102 スキルパズル

「よし、これでいこう」


 すべての準備を終えた俺は、「現実から逃げる」の時間停止を解除する。

 といっても、等倍には戻さず、0.01倍からのスタートだ。


 「現実から逃げる」の最中は、俺以外の時間が俺の指定した速度で流れるようになる。

 スマホの時計も影響されるので、準備にどれくらい時間がかかったかは体感でしかわからない。

 たぶん、二、三時間はかかったと思う。


 じゃあ、どんな準備をしたのかって話になるよな。

 流れに沿って説明したほうがわかりやすいと思うが、先に片付けておくべきものもある。


 たとえば、能力値強化系スキルの最後の一つである「幸運強化」。

 能力値強化系スキルをカンストさせると、組み合わせによっては特殊条件を満たし、ボーナスでスキルが手に入る。

 何が手に入るかは事前にはわからないが、条件が厳しいだけに強力なスキルであることは間違いない。


 しかも、他の能力値強化系スキルはすべてカンスト済みだからな。

 能力値は全八項(HP、MP、攻撃力、防御力、魔力、精神力、敏捷、幸運)なので、幸運との組み合わせは七通り。

 「幸運強化」をカンストさせれば、同時に複数の組み合わせで特殊条件を満たせる可能性が高かった。

 すべての組み合わせに特殊条件があるわけではないが、それでも二つや三つは当たるだろう。


 ……と、いうことで、ガチャを引く感覚で「幸運強化」を5に上げた。



《特殊条件の達成を確認。スキル「ホットハンド」を手に入れました。》


Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:スキル「攻撃力強化」と「幸運強化」をともにレベル5にする。

報酬:スキル「ホットハンド」

────────────────────

Skill──────────────────

ホットハンド1

クリティカルヒットが(5-S.Lv)回連続で発生すると、その後S.Lv回すべての攻撃がクリティカルヒットになる。戦闘が終了するとクリティカルヒットの連続発生回数及びクリティカルヒットの確定回数はリセットされる。

────────────────────



《特殊条件の達成を確認。スキル「確率効果無効」を手に入れました。》


Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:スキル「精神力強化」と「幸運強化」をともにレベル5にする。

報酬:スキル「確率効果無効」

────────────────────

Skill──────────────────

確率効果無効

確率で自分に不利な効果をもたらすあらゆる効果を無効にする。ただし、自分で使用したスキルの効果に伴って発生する不利な効果は無効化できない。

────────────────────



《特殊条件の達成を確認。スキル「危険予知」を手に入れました。》


Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:スキル「敏捷強化」と「幸運強化」をともにレベル5にする。

報酬:スキル「危険予知」

────────────────────

Skill──────────────────

危険予知

戦闘、非戦闘を問わず、自分に降りかかる大きな危険の兆候を予知できる。危険の兆候からは、危険の大きさと危険との時間的距離を読み取ることができる。

────────────────────



 組み合わせで達成できた特殊条件はこの三つ。

 七通りのうち三つというのはまあまあの打率だ。

 組み合わせボーナスも今回で最後かと思うと感慨深いものがあるよな。


 で、この三つのスキルは使えるかって話だが……。

 それぞれ強力だけど、今役に立つかというと微妙なとこだよな。

 唯一、「危険予知」が「土俵際」の上位互換になりそうかな、といった程度だろう。

 事前には何が出るかわからないんだからしょうがない。


 最終的に能力値強化系スキルの組み合わせで得られたボーナススキルは、「HP最大時攻撃力アップ」「MP破壊攻撃」「絶対防御」「ソリッドバリア」「エナジードレイン」「魔力暴走」「幽体生存」「魔法相殺」「幽体防御」「魔法障壁」「クイックドロー」「ホットハンド」「確率効果無効」「危険予知」の計十四個だ。

 強化系スキルの組み合わせは全部で二十八通り。

 その半数に特殊条件が設定されてたことになる。


 さらに、



《特殊条件の達成を確認。スキル「能力値成長率アップ」を手に入れました。》


Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:スキル「HP強化」「MP強化」「攻撃力強化」「防御力強化」「魔力強化」「精神力強化」「敏捷強化」「幸運強化」をすべてレベル5にする。

報酬:スキル「能力値成長率アップ」

────────────────────

Skill──────────────────

能力値成長率アップ1

レベルアップ時の能力値の成長率が(S.Lv×10)%増加する。

────────────────────



 ……というスキルももらったんだが……


「いらねえよ! すっげえ貴重だけど!」


 と、亜空間で一人叫んだのは言うまでもない。

 普通の探索者にとっては、とんでもないぶっ壊れスキルだよな。

 もし俺が普通の探索者だったら、まちがいなくこのスキルを最優先でカンストさせ、「極意書」で上限突破もしてるだろう。

 能力値強化系スキルの八種コンプ報酬になってるのも納得のスキルだ。

 でも、レベルを上げられない俺にとっては何の意味もないスキルなんだよな……。


 「幸運強化」以外にも取得したスキル、レベルを上げたスキルはいくつもある。


 まずひとつ目。

 「身体強化魔法」を1から5に上げた。

 それは、


「エンハンスパワー、エンハンスアジリティ!」


 この二つの補助魔法を使うためだ。

 最初のほうはホビットスモウレスラーが自己バフに使ってた魔法だな。


Skill──────────────────

エンハンスパワー

対象の攻撃力を高める。上昇幅は術者の魔力及び該当スキルのS.Lvに依存する。

【現在の効果】攻撃力+99.9%、600秒間

────────────────────

Skill──────────────────

エンハンスアジリティ

対象の敏捷を高める。上昇幅は術者の魔力及び該当スキルのS.Lvに依存する。

【現在の効果】敏捷+99.9%、600秒間

────────────────────


 効果はたぶんカンストしてる。

 この魔法の上昇幅は元の能力値の二倍にはならない範囲で、効果時間は10分が上限だってことなんだろう。

 もし青天井で上昇幅が増えるとしたら、今の俺の魔力だと効果がやばいことになりそうだもんな。

 残念だが妥当だろう。


 次は、


「『魔人化』!」


 俺の魂の奥から魔力が溢れてくる。

 俺の肌が紫みを帯び、血管が太く浮き出した。

 今は見えないが、髪も逆だって目が赤くなってるはずだ。


 これでHP以外の全能力値が三倍になり、そのペナルティで最大HPが半分になった。

 ただし「魔人化」のスキルレベルは1のままだ。

 スキルレベルを上げても効果時間が伸びるだけだからな。

 スキルレベル1でも15秒あるから、今の状況では十分だ。


「『魔神化』!」


 俺の魂に、何か途方もなく巨大な存在がのしかかってくる。

 これが邪神神話のTRPGなら正気度チェックが入ってるだろう。

 俺の瞳からは金色の光が溢れ、金色に染まった髪が天を衝く(自分では見えないが)。


 心の奥底から、圧倒的な全能感がこみ上げてくる。

 俺は無敵だ!

 もう何も怖くない!

 俺のメンタルは、クダーヴェも裸足で逃げ出しそうなオラオラ系俺様オーラに呑み込まれた。


 にわかに一級フラグ建築士と化した俺だが、実際、「魔神化」の効果にはそれだけ突出したものがある。


 「魔神化」によって全能力値がさらに10倍に。

 そのデメリットで最大HPが五分の一に。

 「魔人化」と効果が重複することは確認済みだ。

 「魔人化」と「魔神化」で、全能力値が30倍になり、その代償として最大HPが十分の一になった。

 「魔神化」も、上げるメリットがなかったのでスキルレベルは1のままだ。


 「魔神化」「魔人化」「エンハンスパワー」「エンハンスアジリティ」。

 これだけで、攻撃力と敏捷は30倍の+99.9%――ほぼ60倍になっている。


 だが、事前準備はこれだけじゃない。


「はあああっ!」


 俺は「魔力発勁」のスキルを使う。

 MPを消費して攻撃力を(S.Lv×10)%高めるスキルだ。

 これも、ホビットスモウレスラーが使ってたやつだな。

 久留里城ダンジョンで手に入れた「奥義書・急の巻」で取得可能になっていた。

 もちろん、スキルレベルは5まで上げている。


 これで、MPを消費する代わりに攻撃力がさらに1.5倍になる計算だ。

 60倍の1.5倍で90倍。


 ホビットスモウレスラーは「相撲」でも自バフをかけてたが、今回はそれは使えない。

 クダーヴェの上で四股は踏めないからな。

 今の攻撃力で四股なんて踏んだら、さすがのクダーヴェでも墜落しかねない。

 他にも攻撃力に自バフできるスキルはあるんだろうが、俺の知る限りで、武器種を限定せずに使えるのはこれだけだ。


 事前のバフを整えたところで、俺は視界の隅の数字に意識を向けた。


 x0.01


 この表示を、


 x0.1


 に。


 超スローモーションがスローモーションへと加速する。


『す――さ――ま――じ――い――な――ッ!』


 クダーヴェのセリフも十分の一倍速で聞こえてくる。

 どうやら自分の頭の上でバフをかけまくった俺に気づいたらしい。

 人間だったら冷や汗でも流してそうな口調だな。


 が、そこはさすがのクダーヴェだ。

 0.1倍速だというのに、迷う素振りも感じさせず、空隙ブランクに向かって加速する。

 時間停止を解いたことで、空隙ブランクが再び俺の認識をすり抜けるようになった。

 シュプレフニルの「繊維」は、流星雨のような軌跡を描きながら、全周囲から俺とクダーヴェに迫ってくる。


 「繊維」をギリギリでかい潜るクダーヴェ。

 頭の上の俺のことなんかお構いなしの乱暴な空中機動だが、十分の一倍速なら対処はできる。

 敏捷も60倍になってるからな。


 「土俵際」は発動しっぱなしだ。

 いつ土俵から転げ落ちるか気が気じゃない。


 一方、覚えたばかりの「危険予知」に反応はない。


 その理由を、いったんx0.01に戻して考えてみる。


 十数秒(主観時間)ほどで答えが出た。


「そうか!」


 「繊維」の一本一本は俺を殺すのに十分な攻撃だから、「土俵際」は反応する。

 だが、クダーヴェがそのすべてを避けてるので、「危険予知」は反応しない。

 致命的な攻撃だが、当たる未来はないってことだ。


 この「危険予知」と「土俵際」の微妙な性質の違いのおかげで、俺は安心して攻撃に専念できる。

 「危険予知」が反応しないなら、即死級の威力はあっても俺には当たらないということだ。

 機動と回避はクダーヴェに任せればいいと確信が持てた。


 x0.1


 俺とクダーヴェにたかってくる白い「繊維」が増え続ける。

 ブラックチョコに対するホワイトチョコの割合が増え、視界が白で埋まっていく。


 クダーヴェは、その光景に怯むどころか獰猛に牙を剥き出しにした。


『悠――人! 征、く、ぞ――ッ!』


 クダーヴェが十分の一倍速でそう吼えた。


 空間を埋め尽くす白い「繊維」。

 さしものクダーヴェもすべてはかわせない。

 メギドブレスで灼き払うが、クダーヴェの飛翔速度が速すぎて、自分のブレスに突っ込むはめになる。


『ぐ、が、あ、あ、あ、あ … … ッ ッ ! !』


 自分のブレスに身を焦がすクダーヴェ。

 だが、そうしていれば白い「繊維」に捕まることはない。

 「危険予知」の反応。

 俺はクダーヴェの頭の上に身を伏せる。

 俺の頭上をメギドブレスの残滓が過ぎた。

 「土俵際」の反応であれも即死級だとわかってしまう。


『あ、そ、こ、だ! あ―そ―こ―を―狙―え―ッ!』


 クダーヴェが翼の先で「穴」を指す。

 空隙ブランクの密度が濃く、俺の目は焦点を結ばない。

 だが、クダーヴェは頭をそこへ向けている。


 俺はアイテムボックスから「草薙剣」を取り出した。


 今回の攻撃の核はこれだ。


 ミスは絶対許されない。


 俺は時間の速度をx0.01に下げる。


 スキルの組み立ては決まってる。


 その中心に選んだのは、


Skill──────────────────

武器投げ6

武器を投げつけることで大ダメージを与える。与えるダメージはその武器の攻撃力のS.Lv倍に比例する。

命中したかどうかにかかわらず、投げた武器は砕け散る。

────────────────────


 やっぱりこれだ。


 「極意書」も「武器投げ」に使った。

 これでスキルレベルの上限が6に。

 さらに、SP20万強を突っ込んで、スキルレベルを6に上げた。

 もったいないという気持ちは正直あるが、ダメージ倍率を考えるならこれがたぶん最適だ。


 「武器投げ」には、いくつか相乗できるスキルもある。


「『投擲』、『投げナイフ』、『苦無投げ』、『投剣』――」


 「投擲5」、「投げナイフ5」、「忍術」の下位スキル「苦無投げ」。

 「草薙剣」は剣としては刀身が短いため、「投げナイフ」や「苦無投げ」もスキルの適用範囲に入ってくる。

 「奥義書・破の巻」で取得可能になった「投剣」も取って、スキルレベルを5まで上げた。


「『ブルズアイ』、『ロックオン』、『狙撃』――」


 命中補正のスキルも乗せる。

 今回の標的は空隙ブランクなので、攻撃を避けられるおそれはない。

 だから、命中率を気にする必要はない。

 それでもこの三つを乗せたのは、相乗させるスキルを増やして規則の刻み込みを確実にするためだ。

 あって邪魔になるわけでもないからな。

 他のスキルとの兼ね合いもあって、スキルレベルは上げてない。


 乗せられるスキルはまだまだある。


「『自爆攻撃』、『渾身の一撃』、『捨て身』、『諸刃の刃』――」


 攻撃の威力を上げるために、からくり系連続撃破で手に入れた「自爆攻撃」と、鬼系連続撃破のボーナスだった「渾身の一撃」をそれぞれ5に上げた。

 「奥義書・破の巻」で取得可能になってた「捨て身」、「急の巻」で取得可能になった「諸刃の刃」も5にして乗せる。

 「捨て身」は、攻撃後に敵からの反撃に弱くなるが、空隙ブランク相手なら関係ない。

 「自爆攻撃」や「諸刃の刃」の反動ダメージは、「セルフダメージ軽減」と「サバイブ」「リバイブ」でフォローできる。

 対象が空隙ブランクだから、そもそも反動ダメージが発生しないという可能性もある。

 自動で発動するスキルでは、能力値強化系スキルの組み合わせボーナスの「HP最大時攻撃力アップ」も乗ってるはずだ。


 まだ、ある。


「『スタン攻撃』、『重撃』、『ヒットストップ』、『MP破壊攻撃』――」


 攻撃に追加効果を付与するタイプのスキルだ。

 クローヴィス戦で活躍した「スタン攻撃」「重撃」「ヒットストップ」。

 能力値強化系スキルの組み合わせボーナスからは「MP破壊攻撃」。


「『ノックアウト』、『強奪』――」


 毎度おなじみ「ノックアウト」と「強奪」。

 HPを1だけ残す「ノックアウト」は、普通なら攻撃力が下がるスキルだな。

 でも、今回の対象は空隙ブランクだ。倒す倒さないの話じゃない。

 「強奪」も、空隙ブランクには効果がないだろう。空隙ブランクにはステータスがないからな。

 それでもこの二つのスキルを乗せたのは、規則の刻み込みに厚みをもたせるためだ。


『悠―人―ッ! 備―え―ろ!』


 クダーヴェの声。

 さっきまで視界を埋め尽くしてたのはシュプレフニルの「繊維」だった。

 だが、今や俺の視界は空隙ブランクで埋め尽くされている。

 「ある」と同時に「ない」、「ない」と同時に「ある」、「ある」んだか「ない」んだかわからないシロモノに埋め尽くされ、俺の視界が酒に酔ったようにグラついた。

 職場の先輩にテキーラの一気飲みを強いられたときみたいな感じだな。

 自分の感覚は信じられない。

 クダーヴェを信じてやるしかない。


 最後に、忘れてはいけない仕上げがある。


 それは、


Skill──────────────────

スキルバースト

そのスキルを失う代わりに一度だけスキルの効果を100倍にする。


「失ったスキルは二度と取得することができなくなる。」は「賢者の石のかけら」によって消去された。

────────────────────


 こいつだ。


 見ての通り、「賢者の石のかけら」でデメリットを削除した。

 威力を求めるなら「スキルバースト」の効果100倍は見逃せないからな。


 さらに、この「スキルバースト」を「切り札化4」の切り札に設定。

 SPの都合で「切り札化」を5にすることはできなかったが、それでも「スキルバースト」の効果を(S.Lv×25)%――100%上昇させる。

 これで、「スキルバースト」の効果が倍に。

 スキルの効果が「200倍」になるってことだ。


 この倍化「スキルバースト」を、失っても再取得可能なすべてのスキルにかけていく。


 「魔力発勁5」「武器投げ6」「投剣5」「投げナイフ5」「投擲5」「ブルズアイ2」「狙撃2」「捨て身5」「諸刃の刃5」「スタン攻撃3」「重撃3」「ヒットストップ3」。


 「切り札化」「スキルバースト」の効果でこれらのスキルの威力がそれぞれ200倍になる。


 もちろん、対象となったスキルは失われる。

 だが、「賢者の石のかけら」で、「スキルバースト」の「失ったスキルは二度と取得することができなくなる」というデメリットは削除した。

 そのスキルに注ぎ込んだSPが無駄にはなるが、逆に言えば、SPさえ貯めればまた取得できるということだ。


 ただし、特殊条件のボーナスで手に入れたスキルは、「スキルバースト」の対象にはしなかった。

 ダメージ的には妥協だが、特殊条件以外で取れるかどうかわからないスキルを失いたくはないからな。


 もうおわかりだろう。

 この一撃の威力は200倍の200倍の200倍の……

 スキルごとに効果が違うから正確な計算はできないが、もはや計算するのもばからしい威力になるはずだ。


 x0.1


 x0.01


 x0.1


 時間の速さを調整しながらその時を待つ。



『悠――人!  こ、こ、だ、ァ、ァ、ァ――ッ――!!』



「俺のありったけを……くらええええええっ!」



 俺の手から「草薙剣」が射出される。


 それはもはや、投げるなんて現象を超えていた。


 十分の一倍速のはずの空間を、エメラルドに輝く神器が一瞬で切り裂く。

 今の俺の60倍になった敏捷をもってすら、剣の軌跡すら見えなかった。

 ただ、後に残されたエメラルド色の直線が見えるだけだ。


 エメラルドの斬線は、空間そのものに刻み込まれていた。

 斬線は、鋏で布を裁つように、空隙ブランクをエメラルド色に染めていく。


 神話の英雄が野火の拡がる葦原を切り裂いたときのように。


 「草薙剣」は空隙ブランクを切り裂き、この世界の一部へと換えていく。

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