第16話8.入植者7

(´・ω・`)…。(ダム建ちました。)


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灼熱ダンジョンの奥の谷にダムが完成した。

魔法で作ったロックフィルダムだ。

大量の資材と人員を動員して作った。

俺が山三つを(魔法で)削って(優しい表現)、大量の土砂を人力で魔法の収納袋で運んで、(魔法の)振動コンダラで転圧して作った…。

屯パック仕様の魔法の収納袋を大量に使用した。

架線集材路ロープウェイを使って搬出搬入された。

いくら人海戦術でも重機もダンプも無いこの世界では驚異的な速さだ…。

ダム本体は完成した。

未だ試験淡水が終わっていない。

一部の利水施設も完成していない。

しかし、目的が有るので運用してしまう。

ダムの向こうには二つの選択取水塔が立っている。

夫々は両側の谷間を通り二つの水路が伸びている。

A水路は山の上に作った農業用の砂溜めの調整池に伸びている。

その先の灌漑水路は未だ完成していない。

供給する農地が未だ出来ていない。

そしてもう一つの水路は…。

「B水路、放水開始!」

俺が命じると塔の上のカラフルな木の板が動き始めた。

ダムの天端には管理棟が在り、同じ木の板が立っている。

お互いに望遠鏡で見える距離…、いわゆる腕木通信だ。

「送信完了!返信、B水路、放水を開始!」

管理棟から取水塔の管理人達とは旗信号で通信している。

その為、ダムの操作は全て遠方制御が出来るのだ。

無論、夜間の通信は腕木通信のアームがライトアップされて光る。

天候不良での視界不良以外は通信が途切れることは無い。

その内、無線機を付けてやる…。(機材は在るが操作する人員が足りてない。)

なお、B水路は灼熱ダンジョン側を通っている。

ある建物を通ってこの町まで届いている。

そのある建物とは…悪魔ダンジョンの入り口に塔を建てた。

理由は…。

「お、水がダンジョンまで達した様だな…。」

望遠鏡の先、塔の先から蒸気が噴出し始めた、徐々に激しく噴き出す。

まるで(塔の)頭が沸騰している様だ…。

ダンジョンが攻略できないので物理で攻める。

水系の魔法が敵に効くなら水攻めだ。

なお…。沸騰した水は密閉水路を通じて、この町まで流れ込んでくる。

炎の悪魔でお湯沸かす。

異世界悪魔ボイラーの始まりだ。

なお、今の所、風呂にしか使わない。

但し各種色々な風呂を用意している。

水量は豊富だ。

サウナ、打たせ湯、流れる温水プール。

そのうち、植物園や農業用ハウス(材質:ガラス)の熱源に使う心算だ…。

この町は温泉で栄えるのだ…。

「うーん、早くダンジョンが満水になってココまでお湯が来ないだろうか…。」

密閉水路は断熱の高い石を外装に使い手間が掛かっている。

風呂の設備にも凝った。

いい加減、仮設の小さな風呂では嫌だ。

王都では作れない景色の良い露天風呂も作った。

後はお湯を張るだけなのだ…。

こっちの嫁にも広くて良い風呂を味わって貰いたい…。(性的内意味で。)

悪魔が対抗策を出して満水に成らなくても大丈夫。

あの塔には蒸気による熱交換機能を付けてある。

悪魔蒸気でもお湯は沸くのだ…。

「その内、蒸気タービンを付けても良いかもしれん。」

高圧蒸気を扱うには鋼鉄配管の製造技術が必要だ。

しかし、あの塔の先っちょの勢いなら何とかなる。

タービン製造に成功した暁には、このダンジョンでも悪魔発電も可能だろう。

「クククク、あの塔は頑丈に作ったからな、簡単に水蒸気爆発は起きないぞ。」

沸いてる、沸いてる。

勢いよく噴き出る蒸気を望遠鏡で覗く…。

いきなり蒸気が止まった。

「え!なんで?」

望遠鏡を下げ、塔、全体を見る。

異常は無い。

町のB水路には未だお湯はは来ていない…

「報告、塔から蒸気が出てこなくなりました。」

兵が報告する…。

見れば解る、が。

腕木通信所の望遠鏡は大型で良く見えるハズだ…。

「おかしいな詰まったか?注水オーバーフローから水は出ているか確認しろ。」

俺も望遠鏡を覗く。

こうなると面倒だ、ダンジョンの入り口は注水管を奥まで突っ込んで水を注水している。

注水水圧は塔の高さ分掛かっている。

注水管が詰まったなら塔の途中のオーバーフローから水が排水され、谷に落ちるのが見えるハズだ。

「いえ…オーバーフローから水は出ていません。」

「そうなると…、注水は正常に行われているのだな…。排気が詰まるとも考えられん。」

排気蒸気配管は無く単純に塔の中を素通りで開放だ。

塔の天辺から中に水を降らせて蒸気と混じり高温に成り、下にたまった熱水は断熱加工されたB水路を通してこの町に運ばれる。

塔の中はダンジョンの入り口より大きい。

詰まるのなら、ダンジョンの中で詰まっている。

塔の中が満水に成れば塔の中のあふれ口から水が外に排水されるはずだ…。(それをダム管理棟から視認してB水路の水量を調整することになっている。)

くそっ!悪魔め…。

もう対抗策を編み出したか。

「うーむ、炉の中はいったい何が起きているんだ…。」

炉の中は見えないのが世の常だ。

1Fいちえふの様に想定と外部の変化で中を見通すのだ…。

金と手間を掛けたのにお湯が来なければご破算だ。

無論対抗策で、万が一の時の為、魔法ボイラーの設計図は在る。

B水路にはダンジョンを避ける、バイパス水路も用意してある。

各風呂に給湯設備を作る事になるが…、銭が飛んでいく。

苦労したB水路の断熱加工も無駄になる。

夢の燃料費ナシ悪魔ボイラー。

悪魔が死ぬまでお湯沸かすのだ。

「あ?」

「え、」

塔の先っちょから黒い何かが飛び出し、強力な蒸気が噴出した。

黒い何かはヒト型でかなりの大きさだが飛翔中に手足の一部が外れて飛んで行った。

いや、飛ぶと言うより天高く放物線を描いて対面の谷に衝突した様子だ。

谷を転がる壊れたヒト型…。

「B水路に湯が到着しました!徐々に熱くなって行きます!」

作業に係わった我が領民たちが喜ぶ。

「「おお!」成功した!!」「風呂だー!!」

歓声の中、魔物を観察する。

ヒト型の岩の塊に見える…。

谷の岩に引っかかったが全く動かない。

死んだ?

それより、

「魔物が引っかかっていた?」

一応、ダンジョン攻略に成っているのか?

後であの魔物は回収しよう。

何か気になる。

だが、何にせよコレでこの温泉が営業開始できる…。


異世界ダンジョン温泉チートの始まりだ。



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(#◎皿◎´)異世界ダム・チート…。

(´・ω・`)…。(昨今、書いてる話に高確率でダムが出現するという…。)

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