第4話 チュートリアル
「そういえば雫ちゃんは精霊さんの名前は決めてるのかい?」
「いえ、それがまだなんですぅ」
「そうだなー妖精のような形をしてるからピクシー!
因んでピシーなんてのはどうかな」
小次郎が雫のモンスターに名前をつけると
その名前を気に入ったのか雫は照れながら嬉しそうに
ピクシーことピシーは空を高く飛び回り嬉しそうにしているのを感じた。
「よしっ!名前も4人1組も決まったことだしちょっと怖いけどあの黒服のところに行こうか!」
「はぁー、あのまっくろくろすけとまたご対面しなきゃなのかー。」
芽衣が深いため息をつきながら黒服のところまで思い足を運ぶ。
「そういえば芽衣さんあの人と口論になってましたもんね笑」
「なんだー雫ちゃんも見てたのかー。お恥ずかしい泣」
「でもあんな怖い人に立ち向かうなんてすごいですぅ」
と、目をキラキラさせて芽衣の顔を見つめる。
その言葉に芽衣は
「ふっふっふっ、まあね、うちに怖いものなんてないわよ!!!」
と、鼻をふんわーっと吹き出しながらドヤ顔で声を上げた。
「でも、あの人のモンスター。なんだかすごい覇気を私めは感じます…。」
バスティーが黒服の、頭の上にいる小さなモンスターを見つめてそう言う。
「うちにはどう見ても可愛らしいモンスターにしか見えないのよねー。」
「それは近々わかるんじゃないか?なんだかそんなかんじかするよ」
「ふーん。小次郎の勘は結構当たるからね、楽しみにしてますかっと♪」
ーーーーーーーーーーーー
「4人1組のチームを作りました!」
黒服の男はこちらには目も合わせず
「それではこちらに来い。」
と、一言だけ言葉を放ち。
淡々と奥の廊下を進んでいく。
蓮達も置いて行かれぬように黒服の跡をついていく。
「ここがお前達の部屋だ。」
「あとでここの局員がお前達に試験を受けるに当たって、今一度モンスターの性質など細かいことを説明する。
それまで大人しくしていろ。」
と、特に芽衣の方に目を向けてこれからのことを説明しはじめた。
黒服の男が部屋を出ると
「そんなのわかってますよーーーだ!べーーーー!」
と、まるで小学生のような言葉にみんな笑いが溢れた。
そしてしばらくすると。
部屋のノックの音が聞こえてきた。
「ど、どうぞ!」
小次郎がそのノック音に反応して部屋を開ける。
なんだか嫌な予感がしていたがその予感は的中する。
先程の黒服の男だ。
「お前らのチーム専属の試験官を受けることとなった
黒乃 纏だ。」
全員の目が点になっているとすかさず。
「ふー、まさかお前らの班を任されることになるとはな…。」
「これも運命か…。」
と、小声で俺とバスティーに顔を向けて何か言っていた。
「ん?なんだ?俺の顔見てなんか言ってなかったか?」
「そうかしら、空耳じゃない?」
と、芽衣からそっけなく返される。
(んー……確かになんか言ってたと思うんだけど。まあいいか)
「それでは今からお前達がこの試験で死人が出ないように!この【FUTER】の仕事と!モンスターの性質!そして最後に戦闘訓練を行う!」
黒乃が、声を張り上げて説明をし始めた、
「まずこの【FUTER】についてだ!」
「お前たちが今入ろうとしているこの組織は
15年前に完成した!」
「そして現在の平和を守るために未来へとタイムトラベルし」
「これから起こるであろうモンスターの被害を未来で食い止める。」
「そしてそのモンスターを分析し、分析結果を当てに現在のそのモンスターを討伐するここまでが一連の流れだ!」
「はいはーい!質問いいですかー?」
少し舐めた態度で芽衣が質問をする。
「そんなことをするよりも普通に現在にいるモンスターを、やっつければ、わざわざ未来に行くなんてことしなくてもいいと思うんですけどー。」
この質問には俺や小次郎も昔から聞きたいと思っていた質問だった。
「ふんっ。いい質問だ。」
黒乃は少し微笑み芽衣の顔を見て言う。
意外な反応に芽衣は耳を赤くしていた。
そして黒乃がまた説明を続ける。
「今この現在にいるモンスター達はまだ成長をしている真っ最中だ。」
「このモンスターの成長についてはあとでまた話すが。」
「その成長段階のモンスター達は我々のレーダーには全くの反応を示さない。」
「この原因については未だ不明だが。」
「未来の成長をし切ったモンスター達の反応は観測することが可能なのだ。」
「そしてその未来のモンスターを倒し、そのモンスターの分析結果でやっと、現在の成長中のモンスターの反応がわかるという仕組みになっている。」
「なるほど。だから未来に行ってモンスターを食い止めるのか。」
「その通りだ。そして説明の途中であった。このモンスターの成長についてだが。」
「お前たちのパートナーであるモンスターもまだ成長途中でいる。」
「卵から生まれたばかりだから当たり前なのだが。」
「そしてモンスター達は経験値を貯め、その経験値が限界を迎えた時、初めてそのモンスターの力は発揮する。」
「わかりやすく言えば進化をするのだ。」
それは聞いたことがある。なんでも進化したモンスターは進化前とは比べ物にならないほど強くなるとか。
「だが例外もある。
生まれたばかりなのにも関わらず。進化したモンスターと同等の力を持っているモンスター。」
「例えるなら今日1人そんな奴がいた。」
「豪寺のことだろうな。」
「確かにあいつのモンスターはなんだか見た感じでわかるほどの神々しさを感じたな。物理的な意味でも。笑」
俺と小次郎は豪寺について語る。
「豪寺さんって。あのでっかいモンスターを羽化させていたひとですか?皆さん、あの方のお知り合いだったんですね。」
「知りあいよ。ほんっとうにただの顔見知りってだけだから雫ちゃん。」
「それにあいつの性格はここにいるあの黒乃って奴よりひどいんだから。」
小声で芽衣が雫に語りかける。
「ゴホンッ」
辺りが静まり返る。
「もういいか。」
「説明の続きを始める。その豪寺と言うやつのモンスターがそのいい例だ。」
「さらにもう1つの例外がある。
モンスターが進化をすれば大体のモンスターはそこで成長が止まる。」
「しかし稀にもう一段階進化する、希少なモンスターもいるのだ。ちなみにここ東京には3人しかそのモンスターを所持していない。」
俺達は、その言葉を聞き、自分のモンスターはどうなるのか。わくわくが止まらなかった。
「因みに2段回進化するモンスターはその時にならなければわからない。お前ら精々頑張れよ。」
黒乃は4人の顔を見て微笑んだ。
「よし!これで一通りの簡単な説明は終わりだ!」
「次は戦闘訓練だ!」
「その前に一度昼休憩を挟む!」
「そこでどんな戦い方をするのか思い思い少しだけ考えとくように!」
「1時間後50階の訓練ルーム3番に集合だ!
ちなみに食堂は一階にある!各自解散!」
こうして一通りの説明を聞き、俺たちは
食堂に足を運ぶのであった。
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