サタンクロスの仕事
海宙麺
第1話 サタンクロスの仕事
今宵は聖夜、クリスマスイブ。家族や恋人、あるいは友人と、思い思いの聖夜を過ごす日だ。
だが、今年はとある現象によって直接会って盛り上がることも少なくなり、画面越しのパーティを行う所も少なくない。
そんな世の中で、マスクを付けずに外を出歩く者もいた。街中で20代の若者の男女の集団が、派手な服を身に付けて、大声で歌ったり踊ったりして大騒ぎ。
顔の赤さは外の寒さだけではない。全体的に酒臭い。ゴミ箱を蹴飛ばしたり会社帰りのOLを口説いたり、好き勝手している。
彼らの目の前に、赤と白の装束を身に纏った、屈強な男が立っている。体長はおよそ3メートル弱、赤と白の装束が、その要塞のような筋肉ではちきれそうになっている。
右目には一本筋の傷が走っており、両目の眼光は目の前の獲物を狩る獅子のように鋭い。
彼の名はサタンクロス。独り身を嘆き、恋愛脳の奴らに虐げられてきた者達のリア充やパリピを滅したいという願いから産まれてきた存在。
人々はみな、その迫力に溢れた巨体を見上げては振り替える。サタンクロスの足音が、コンクリートの道にずん、ずんと重い衝撃を与えて響く。
「なんだぁ?随分デカイなぁ、おっさん」
「でかすぎて邪魔なんだけど、あっち行ってくれる?」
サタンクロスの存在に気付いた若者の集団が酒臭い息を吐きながら絡んでくる。
サタンクロスは、丸太のような太い腕で、集団の内の男の頭を殴り飛ばした。
男は地面に倒れこんだ。首から上を失った身体は、あっという間に血溜まりになっていた。腕には返り血がついていた。
男の惨状に、若者の集団は酔いが覚め、顔を青ざめて蜘蛛を散らすように逃げる。
しかし、サタンクロスは止まらない。若者集団を一人、また一人と殺していった。
イルミネーションで彩られた街は、華やかさとは裏腹に静まり返っていた。
実は最初に殺された男は、一年前までは彼女が出来ない童貞も卒業できないと嘆いてはクリスマスのカップルを見て嘆いていたのだ。その男だけとは限らず、若者集団の半数近くも少し前までは非リアだったのだ。
それが相手が出来てしまえば、周りの見る目も変わったりして調子づく様。
皆さんも、気を付けてください。悪い子にはサタンクロスがやって来て辺り一面が血の海と化してしまいますよ。
サタンクロスの仕事 海宙麺 @rijiri894
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。サタンクロスの仕事の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます