第15話7.入植者6

飲料水が確保できる丘を発見すると…。

俺が魔法で仮設宿舎を建てる、寝起きする所は重要だ。

測量が始まり同時に樵集団が丸太の製造に掛かる。

材木加工工場から、資材が届くと、出来たばかりの丸太を積んで帰っていく。

2×4の材木は梱包を解かれ、先ずは土台と床を作り、床の上で外壁を組み、数人で壁を立て、壁の角を合わせて固定する。

バルーン工法は素人でも手が多ければ家が作れる。

槌音が丘に響く。

強いて言えば難点は釘を大量に使う所だ。

「おお、我が屋敷が形に成ってきたな。」

四方の壁が立っただけで、まだ屋根は付いていない。

屋根は銅板葺きだ…。

下地防水層で良い材料が無いので雨漏りとの闘いに成る。

一部で合板も作って居る。

無論、未だ膠の接着剤だ。

湿気に弱く耐水性に乏しい上に、良くはがれる。

尿素ユリア樹脂とメラミン樹脂の開発が急がれる。

異世界チートの難しい所だ…。

あの世界は長い研究と発明によって作られたチート材質が溢れてる。

処分するのに困る程だ。

なお、この世界では簡易的な小屋には木の皮で屋根を葺く工法が既にあり大量に使われている。

困った事にこっちの方が耐久性と防水性に優れている…。

火事には弱いが。

「ご領主様、お見えでしたか。」

初老の大工が出てきた棟梁だ。

この男も邪教の職業集団の一人で元は村の大工で若い頃は大仕事大型物件工事もした事がある、一人で何でも出来る大工だ。

「うむ、家の形に成ると嬉しいものだ。」

なお、壁が立っただけで未だ屋根はついていない。

未だ張りぼてだ。

「へえ、分かります、しかし。こんな安普請で良いんですかねぇ。」

北の町では石造りの壁が多い、しかし屋根を敷くのは木材だ。

壁は中空で断熱材が無い上に薄いので冬は越せない。

一応、暖炉煙突と熱交換装置で温かいフレッシュエアを各部屋に強制送風できる構造だ。

銅管の熱交換コイルで井戸水による冷房にも対応している、集中冷暖房方式だ。

各部屋のダンパー開閉度で強弱をつける。

加湿器は付いていない。

「未だ大冬が来るまで50年は有るんだ…。俺達の孫の世代がもっと良い家を建ててるよ。」

2×4構造は30年持たないのでその内に大冬に対応した建物に建て替える。

木が腐ればその部分を簡単に交換できるのも強みだ。

手を掛ければ100年以上持つ。

ソレには高性能な外装ペンキが必要だ。

「そりゃ、そうですね…。」

そうだ、ソレまでにあの世界のチート技術。

合成樹脂の秘密を解き明かす必要が有る…。

技術の延長上に接着剤や塗料が有る。

化学の重要性だ。

人類の発展には化学ばけがくの発展が必要だ…。

ビニルが在れば配管から建材、食品梱包まで。

無限に用途が広がるプラスチックの世界。

あの世界は作りすぎて困ったことに成ったが燃やせば問題ない。

すべて燃やせば気体と灰になるのだ…。



(#◎皿◎´)PVC!PVC!

(´・ω・`)…。(異世界、塩化ビニル・チート)


(´・ω・`)なんか話が短く収まってしまったので…。もう一席。




王都行きの転送馬車から降りるともう既に外は満天の星空だった…。

本当は日没前に帰る心算であった。

しかし、妻達の顔が揃い長話になって、食卓には既に料理が在ると言うので。

ご馳走になり。

そのまま開放的な風呂に入り。

汗を流し開放的な気分で妻達との逢瀬を流し。

もうたっぷり、腹いっぱいに成るまでお互いをたれ流しまくった…。(流れる戦友)

領地コチラ女中達が全員妊娠中なので仕方がない…。

男は流される生き物なのだ。(子沢山。)

軽い腰つきで丘の上を歩く…。

向かう先は俺の新築で新木の香る屋敷だ。

未だ外構工事は終わっていない。

進む先、正面玄関の横、馬繋柵に腰を掛ける人の姿が在った。

「だれだ、こんな時間に何をしている。」

誰何して気が付いた、人影は小さい。

「ご領主様…。」

声で解った、クーリョの子バリエンテだ。(連れ子)

「ああ、バリエンテ坊主か、何をしている。もう寝る時間だぞ。」

そうだ、大人の時間なのだ…。

子供は寝ていないと倫理的に良くない。(11PM)

「いえ…。ごめんなさい。星を見ていました。」

暗くて分らないが、明るい栗色の髪に薄い緑の目の少年が答える。

声色は困惑だ。

「星か。」

見上げる星空…。

確かに綺麗だ。

フン、悪くない、興味は探求心に繋がる。

少年の心には浪漫が必要だ。

学園長も星を語る時は少年の目をしていた。

「坊主、星を見るのは好きか?」

「…わかんない、おとうちゃんが…。明日が解らない時は星を見ろと。」

「そうか。」

恐らくそれは明日の天気の話だろう。

指摘するのは浪漫がない。

天測用の星の三星を探す、訓練の成果で一瞬で分かる。

一等星の星が一列に並んでいる。

非常に目立つ。

その為、軍用での天測の重要な星だ。

「あの星を見ろ、明るい星が三つ並んでいる。」

「うん。みえる。」

「真ん中の星の脇に小さな星が有る、見えるか?」

「みえる。右の星の下にも小さな星がある。」

「うむ…、そうか。」

バリエンテは随分と目が良い様子だ。

猟師には重要な素質だ…。

折角の生え抜き猟師の血統素質なのに猟師は嫌だと…。

何ともったいない。

クーリョこの子バリエンテに魔法を教える為に俺に身体を差し出した。

近い内に弟か妹が生まれる勢いだ。

だから、この子バリエンテには俺が何かを支払う必要がある…。

コイツが何を望むかは未だ先の話だ…。

だが、悩む。

果たしてフェアな取引に成るのだろうか?

バリエンテは未亡人クーリョの旦那の代理人エージェントだ。

彼と俺は対等で有るべきだ…。

「おい、坊主、文字は読めるか?」

教会の教室には通っている。

読み書きは覚えているハズだ。

「はい。たぶん。」

随分と情けない返答だ。

まあ、良い。

今は気分が良い(賢者モード)

収納から本を出す。

この資料は図解が多い。

その内に文字も読める様になれば、理論も理解できるだろう。

「お前に星に付いての本をやろう。」

コレは、学園長が生前、俺に送った星の運動の研究レポートだ。

俺は、再計算し直して、添削した結果を学園長に送った。

その為、後で初版の間違いを修正した本を貰った。

俺の落書きだらけだが、計算間違いは無い。

「この本を見て理解しろ、星の世界は永遠だ、深淵を覗く窓はドコにでも在る。」

しかし答えは無い。

ソレが深淵なのだ。

「ありがとうございます。大事にします。」

受け取った少年は確かに深淵を認識した。

その暗闇を求めた結果…。

俺は大きな代償を払い、成果を得た…。


ソレは、もっと先の話だ。





(#◎皿◎´)俺は何の代償を…。

(´・ω・`)…。(フラグ立ちました。)

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