第7話 約束の地 アースガルズ

「地球が見えてきたな……」


 地球の衛星「月」の側面を、恒星間小型戦闘艇“スピットファイア”が周回軌道で横切る。

 そこから見える地球の姿は、かつての「青い」ものではない、茶褐色のよどんだ色をしたゴミ溜めのような老いぼれ惑星。


「もうすぐ地球の重力圏内だな、着陸予定地をニューヨークにセットしてくれ」


 スピットファイアに指示を出した。情報によると彼女が目撃されたのは、ニューヨークのスラム街。隠れるには絶好の場所だ。


 大気圏内に突入すると、機体はプラズマイオンジェットの逆噴射で降下速度を落とし、両翼を開いて、慣性飛行に移行した。

 まもなくしてケネディ宇宙港が見えてきた。宇宙船ゲートに軟着陸すると、すぐにチェックゲートに向かい、入星証を見せて、宇宙港の外に出た。

 

 赤色の酸性雨が降り注ぐ中、フードを被り、手を上げると、目の前でリニアホバーバイクが停止した。


「ニューヨークのブラウンズビルまで」

「……立ち入り禁止区域です」


 しかたなく、バウンティキラーの証明書を提示した。


「了解しました。崩壊地域のイエローゾーンまで、お連れします」


 シートにまたがり、すぐにゴーグルとマスクを装着して、準備完了の合図をした。


 ホバーバイクが急発進すると、辺りは一瞬にして暗闇に覆われた。ライトが灯す風景は瓦礫の山、人通りはまったくない。

 荒れた車道をしばらく走ると、街の明かりがポツリポツリと見えてきた。

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