第3話 楠ことりと言います。

俺のクラスに1人だけ入学式から顔をみせない人がいた。

俺の隣の席は入学式から誰も座っていない。

その人はどうやら不登校ではないらしく、ちゃんと学校に来ているらしい。


朝、俺は学校に到着し、教室に入るとそのまま机に向かった。

教師が入って来ると、先生の後ろには可愛い少女がいた。

「みんな知っての通りクラスにはあまり顔を見せなかったが・・・」

「先生あとは自分で自己紹介します。」

その少女は黒板に「楠ことり」と書いた。

「あっ」

俺は思わず声に出てしまった。

「初めまして。楠ことりと言います。今までは用事でなかなか教室には来れなかったけど・・・よろしくお願いします。」

「それじゃあ、楠さん一番後ろの席に座ってください。」

ことりは後ろの席に向かって歩いた。

俺とことりは目があった。

「風輝くんじゃん。よろしくね!」

ことりは席に座った。

「それじゃ1限目始めるぞ。えーと20ページ開けろ。」

教師はクラス全員に伝えた。

俺は教科書を開いた。

ことりは鞄の中を漁っていた。

「ねーね。風輝くん。」

「?」

「教科書を見せて。忘れちゃった。」

「あ。いいよ。でもどうやって・・・。」

とその時、ことりは離れていた机と机をくっつけた。

教科書は机と机の間に置いた。

「風輝くん意外と優しいんだね。」

「意外ってなんだよ。」

「うーん。見た目?見た目が優しくなさそうだった。」

「なんだよそれ。」

冗談を言いながら風輝とことりの話は続いた。

「あっ、風輝くん今日の放課後、屋上に来てね。」

「今日も行く予定だ。いきなりどうした?」

「屋上に来てから話す。それまでお楽しみにー。」

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