第3話 4人1組
「おー遅かったなー蓮!」
「ちょっと何してたのよ!少し心配しちゃったじゃない!」
芽衣と小次郎が少し心配そうに俺の顔色を伺いながら話しかけてきた。
「隣にいる子ってもしかして……。」
「何その子〜チョー可愛いじゃない♪」
「そうだよ。こいつが俺の相棒だ!」
と、ドヤ顔で言い放ったが、なんだか少し恥ずかしくなってきてしまった。
「蓮様、蓮様、この方達は?」
「ん?ああ、こいつらは俺の幼馴染で、一緒にこの【FUTER】試験を受けにきたんだよ」
「でしたら♡」
そういうと小次郎と芽衣に近寄り。
「初めまして。私は蓮様の忠実なるパートナー♡」
「サキュバスこと、バスティーと申します。以後お見知り置きを♡ニコッ」
と、小次郎と芽衣に挨拶をしはじめた。
「な、なんだ?!頭の中に声が流れてきた!」
「も、もしかしてこの子が?」
「俺もさっき初めて声を聞いた時2人と同じような反応をしたよ笑」
「す、すごいな、言葉を発するモンスターなんて聞いた事ないよ。」
「えー。私のジャイアンも喋らないかなー」
「ジャイアン?」
「そっ♪私のジャイアントパンダちゃんの名前を決めてたの♪可愛いでしょ?」
確かに見た目はほとんどパンダで可愛らしいが、ジャイアンって。
芽衣のネーミングセンスを疑う……。
「これからよろしくね、バスティーちゃん♪」
「はい!よろしくお願いします!芽衣さん!ジャイアンさん!♡」
まあ、本人たちがいいならいいかと、1人納得する。
「ちなみに俺の相棒は、影武者ことカゲロウって呼ぶことにしたんだ。俺と相性抜群な気がするんだ。」
小次郎の相棒は見た目からして剣技を扱うようなモンスターで、小次郎の剣道初段との相性は確かに良さそうだ。
「俺からもよろしく頼むよバスティー。
あ、ちなみに蓮はむっつりすけべだからその辺は苦労しそうだな笑」
「お、おい!何変なこと言ってんだ小次郎!」
「小次郎さんわかっていらっしゃいますね…さすがです。先ほども私の胸に手を当てていただいたのですが、顔を真っ赤にしていまして……。でもとても愛くるしかったです///」
「お前ら変なところで意気投合するな。」
「やらしいわねー蓮。むっつりなのに。」
「お前も乗っかってくるな!!」
モンスターを羽化させる前と比べ、緊張の糸が解けたのか、みんな楽しそうにしていて少し安心した
試験にきていた全ての人たちの羽化が終わったのか、
先ほど受付会場にいた黒服の男が
「egg summonの装置にやる卵の羽化に成功した者!」
「今はとりあえずおめでとうと言っておこう。」
「だがまだ試験は終わりではない!」
「今から4人1組の言わばフォーマンセルでのチームを作ってもらう!」
「仲が良いものは仲が良いもの同士でもよし」
「頼りになりそうな奴とチームを組むのもよし!」
「どんなチームを組むのかは自由だ!」
「だがこの先しばらくは、この4人1組のチームで動くこととなる!その辺を重々承知の上で決めるように!」
「4人1組かー。3人ならすぐに決まってたんだけどなー。」
「そうだなー。あと知ってる奴と言ったら豪寺やーーー。」
小次郎が最後まで言う前に。
『『あいつだけは無理!!!』』
蓮と芽衣が口を揃えて声を上げた。
「まっそうなるよな笑
だけどどうしたものか……」
俺らが思い悩んでいるとバスティーが、
「あそこに私と同じぐらいの背丈の子がいるのですが、あの子も試験に来た子なのでしょうか」
隅っこの方に1人ちょこんとオロオロしてる女の子がいた。
「まさか。【FUTER】試験を受けれるのは20歳からだぞ?あんな小さな子が試験会場にいるなんて………。」
その小さな女の子の隣には小さな精霊のようなものが飛んでいたのだ。
「なんであんな小さな子にモンスターが?」
頭にはてなマークが飛び交う。
「でも困ってそうだしちょっと話しかけにいきましょ!」
「そ、それもそうだな!」
俺達はその女の子に優しく話しかけてみた。
「こんにちは、お名前はなんて言うの?ニコッ」
するとその女の子は恐る恐る
「し、しずく…、花園雫っていいます…、」
「雫ちゃんかー♪可愛いお名前だね♪
雫ちゃんもしかして何か困ってる?」
芽衣が優しく声をかけるが。
「う……、うぅ……、」
何か言いたそうにしているが、芽衣の可愛いものに目が無い性格が損をしたのか
雫ちゃんはなんだか、怖がってる様子だった。
「芽衣、そんなにがっついたら俺でも怖いって笑
心配しなくていいからね、君が可愛くてついついガツガツきちゃっただけだからさ笑」
「うぅ……。」
「まさかあのやんわりゆるふわイケヅラの小次郎でも、ダメなのか!?」
3人が困っていると、
「雫さん何か言いづらいことがあれば私めに話してみてください♡」
バスティーが雫に話かけてみる。すると
さっきまでのオロオロした姿がぱぁーっと晴れたかのように
「モンスターが喋ってる!!!わぁーーーすごいですぅ!!」
多分緊張していたのだろう。こんな小さな子がこんなところに1人は寂しすぎる。
「こいつは俺の相棒、バスティーって言うんだ!
仲良くしてやってくれ、」
「はいっ!!ありがとうございますですぅ!!」
ようやく少し懐いてくれたのか今までの経緯を語りはじめた。
「実はしずく、パパがここの研究員で」
「パパに『お前の潜在能力は凄まじい!私から局員に20歳の半分、10歳で試験に受けれるよう話を通しておく。私を失望させないでくれよ雫……』って、言われたの。」
「パパに嫌われたくないからしずく………。」
少し泣き出しそうになりながらも最後まで話をしてくれた雫。
「でしたら私たちとパーティーを組みませんか♡?
きっといいチームになれると思いますよ♡」
「そうね、こんな可愛い子ほっとけないわよ」
「俺も賛成だね」
「バスティーの言う通り!
これからよろしくね雫ちゃん!」
さっきまで、また泣きそうになっていたが俺たちの事を信用してくれたのか
「はい!よろしくおねがいしますですぅ!!」
こうして4人1組のチームが結成した。
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