第76話.悪魔のダンジョン5

悪魔の取扱説明書は非常に有用だった。

ダンジョンコアの運用方法は勿論のこと。

応用編では生殖コントロールで異種間の種族創造方法。

つまり、悪魔合体や、キメラの製造法が書いてあった。

人工魔石の製造方法も在るが、残念ながら、材料は人族の妊婦、胎児の魔石化なので材料の選定が難しい。

取り敢えず、魔物召喚を調整コントロールして肉が手に入りやすく成った。

その為、教会のダンジョンは急速に経済利用が進んでいる。

すべて悪魔のお陰です。


読み終えた取扱説明書悪魔の取説を誰も居ない執務室の机の上に置き、表紙を眺める。

「悪魔とは何なのか?」

口に出しても答える者はいない。

捕まえた悪魔メスガキは答えない。(アナの中でショクモンバトル中)

何処かの世界惑星の高等生物なのは間違いが無いが…。

どうやってこの大地球に来ているのだろうか?

悪魔の紋章を解析すると、何処か違う次元からエネルギーを供給している様子だ。

次元を超える悪魔達。

奴らは異世界の住人だ。

異世界知識でチートして来る異世界転移の侵略者なのだ。

翔ちゃん、俺は負けない。

俺は悪魔達を原材料にして、文明を構築するのだ!!

悪魔と戦う武器を造る!

だが、悪魔と戦える兵が居ない。

悪魔は人の心を理解している。

悪魔と戦うには人間辞めた人しか戦えない。

翔ちゃんの世界のロストアイテムが必要だ。

「石仮面か…。どうやって作るのだ?」

翔ちゃんの世界の便利アイテムは再現不可能だ。

だが、悪魔の取扱説明書にヒントは在る。

異世界ココの材料を使って、悪魔とのキメラを作り…。

悪魔と戦う先兵を育てる。

先ず、母体となる高位の悪魔を捕獲する方法を考えなければ…。

卵が先か悪魔が先か…。

この世界では悪魔が先だ。

確実に言える、悪魔の証明が出来るのだ!

計画を立てているとダァーが鳴るスパスの声。

マルダーはだかからの電信が舞い込んだ。

「”新しいアナ見つかる。”コレだけか?」

「はい、それだけです。」

腹が目立つようになったミニスカメイド服のスパスが答える。

「うーん、場所は?」

「それも…。ただ、電信を出したのはへの308です。」

頭を叩いて揉む。(光る…。)

「308、308。北西方向だな。」

壁の配置表に目を移す。

「随分と深くまで移動した様子ですね。」

「まあ、良いだろう…。俺が行って見よう。」

「あの…。今日の予定は?」

今日はメイド達とイチャイチャするだけの日だ。

「キャンセルだ、への308へ向かう。鎧を準備しろ。」

「はい。」

鎧姿で少数の兵を引き連れ…。

練兵場からへの308馬車に乗り込む。

馬車を降りたら森の中だった。

「へ、ご領主様…。」

馬車を守る未だ若い兵が驚いた顔だ。

「マルダーは何処だ?発見した魔物の穴は?」(コーホー・コーホー)

「マルダー様は先行隊で…。伝令の内容を送信したばかりです。」

無線員が答えた。

「そうか、未だ先か…。」(コーホー・コーホー)

「この森は魔物が濃いので…。やっと切り開いた野営地に数日前に前進したばかりです。」

「なるほど…。補給状況は?」(コーホー・コーホー)

「交代の兵が来たばかりで食料は十分です。防具の損耗が激しいですね。」

「そうか…。」(コーホー・コーホー)

魔物との連戦を続けている様子だ…。

「ヒャッハー!食える魔物だー!今晩は焼肉パーティーだぜ!!」

薄汚れたモヒカンの兵士達が一個小隊戻ってきた。

丸太に魔物を乗せてロープで引き摺って来た。

「お、ご領主様、お久しぶりです。」「どうです?立派な獲物でさぁ!」「この森はこんなのがうようよいますぜ!」

「おお…立派なジャイアントグリズリーだ。」(コーホー・コーホー)

巨大な灰色熊を見分する。

刺し傷が多い。

「今晩は焼肉パーティーですぜ!!」

「なるほど、ソレは楽しみだ。」(コーホー・コーホー)

見れば皆、棒の先に包丁を付けた者が多い。

巨大な魔物相手では間合いの長い方が有利だ。

槍の穂先をみる。

何処かで見た古い包丁だ。

「ココは固い魔物が多くて…。」「槍やロープで動けなくしてから止めで剣ですなぁ。」

バツの悪そうに答える兵。

「いや、そうか。予備の剣を補充しておこう…。」(コーホー・コーホー)

「「「ありがとうございます!」」」

激しい戦いに成っている様子だ。

「おーい!薬草をくれ!!」

「治癒の御札を!!」

又、別の分隊が戻ってきた。

怪我人が多い。

「どうした!」(コーホー・コーホー)

「あ、ご領主様!」

「あっしらは、マルダー様の配下の者で、増援が来たので我々は怪我人だけを集めて後退しました。交代した兵は未だアナの周囲の捜索をしています。」

軽症の兵が答える。

「毒の沼にいばら…。ひでぇ所ですぜ…。あの場所。」

疲労の兵にポーションを配る。

「穴を見たのか?」(コーホー・コーホー・プッシュー)

「はい、魔物が出てくるのを見ました…。」「見える位置なんですが…。近づけません。」「マルダー様は”通路を捜索する”と、兵と共に残っています。」

「距離は?」(コーホー・コーホー)

「今は徒歩で半日も掛かりません。」「数日掛かって森を開削したんですがね…。」「馬車は進めません。歩きですね。」

なるほど…。

距離は近いのか。

「案内しろ。俺もこの目で見て見たい。」(コーホー・コーホー)

「へい!少々お待ちください。コイツ一発で元気になりやす!」「俺も戻るぜ!」「補給カバン寄こせ戻るぞー!!」

御札と薬草で戦線復帰を目指す兵達。

戦意は高そうだ。

重傷者の治療を終えて幾つかの収納カバンを下げた兵達が整列した。

「よし!では進むぞ、ついて来い!!」(コーホー・コーホー)

「「「ヒャッハー!」」」

森の中を狭い獣道を歩き、樹木を風魔法で切り倒し。

収納して土魔法で開削する。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!丸太が一杯だオラ!!」(コーホー・コーホー・プッシュー)

馬車がすれ違える広さで盛り上げ固める。

水抜き用のアーチも忘れない。

早歩き程度の速度で道が広がって行く。

残念ながらGUIには丸太では無く”樹木”という表示だ…。

丸太まではもう一加工が必要だ。

「あっ、新記録。」「すげぇなご領主様。」「俺達要らないんじゃぁ…。」

森が開けて繁みと…。

見下ろす沼の盆地の中央に小山が在る。

「アレがアナか…。」(コーホー・コーホー・プッシュー)

「はい、そうです。マルダー様は…。あ、居た。」「マルダー様!!」「こっち、こっち!」

モヒカン共が騒ぎ出す。

騒ぎを聞いて、薄汚れたモヒカン集団が此方に向っている。

直ぐに合流した。

「ベースキャンプ地は何処だ?」(コーホー・コーホー)

「いえ…。そんな平地も見つかりません。沼の中にナマズの様なモンスターが居て…。」「いちいち、森の中まで撤退してテントですね。」

薄汚れた兵隊モヒカン達。

そうか…、ソレは手間もかかる。

魔王のダンジョンだ、大掛かりでやりたい。

牛の穴は教会の独占で手が出せない。

肉とお宝が獲れる資金源だ。

教会に手出しさせない俺のダンジョンアナだ。

未加工の魔物の素材を入手する資源。

干し肉加工工場を作って大儲けだ。

塩を振って加工するだけ。

俺は素材族だ!

「ご領主様、わざわざご来光頂きありがとうございます。」

汚れたはだかが頭を下げる。

「いや、この目で見たかったのでな…。間違いない、俺の探していた魔物のアナだ。よくやった!」(コーホー・コーホー)

「ありがそうございます…。ですが、かなり厄介なアナですね。」

忌々しそうに毒の沼と茨の壁を見るマルダーはだか

見下ろす盆地の真ん中に小山が有り、ソコにアナが在る。

「うーむ、アナを攻略するのには一筋縄ではいかん。アナを覗いたか?」(コーホー・コーホー)

深淵を覗く者は…。

「いえ、未だアナに入れてません。触れることすら出来ない沼と繁みです。」

「そうか…。取り敢えず、沼を何とかしよう。」(コーホー・コーホー)

毒の池沼を沈めるのだ。

「はい…。どうしましょうか?」

「俺に任せろ。腹案がある。」(コーホー・コーホー)

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