現実世界では絶対にやっちゃいけません
「アナちゃんのクッキーおいしー!」
「よかった~。たくさん食べてね」
俺のあの一言でさすがにクララは絶句(困惑)していたが、アナが助け舟を出してくれたので最終的に家まで連れてくることができた。逆にアナがいなければ俺は不審者として村八分にされていたかもしれない。このゲームに不審者とかいう概念あるのか。
「ヒロキ様、本当にやるんですか?(コソッ」
「もちろん。そのために連れてきたんだからな」
アナは少し心配そうだが、このゲームはそもそもエロゲだ。限界はないだろ、多分。
※ ※ ※
「あとな、俺は一つ実験をしてみようと思う」
「実験、ですか」
「そう。つまりな、なんでもない一般人の能力を解放したらどうなるのか、ってことだ」
「一般人の……」
「そうは言ってもアナは魔法使いというステータスがあって戦闘に立つ目的があって、結果として戦闘に役立つ快楽堕ち耐性を手に入れた。ジータはジータで元々ハンマーが得意だったのが腕力が向上してそれをさらに活用できるようになった。でも一般人は? そもそも戦う意志もなかった人にも能力解放が適用されるのか、されるとしたらどのステータスが上がるのか。気にならないか?」
これはこのゲームの「仲間」の範囲がどこまでかを知ることにも繋がる。正直な話、エロゲとはいえモブキャラ含めた全てのキャラとのHシーンが作られているわけではない。同じセリフを繰り返す村人Aみたいな存在もいるはずだ。
それによって「本来契ることはできないのにHして気まずくなる」みたいなことを防ぐためにも早めに把握しておいた方がいい。
「それは分かりますが……それをクララちゃんでやるのですか? 彼女はまだ小さいですし……戦闘は流石に危険だと思います」
「それは分かってる。だから万が一戦える能力がないと感じたらパーティから外す。別に仲間になったからといって必ずパーティに入れなきゃいけないわけじゃないだろ?」
「はい、それはそうですが……」
「だとしたら色んな人を仲間にして、色んな能力を持つ人を揃えておいた方がいいだろう」
ポ◯モンだって各ジムリーダーに合ったポ◯モンを用意した方が効率がいい。それはこのゲームにおいても同じはず。
「……それでどうするおつもりですか? 直接仲間になろうと伝えますか?」
「それでも悪くはないんだが……他の勇者も仲間を探していることを考えるとまだ誰とも契りを交わしてない存在は貴重だと思うんだ」
「まあ……そうですね」
「だろ? だからここで断られたりしてももったいない。それに相手は幼いからそもそも契りの知識がないかもしれない。そうなるとあとあと面倒だ」
「まあ、はい」
「だったら気付かれないうちに、ぱっとやっちゃえばいいんじゃないかと」
「それはどうかと思いますよ」
うっ、さすがに食い下がるか。まあ確かに今のはただ「いたいけな幼女とエロ同人みたいなことをしたい」という願望のためだけに言っていることだからな、根拠は薄い。
「相手は小さな女の子ですし、それに同意もなしに契るなんてそんなのレ◯プじゃないですか」
あ、この世界でもレ◯プはダメって倫理観あるんだ。
「そうだがな、しかしよく考えてみな。アナはさっき友好的な関係が築けていなければ仲間になる意味がないと言ったよな」
「言いました」
「俺もそう思ってる。だから乱暴はしない。アナも目の前にいるんだからな。もしクララが嫌がっていたら全力で俺を止めてもいい」
「……」
「あくまで何をしているかを言わないだけだ。契りは丁寧に優しくやるし、終わった後でちゃんと説明はする」
「……」
アナはしばらく不審げな目で俺の顔を睨んでいた。しばらく睨んで深く溜め息をつくと、再度ギロッと鋭い目で俺を睨んだ。
「クララちゃんを泣かせたら許しませんからね」
「はい」
つい敬語になってしまった。まあアナが怒るのも無理はない。ごめんよ。
※ ※ ※
「あ、じゃあ今からジュースも出してやるからな」
「ほんと? おにーさんありがとー!」
俺が今からひどいことをするとも知らないで、クララはにこにこひてお礼を言ってくる。いい子だ……正直いい子すぎて俺は自分が情けなくなってくるよ……やめないけど。
俺は瓶のオレンジジュースとコップを台所の下の棚から取り出してクララの方に持っていく……途中でカーペットに引っかかったフリをしてクララに向かって転んだ。
「わわっ!」
思惑通りジュースはクララのキャミソールワンピースのお腹のあたりにぶっかかって、そのまま下の方へと滴った。
「ご、ごめんよ! 怪我はない!?」
「う、うん……でもワンピースが……」
「す、すぐに洗おうな……アナ、服すぐに洗ってあげられる?」
「もちろんです」
「それじゃクララも服脱いでシャワー浴びようか。俺が洗ってあげる」
「うん、わかったー」
……誘導成功かな? まあ現実世界で通りすがりのロリを洗ってあげるとかその絵面自体がアウトだが、その関門はどうにか突破できそうだ。
少しの罪悪感と背徳感を胸に、俺はクララと一緒に脱衣所へと入るのだった。
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