみてる…??)」

そして私に大きく手を振った

私「っっっ」

だが、半素直にそそくさと私は次の試合に備えて自分のコートへ向かった。

姫野「あれっ!?僕じゃ無かったのかなぁ…恥ずかしぃぃ〜」

男子A「どんまい!まぁ、一ノ瀬さんは美人で気高いって感じだからなぁ…惚れても希望は薄いぞ??」

姫野「好きになんてなってないよ!僕には恐れ多すぎるし。」

これが、「私」と「僕」の初めての接触だったー…

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