47 ねんがんのスキルをてにいれたぞ

 特殊条件はまだ――まだまだ、あった。



《特殊条件の達成を確認。スキル「妨害魔法」を手に入れました。》



Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:「Cランク以上のダンジョンのフラッドをソロで収める。」

報酬:スキル「妨害魔法」

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Skill──────────────────

妨害魔法1

各種状態異常を対象に付与する魔法の体系。

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《特殊条件の達成を確認。スキル「二重詠唱」を手に入れました。》



Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:「Bランク以上のダンジョンのフラッドをソロで収める。」

報酬:スキル「二重詠唱」

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Skill──────────────────

二重詠唱1

呪文の音節に複数の意味を持たせることで、二つの魔法を同時に詠唱することができる。(50-S.Lv×10)%詠唱時間が長くなる。

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「いいじゃないか!」


 フラッドで地上に溢れたモンスターは、編成という単位に縛られなくなるらしいからな。

 それに対抗できるように、対複数用の魔法スキルをくれたということだろう。



《特殊条件の達成を確認。スキル「ショートテレポート」を手に入れました。》



Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:「Bランク以上のダンジョンの2ランクアップフラッドをソロで収める。」

報酬:スキル「ショートテレポート」

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Skill──────────────────

ショートテレポート1

空間を飛び越え転移する。転移可能距離は(S.Lv×2)メートル以内。再使用には(60-S.Lv×10)秒が必要。ダンジョンの壁を通り抜けることはできない。

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「おお、これもすごい!」


 戦闘中に敵の不意を打つのにも使えるが、俺の場合は「逃げる」と併用するのもよさそうだ。

 前逃げの際に敵をすり抜けるのに使えば、一瞬だけだが敵は俺の姿を見失う。

 貴重な逃げゲージの時間を稼げるだろう。

 「逃げる」の最中に逃げエリアの外縁に沿ってテレポートすれば、ひょっとしたら逃げゲージを切らさずに緊急回避ができるかもな。



《特殊条件の達成を確認。スキル「エバック」を手に入れました。》



Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:「フラッドを発生から15分以内に収める。」

報酬:スキル「エバック」

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Skill──────────────────

エバック

ダンジョンを脱出する。効果はパーティ全体に及ぶ。戦闘中は使用できない。

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「うわっ、シンプルに便利なのが来たな!」


 エバック――緊急脱出って意味だっけ。

 説明不要の超便利スキルって感じだよな。

 とくに但し書きがないので、フラッドの最中にダンジョンを抜けることもできるんだろう。

 フラッド収拾の報酬でもらえたスキルなんだから、フラッドの最中でも使えると考えるのが自然だろう。



《特殊条件の達成を確認。スキル「リバイブ」を手に入れました。》



Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:「致死ダメージの攻撃から任意の方法で二回以上生還する」

報酬:スキル「リバイブ」

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Skill──────────────────

リバイブ

一日に一度だけHP0からHP最大で復活する。

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 なるほどという条件だが、


「俺以外に誰が満たせるんだよ、これ」


 神様的に言えば、条件が特殊だからこそボーナスが強力であることに説得力を持たせられる、ということらしいが。


 これで「サバイブ」「リバイブ」「幽体生存」を使って合計3回致死ダメージをくらっても生き延びられる。

 あんな痛い思いを三回もしたくないけどな。



《特殊条件の達成を確認。スキル「セルフダメージ軽減」を手に入れました。》



Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:「自分の攻撃で自分のHPを0にする。」

報酬:スキル「セルフダメージ軽減」

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Skill──────────────────

セルフダメージ軽減1

自分のスキルの結果によるダメージを(S.Lv×15)%軽減する。ただし、スキルの副作用によるダメージは軽減できない。

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 ちょっと抽象的だが、あって悪いスキルじゃない。

 さっきの自爆エクスプロージョンみたいなのは(スキルレベル1なら)ダメージを一律15%軽減してくれる。

 ただし、自分のHPを代償にして攻撃力を増すようなスキルを使ったときのHP減少は保証の対象外です、ということらしい。

 「魔人化」「魔神化」の最大HP減少なんかも当然対象外だろう。それができたら強すぎる。


「スキルレベルを5まで上げても軽減率は75%か」


 もしこれが100%になるんだったら自爆エクスプロージョンでやり放題できるんだが。



《特殊条件の達成を確認。スキルセット「ホビットしょうの征服者」を手に入れました。》



Congratulations !!! ────────────

特殊条件達成:「種族:ホビットを400体連続で倒す。うち1体以上ボスモンスターを含む。」

報酬:スキルセット「ホビット庄の征服者」

「ホビット庄の征服者」を入手したことにより、セットに含まれる以下のスキルから、三つを選んで取得できます。

「盗む」

「遁走」

「虚仮の一念」

「連携攻撃」

「強奪」

「トレジャーハント」

以下のスキルが取得可能になりました。

「相撲」

「魔力発勁」

「身体強化魔法」

「徒手格闘強化」

「パリング」

「ブルズアイ」

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「おっ、ようやく本命が来たな……」


 俺の元の狙いはこれだったのだ。

 それがどうしてこんなボーナスラッシュになってしまったのか。ソレガワカラナイ。


「なるほど、選択できるのか」


 どうも、俺が撃破したことのあるホビット系モンスターが取得してたスキルから選べるようだ。


 ということは、スライムやゴーレム、鬼のときも、亜種をもっと倒してから特殊条件を満たしたほうがよかったのか?


「……過ぎたことはしょうがない」


 次からはどうしてもほしいスキルを見かけるまでは、同系モンスター400体の特殊条件を達成しないようにしよう。


 で、何を選ぶかなんだが。


「『虚仮の一念』は……アリなのか」


 体重が2倍以上の敵に攻撃力(S.Lv×10)%増だったな。

 人間より重いモンスターのほうが多いので、俺が使ってもまあまあ発動するだろう。


「『遁走』は『逃げる』とかぶるが、使えないこともないんだよな」



Skill──────────────────

遁走2

戦闘からただちに逃げ出すことができる。自分の(S.Lv×敏捷)が相手の敏捷を上回っていれば、相手から行方をくらませることができる。ダンジョンボスには無効。

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Secret──────────────────

「遁走」で逃走した場合、当該戦闘で得られたはずの経験値、SP、マナコイン、ドロップアイテムは得られない。「盗む」で手に入れたアイテムは持ち逃げ可能。

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 「遁走」には逃げゲージがない。

 一瞬で逃げられるということだ。

 ただ、敏捷の値によっては行方をくらませることに失敗することもあるようだ。

 「逃げる」は成功すれば確実に逃げ切れるので、一概に「逃げる」のほうが不便とも言い切れない。


「でも、『逃げる』ができないダンジョンを探索することはないからな。使い分ける機会はそんなにないか」


 「逃げる」の最中にやられかねないようなモンスターなら、「遁走」の敏捷比較も確実とは言えないだろう。


 一方、確実にほしいのは、



Skill──────────────────

トレジャーハント1

ドロップアイテムや「盗む」系スキルで入手できるアイテムのグレードが上がる。

────────────────────



 これは確定でいいだろう。


「問題は、『盗む』と『強奪』だな」



Skill──────────────────

盗む1

対象の所持品を盗むことができる。アイテムボックスに入っている装備・アイテムも確率次第で盗めることがある。

成功率は(S.Lv×10)%に彼我の敏捷の比による補正がかかる。ただし、成功率は80%を超えない。

また、彼我の幸運の比が高いほど、レアリティの高いアイテムを盗める確率が上がる。

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Skill──────────────────

強奪1

攻撃時に「盗む」が自動で発動する。「盗む」のS.Lvは「強奪」か「盗む」の高いほうが適用される。スキル「盗む」を未取得でも発動することができる。

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 一件、「強奪」は「盗む」の上位互換のように思える。

 だが、レベルを上げたくない俺にとっては、ダメージを与えずに済む「盗む」にも魅力がある。

 一方、最後の一体以外ならば、「強奪」で「盗む」ついでにダメージを与えられるのは効率がいい。


「……いや、待てよ。もし一体で出現するモンスターに『盗む』を使いたい場合、『強奪』だと全滅させてしまう可能性があるな。一回で成功するとも限らないし」


 今のところ俺の攻撃力は低いが、今後もそうとは限らない。

 手加減しても一撃で倒してしまう単独出現のモンスターからアイテムを盗む必要が出てきたときに、「強奪」では詰んでしまうおそれがある。

 「レベル封じの腕輪」を装備すれば経験値は回避できるが、それなら素直に「盗む」を取ったほうがよさそうだ。


「でも、他の手もないことはない」


 「強奪」に「ノックアウト」を組み合わせれば、敵のHPは1残る。

 最後の一体以外は「強奪」で倒してしまってもいいという場面は多いだろう。

 たとえば、どうしてもほしいアイテムはないが、どうせ道中の敵を倒すならついでにアイテムも盗めればラッキー、みたいな場合だな。

 問題は、


「『ノックアウト』と『強奪』はちゃんと重ねがけできるのか?」


 攻撃にHP1で敵を残す効果を付与する「ノックアウト」と、攻撃に「盗む」の効果を付与する「強奪」。

 二つのスキルが干渉して同時には使えないというおそれはないか?

 他のスキルは但し書きがない限りシナジーが乗るからたぶん大丈夫だろうとは思うのだが。

 スキルを取ってしまってからやっぱりダメでしたでは困るのだ。



《ヘルプ:「ノックアウト」と「強奪」は一度の攻撃に重複して付与可能です。》



「あ、教えてくれるのか」


 「天の声」が言うからにはそうなのだろう。

 「天の声」の言ったことが間違っていたという例はこれまでひとつもないらしいからな。


 というわけで、


「『強奪』、『トレジャーハント』、『虚仮の一念』の三つだ!」



《スキル「強奪1」「トレジャーハント1」「虚仮の一念1」を取得しました。》



「いよっし!」



 こうして俺は、ついに念願の「強奪」(元は「盗む」の予定だったが)を手に入れた。

 無数のヤバすぎるスキルと一緒にな。

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