第8話 ペンダント

  


後ろから聞こえてくる轟音は、どうやら小次郎と芽衣が

激しくぶつかり合ってる音のようだ。


「カゲロウ!一気に攻め込むぞ!」

そう言うと、小次郎の周りに黒い影が集まりだす。

 その黒い影は、みるみるうちに巨大な剣のような形に姿を変えていく。


「スッゲーよ!カゲロウ!」

「これで芽衣とジャイアンのバリアーも壊せそうだ!」

「ハァァアア!!」


「ジャイアン!あなたの力みせてちょうだい!」

芽衣は、ジャイアンに呼びかけ

 何重にも重なったバリアを腕に展開する。


2人の攻防が激しくぶつかり合った。


「バチチチチ‼︎‼︎」


さっきよりもずっと激しい轟音が辺りに響かせる。


「うわわわぁぁぁああ!」


「きゃぁぁぁああ!」


2人はお互い後ろにのけぞり、雫に手当てをしてもらっていた。


「大丈夫ですか!芽衣さん!小次郎さん!」


雫が心配そうに2人に祈りを捧げる。


「ありがとう雫ちゃん。雫ちゃんのおかげで全力が出せたよ。でも、もう限界だー。」


「私も、もう駄目〜。少し休憩しましょ。」


「そうですね。少し休憩にしましょう。」

「蓮さんはまだ頑張ってるみたいですね。」


みんな、俺に注目を集めている。


「よし!バスティー!あいつらには負けてられない!

いいとこ見せてやろうぜ!」


「はい!蓮様!」


「うぉぉぉおおお!」


気合とともに赤いオーラがより濃くより大きくなっていく。


「これは俺も少し本気を出すか。」

黒乃さんもまた同じように黒いオーラが大きくなっていく。


その瞬間、俺の後ろに急に回り込んできた!


「そうはいきませんよ!」


俺は咄嗟に黒乃さんのデコピンを躱し

 瞬時に黒乃さんの後ろに回り込む。


「さっきのデコピンのお返しです!!」


そう言って、拳を当てようとした次の瞬間。


「ヒャハハハハハハハ!!!」


黒乃さんの頭から、サタンが飛び出してきた。


「おわぁぁああ!」


驚きのあまり後ろにのけぞりがえる。


「こういう使い方もできるという事を覚えとくといい。まぁお前らの場合完全に1人になるわけじゃないからこの技はできんがな。」

「そのうち色んなことができるようになる。」

「その時、この事を忘れないようにする事だ。」

「一先ずは合格ということにしておこう。」


どうやら少しは黒乃さんに認めてもらえたみたいで

 内心とても嬉しかった。


「ありがとうございました!」


「よし!そろそろ時間だ!

最終試験に向けて、今の戦闘訓練を忘れないでおくこと!」

「休憩が終わったらこのビルの最上階について来てもらう。」


「試験の内容は実践訓練のようなものだ。」

「試験には俺も同席するが、危険が迫った時にしか俺は手は出さん。」


「無事にモンスターを倒せたら合格。簡単に説明したがそんな感じだ。」


「わかりました!」


「バスティー。俺らめちゃくちゃすごくなかったか?」


「はい♡とっっってもかっこよかったですよ♡蓮様♡」


「おつかれ〜♪あんた、すごかったじゃない!」


「なんだか、そっちは緊張感のある訓練だったな。」


「蓮さん!一先ず休憩してください!私が回復してあげますので!」


「ありがとうみんな。」

「雫ちゃん………。」


「?  なんでしょう?」


「俺の身は任せた。」

そういうと俺は少し眠りについた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お母さん‼︎‼︎お母さん‼︎‼︎」


「ご…めんねぇ……あなたの逞しい姿を見れないのが…………とても残念よ……」


「嫌だよ‼︎死なないで!お母さん!」


「蓮……これを……あなたにあげる……お母さんの宝物……」

そういうと母は俺にペンダントを渡してくれた。


「あなたとあなたのパートナーを……必ず救ってくれるわ。」


「だったらこれでお母さんを救ってくれよ‼︎」


「私には……パートナーがいない……だから蓮」

「必ず世界を救うヒーローになってね…。」


「お母さん??お母さん‼︎置いてかないで‼︎」


「ピーーーーーーー」


「うわぁぁぁあああ!!!!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ふと、目が覚める。


「はぁ〜。」

昔の嫌な夢を見ていた。

大きいため息が出る。


「蓮様!!大丈夫ですか?!すごいうなされてましたが。」


「ああ、大丈夫だよ、少し嫌な夢を……」

ペンダントを強く握りしめる。


「そのペンダントって……。」


「これか?これは俺の母さんの形見だよ。」

「俺の母さんもここの研究者でさ、」

「ある事件がきっかけで大怪我してそのまま病院でね……。」

「その時母さんがこれを渡してくれたんだ。」


「なんだか……。そのペンダント、見覚えが……」

バスティーが俺のペンダントをじーーっと見つめる。


「気のせいかもしれません!!あんまり気にしないでください!」


「お、おう、そうか!」


「あ!やっと起きたー!早く試験会場に行くわよ!」


「芽衣か、悪い悪い!すぐ行くよ!」


俺はこれから、壮大で壮絶な戦いに巻き込まれることになるとはこの時思いもしなかった。


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