第7話 信頼

 


「よーしお前らこれから戦闘訓練を始める訳だが

俺の指示にちゃんと従うように!」


「まずは夢千佳!」

「お前は先程言ったように、俺が悪魔の力のコントロールを教えてやる!コントロールできないんじゃあ試験に合格することもできんからな!」


「井上!佐々木!」


「お前らには2人で戦闘をおこなってもらう!」

「もちろん手加減はなしだ」


「佐々木、お前は攻撃をメインに」


「井上!お前は防御に徹して、隙があれば攻撃に参加しろ

「そして最後に花園!」


「お前は2人のサポートをしてやれ!お前のその祈りの力はとても重宝する。うまく扱えるようにしておくんだ。」


淡々と俺達に訓練の大まかな指示をし、

 芽衣と小次郎と雫は待ってました!

と言わんばかりにやる気に満ち溢れている様子だ。


そんな中、俺だけが不安な表情をしていたかもしれない。


「黒乃さん、バスティーはともかく」


「芽衣や小次郎と違って俺、戦闘に役立つ様なこと今までしたことないんですよ。」

「さっきも少し後ろに回避しようとしただけであんなにも距離を空けてしまったし。どうすればいいんでしょうか!」


俺も本当はやる気に満ち溢れているが、不安の方が大きいのか声が震える。


「それを今からコントロールできるように訓練するんだろ。

不安になるのもわかるがまずは落ち着け。」


「わかりました。よろしくお願いします!」


「そもそも悪魔族は先ほども言ったが人間に取り憑いて力を発揮する。」


「それはつまり1つになるということだ。」

「まずは俺が手本を見せる。」


そういうと頭の上に乗っていたサタンが宙に浮き出し、眼球を黒くし、突如として消えたのだ。


すると、先程まで目の前にいた黒乃の姿が見当たらない。


「こっちだ。」


「わ、わ、えぇぇー?」


突然のことに驚きを隠せないでいる。


「これが俺とサタンの力だ。フッ。まだまだこんなものではないがまあいい、お前にはまず戦う力よりも素早く動けるような状態までにはなってもらう。」


「わ、わかりました。でもどうやって?」


黒乃が説明を続ける


「そもそも悪魔の力のコントロールはとても難しいのだ。」


「俺も慣れるまでにかなりの時間を労した。」


「だが、コントロールできれば壮大な力を得ることができる。」

「コントロールするには信頼関係が重要となる。

しかし悪魔と言うものは………。」


少し重たい表情をする黒乃だが何事もなかったように話を続ける。


「まあ、とにかくだ、バスティーはお前のことを信頼しているが、蓮、お前だけが信頼しきれてないように思える。」


「まずはお前のパートナーを信じもう一度1つになって俺の後ろに回り込んでみろ。」


「わ、わかりました!

バスティー!お前を信じるぞ!」


「蓮様。わたくしは必ず貴方のお役に立てるように日々、日々、貴方の事を想っていました。」

「必ずこの試験合格しましょう♡ではいきます!!!」


眼球をもう一度赤くするバスティー。


そして俺の周りには先程よりも赤い濃いオーラがめにみえる。


「さあ、先程俺が見したように俺の後ろに回り込んでみろ!」


「フゥーー。行きます!」


『ヒュン‼︎』


その瞬間俺は、先程の黒乃と同じように、

後ろに回り込むことに成功した。


「よかったー。できたぁぁあああ??!!」


安心したのも束の間、

黒乃が急に動き出し、またもや俺の真後ろに回り込んできたのだ!

そして、俺の後頭部にデコピンを食らわす。


「いっタァあああ!!」


普通のデコピンの何倍もの威力に涙目になる。


「油断しすぎだ。」


「俺の後ろに回り込めとは言ったが、俺がそのまま立ち尽くすなんて一言も言っていない。」


「そもそも敵がじっとしているわけないだろう。」

なんだか、少し意地の悪い言い方だが、

 そんなことよりも


「たしかにそうですけどそのデコピン痛すぎですよ泣」


「それが嫌なら俺の背後に回って、殴るなり蹴るなら好きにすればいいだろう。」


「後悔しても知らないですからね!!

バスティー!次は絶対油断しないぞ!」


バスティーに話しかけるが


「いったぁぁあああいいいーーー」

「蓮様ぁぁぁああ」

「とてもとても、いたいですうううううーー」


俺の後頭部にしかデコピンは食らってないはずなのに

 何もされてないバスティーが何故か俺と同じ後頭部を押さえて泣き喚いている


「バスティー。」

「もしかして痛覚も俺と1つになってるのか?」


苦笑いを浮かべながらバスティーに話しかける。


「そうなんでずぅぅ〜」

「言い忘れてまじだ〜〜」

「ずびばぜんん〜〜〜」


よほど痛かったのか泣き止まないバスティーに対して


「すまなかったバスティー。」

「俺が油断していたせいだ。」


「もしかしたら次もまたあのデコピンが来るかもしれい。」「けど俺、絶対に試験に合格したいんだ………。」

「痛みも想いも。2人で1つにしていこ。」


「ズビビッ」

「わかりました!蓮様のお役に立てないのは痛いのより嫌です!!」


「黒乃さん!!もう手加減はしませんよ!!」


鼻を啜りながら、涙目で声を荒げるバスティー


 その瞬間、俺の赤いオーラが凄まじい勢いで大きくなる。

それをみて黒乃は。


「ようやく信頼し合うことができたみたいだな……。


ーーーーーーあいつにも見してやりたかった……。」


「さあ、来い!」


 その瞬間

俺達の後ろの方で轟音が鳴り響いた。



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