第1話 頭の中の声


       〜 2050年現在 〜



        『起きて。』

     『起きてください蓮様。』


 頭の中で優しく居心地のいい声が響く。


   『今日は私達にとって大事な日になりますよ。』


 ふと目が覚める。


珍しく、目覚まし時計をセッティングした時間前に起きた。


誰かが優しく俺のことを呼んでいた気がする。


   「なんか変な夢を見ていた気がする。」


そう、今日はとてもとても大事な日なのである。




今から15年前、この現実世界にもついにタイムマシンが開発されたと、ビックニュースが全国を賑わかした。


 タイムマシンというものは、正直言って一生かかっても開発されないと思っていた、何故なら未来から来たという人物が、現在に現れない事がそもそもおかしかったからだ。


 その答えが15年前の、タイムマシンが開発され世界を賑わかした数日後に起きた通称モンスターパニックだった。


 本来ならばこの日人類は滅亡していた。


しかしその危機に現れたのが


【futuremonster】略して【FUTER】という組織だった。


【FUTER】とは未来から来たとされる、モンスター使い達のことだ。


 彼らはこのモンスターパニックが原因で滅亡したとされる、未来の住人達だ。


 モンスターが蔓延る世界で、タイムマシンをもう一度完成させ、

 さらにはその脅威となったモンスターを、従えさせる装置を作ったのである。


 そうして【FUTER】達はこのモンスターパニックが起きた時代に戻り、過去を変えようと現れたのであった。


 こうして世界に平和が訪れるのであったが【FUTER】達はこう述べた。


 「今この現在は平和になったがまたいつこの大惨事が起きてもおかしくはない!」


「奴らに対抗するため、我々はもう1つの装置egg summonという装置を作り上げた!」


「この装置で卵から羽化したモンスターを従わせ共に戦ってくれる仲間を集めたい!」


 当時5才だった俺は【FUTER】達のドラゴンや、ゴーレム、そんなかっこいいモンスターと共に戦う姿を見て感動した。


 こうしてまだ幼かった俺の夢が決まった瞬間だった。


        〜 そして15年後 〜


 俺はついに【FUTER】試験を受けることとなった。


【FUTER】試験とは、試験といっても20歳になれば誰でも受けることができるものだ。


「ふぁ〜」


「いつもより早く起きたから眠いな……」


 そんな独り言を言っていると後ろから


「え〜、なんかこの人独り言話してる〜

ちょっと厨二病のスイッチ入っちゃってるのかな?笑」


 「蓮、気持ちはわかるがちょっとそれは俺も恥ずかしいな……」


 そんな冗談まじりに小馬鹿にしてくるこの2人は俺の幼馴染の井上芽衣と佐々木小次郎。


「うるさいなー。お前らだってすげーウキウキしてんのが丸わかりだぞ。」


「だから気持ちはわかるぞ?って俺は言っただろー?笑」


「まっ、私はあなた達とは違って【FUTER】のてっぺん目指してますからね!ニコッ」


芽衣は高々と天に指を刺しながら言う。


     『『それは俺も一緒だ!!!』』


俺と小次郎が声を揃えて言った。


「わかってるって笑」


「でもモンスターの卵は、私達が選ぶんじゃなくてモンスター側が私達を選ぶって言うからね〜巷では選ばれなかった人もいるみたいだしね〜」


 そう、モンスターの卵達は自ら主人を選ぶらしい


 もちろん選ばれない人達もいる、だがそんな人達のこの世界を守りたいと言う思いを受け継いで俺は必ず【FUTER】に入るんだ!と強く熱く拳を握った。


「まあまあそんな熱くならずに気ままに行こうぜ!」


「もし蓮が選ばれなくても俺らがこの世界を本当の平和に導いてやるからさ笑」


「おい、縁起でもないこと言うんじゃない!」


と、小次郎のデコにチョップを喰らわせようとしたが軽々しく避けられてしまった。


小次郎は剣道の初段であり、高校時代に全国大会で準優勝という記録を持っている。


「クッソむかつくわー泣」


小次郎がドヤ顔で俺の顔を見てくる。


すると芽衣がすかさず、小次郎の後頭部にチョップをくらわせた。


「はいはいふざけるのはここまでにして行くわよ!」


 芽衣も、親父の少林寺拳法の道場で厳しく育てられている。


正直芽衣を怒らせたらとんでもないことが起こると思い


 俺と小次郎は大人しく【FUTER】ビル新宿本社に足を運んだのであった。


      ーーーーーーーーーーーーー


「と〜ちゃ〜〜くっ!!!」


キャピキャピした可愛らしい満面の笑みで芽衣が声を上げる、


「性格が凶暴じゃなければとてもかわいらしいのにな。」


「蓮……それ聞こえたらマジで殺されるぞ。」


俺と小次郎が、小声で話してるのを見て、さっきまでの満面の笑みではなく不敵な笑みを浮かべて


「ふふふ、早く行きましょうか〜」


    『『は、はい!!』』


「あーでも遂に【FUTER】試験を受けられるなんて、さっきの小次郎のせいでもあるけど緊張してきたわー泣」


「そうだなー。遂に、だな。」


「あの日3人で約束したもんね」

「私ら3人で絶対【FUTER】に入ろうねってね。」


 あの災害が起きた当初、テレビでは【FUTER】の活躍がずーっと報道されていて、幼馴染3人は毎日のようにお互いの家に泊まり込みで、その報道を見ていた。


「おいおいなんか変なフラグが立ちそうな事言うなよ芽衣」


「誰かが試験に受からないとか、漫画とかだったらありそうなフラグだぞそれ!」


「べ、別にそんなつもりで言ってないわよ」


「絶対大丈夫さ、なんせ俺らは毎日のように一緒に居たからな3人で1人的な?笑」


 そんな冗談を言いつつ内心3人共不安でいっぱいだった。


「さ、着いたぞ」


「で、でかいなー、何階建てだよこれ」


「確かちょうど100階だってお父さんが言ってたような」


 まるで田舎から東京にやってきたように、上を見上げる3人。


そこで目の前に、フェラーリの車が止まり、中から1人の派手やかな格好をした、男が降りてきた。


「おやおや、これはこれは、貧乏お馬鹿3人組じゃあないか。」


 中から出てきたのは、いかにも意地汚なそうな顔をしている


 豪寺康雄というやつだ。


彼は、俺の街の市長の息子で、用はボンボンってやつ。


「あほヅラで口開けてこの神聖なる場所に来ないでくれたまえよ」


「いちいち嫌〜な言い方ね」


「あんな奴は、ほっといてとっとと行こう、蓮!芽衣!」


小次郎の言うとうりだ。


足早に建物の中に入る。


 これから俺達を待ち受けているのが【¿¿¿¿¿】だとも知らずに…………。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る