第86話.悪魔のダンジョン12

領地の開拓は進んでいる…。

と言ってもどれだけ農業の機械化と大量生産が進んでも大消費地都会に運ばないと利益が出ない。

大量の物資と人員を動員した鉄道建設、線路は既に王都に達している。

現在、旅客業務と大量輸送で莫大な利益を出している。

下のクラウス兄貴に話を通して国王の理解を得て東西を…。

帝国との国境から我が都、王都までを繋ぐ線路を作ったのだ。

線路の用地や施設を各領主と個別に話を進めたが限界だ。(先ず貴族達が鉄道と言う物が理解できなかった。)

向こうの領主からのお願いは非常に雑多な要求が多く。

誠意を持って答えた。

貴族からの要求はひどい物で、領主の嫡子への嫁入りから始まり。

軍事同盟の締結。

金銭要求。

借金の肩代わり。

三男四男の寄り親…。

頭を下げ誠意偉そうな態度を示せば解って頂けるものだ…。(王都までの領地を持つ貴族達が弱小だったので軍事力で押し通した。)

完成さえすれば、俺のターン!

翔ちゃん!俺は我慢できる子だ!!

ゲームのオットーの様な金に成らないプライドは捨てれる。

お互いWIN&WINな関係を模索できる誠意のある貴族の存在が解っただけでも儲け物だ。

労力に在った鉄道が完成した。

しかし、我が領地で生産された物を王都のその先、南方オキノまで届ける必要がある。

問題は鉄道の延長だ。

”あの交渉をもう一度…。”は非常に煩わしい。

難所になると思われるズリューノフォルト周辺のトンネル開削。

もしくは迂回路だが…。

幾ら何でも俺の力ビゴーニュでは不可能だ。

完成した鉄道で他の貴族達も鉄道輸送の重要性を示すことに成功した。

兄上クラウスが王宮を纏めて、王立鉄道省の設置と国鉄王立鉄道の設立で話を進めている。

完成した暁にはわが領地内の鉄道施設を王国に献上する事になるが…。

大金を注ぎ込んだ。

鉄道学校も、車両工場も車両整備工場も…。

最終的に全て国王に差し出すことになる。

だが、大丈夫。

車両工場は未だ我が領地にしかない。

機関部の設計は我が領地でしか出来ない。

車両工場はあくまで組み立て工場で、製鉄所や金属加工場は渡す気がない。

俺の工廠は完成しているが作っているのは金属加工機械マザーマシンだ。

製品規格と精度を決めて居るので、実際に細かい部品ネジやリベット等を作っているのは家族経営の領民だ。

無論、難しい加工バルブ等はドワーフ達が農閑期に作っている。

国鉄はしばらく我が領地から部品を集めて列車を製造するしかないのだ…。

線路本体の材料費は元を取った減価償却済みなのと、働く我が領民は国鉄職員で、そのまま就職国家公務員なのだ。

今後は膨大なが必要に成る路線維持作業は国鉄が行う事になる。

非常事態時に人夫位は出してやるが請求してやる。

全てを国王に差し出すと言っても暫くは借地だ。

領主に地代も入ってくる。

俺の懐は痛くも痒くもないぞ。(強がり収支はトントン。苦労分は出ない。)

だが、未来の収入は在る。

列車を動かす動力、蒸気を沸かす力。

魔石と充魔力だ。

魔力の尽きた魔石は悪魔ダンジョンで再充魔力が行われる。(悪魔充魔)

現在の新型機関車ではビゴーニュ(領主の町)から王都まで64の魔石が必要だ。(途中で何度も交換している。)

コレが王国中に線路網を構築した暁には…。

膨大な数の悪魔の卵魔石が国中を移動することになる。

ビゴーニュが魔石と充魔力代金で眠っていても金が入る構造に…。

翔ちゃん俺は王国の物流を支配する鉄道王レイルドタイクーンに成る!!

だが、経済の大動脈。

物流量は際限なく増大して、それに伴い魔石の需要は増大して行くだろう。

今はレッサーデーモンの魔石だがおそらく限界が来る。

本物の魔王の卵グレーターデーモンを作って見せる!!

翔ちゃん、目指せ一粒で300Km。

恐らくその程度の魔力量が無いと将来増大する輸送需要に対応できない…。

目指せ20両編成、けん引重量3000t、最大出力5000PS。

ズリューノフォルトの山を越える機関車だ。

鉄道は銭の掛かる物なのだ。

王都までの鉄道施設で思い知ったわ…。

鉄道は領内で止めておけばよかったと何度も後悔した。

恐らく鉄道がオキノまで達するのに膨大な資材が必要だ。

国が傾くような銭が必要になるだろう。

いや、その前に兄上クラウスに社債の発行を進言したほうが良いかもしれない。

俺が国鉄の社債を買った事にして…。

我が領内で買った社債分の物資を供給するのだ…。

幸い、我が領地にはみの太のメイスが産出される鉱山ダンジョンがある。

鉄道は我が領地に永遠の…。(多分300年ぐらい)利益を齎してくれるであろう。


しかし、翔ちゃん。

国鉄はどこの世界でも借金漬けだな。


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