第14話6.入植者5

「アレだね。くだんの穴は。」

裸が指さす先は低い岩山が連なる山の中腹、からもくもくと白い煙を出している…。

尾根は繋がり、谷の中程、谷底の水量は多そうだ…。

「周囲の地図は?」

「簡単な物しかないよ。」

ズボンの中から紙束を出す裸…。

何か触りたくないな。

受取った地図から地形と見比べる…等高線が適当だ。

谷の数も違う。

尾根の高さは正確であろう。

「中に入った者は?」

「いゃー居ないね。俺も近づいたが暑くて臭くて皆近づけないよ。」

「そうか…。」

やはりゲームのNPC村人と同じような事を言う。

「あの穴暑くて入れないよ?」

ゲームの様に耐熱の加護…。火喰い鳥の指輪が無いと入れないのだ。

無論、手に入れて居ない…。

主人公が宝石ダンジョンで手に入れるアイテムだが、出てこなかった…。orz

未だ攻略が速すぎたのだ…。

「よし、俺が確認する。」

ダースベイ鎧にマスクを被る…。

一往は防毒、エアコン付き鎧だ。

「あの。わたくしは何を狩れば良いのでしょうか?」

シスター服に革鎧で戦闘準備完了だ。

「すまんな…。昔、皆でミノタウロスを狩った洞窟と同じ様な物だと思ったのだが…。違う質の様だ。様子を見てくる。」(コーホー・コーホー)

「まあ…ミノタウロス。」

目を輝かせ喜ぶ…シスター。

何か怖いな。

「未だ何が出るか解らん。一応経験者を呼んだ方が心強いからな。」(コーホー・コーホー)

出てくる魔物は大型で岩石系だ正直喰えん。

「そう言う事でしたら何時でも呼んでください。」

「では行ってくる、すまんがココで待機していてくれ。」(コーホー・コーホー)

岩山を登っていく…。

と言うか、崖も在るので道を魔法で掘っていく…。

この尾根越えるのは面倒だ…。

トンネルにしよう。

ウォン!俺は削岩機だっ!

山肌を魔法でドリドリ削って谷に橋を架け穴を掘り進むと…。

遂に山の中腹。洞窟に付いた…。

マスクを通しても硫黄臭い…。

コレは危険だ。

鎧のエアコンを最大にしても暑さが解る…。

息を止め、何とか頭を穴に…。

うむ…あの感覚…、他人の結界の中、悪魔のダンジョンの感触だ。

穴は大きく直線で奥まで続いている…。

噴き出すガスの音が魔物の叫びに聞こえる…。

「しかし、こりゃたまらん。」(コーホー・コーホー)

先っちょだけでこの暑さだ。

急いで退避する…。

作ったばかりの道を急いで戻る。

「どうだったの!お目当てかい?」

「ああ、お目当ての穴だ…。しかし困った暑くてこの装備では入れない。」(コーホー・コーホー)

マスクを外してヘルムも脱ぐ…。

汗で張り付いている…。(戦友が)

何と言う事だ…手に入れられないアイテムの代替を作ったが…。

今回は代用できない様だ。

悔しさが顔にでる。

「そうかい。」

「魔物はいるのでしょうか?」

「居るかもしれないが…。中に入れないのではな…。」

恐らく中に入る必要アイテム、”火喰い鳥の指輪”は悪魔が作った物だ。

ココの中ボスは魔王のダンジョンの場所を示すアイテム地図を落す…。

場所だけだ、封印とか扉を開ける為の鍵ではない。

地形が特殊なので場所は大体特定できる。

つまり、時間が掛かるが配下の者を動員すれば…。

いや、普通に開拓が進めば発見できる。

時間の問題だ…。

別にこのダンジョンを攻略しなくても構わないが…、鉱物、宝石。大フィーバーでウハウハ成金生活が出来ない…。

ココのダンジョンで手に入るアイテムは凄い金に成るのだ…。

魔王との対決の為の装備を買う為に。

悔しいです!!

このダンジョンは封印か?

「魔物は狩れないのですか…。」

同じく悔しそうなシスター。

いや待て、悪魔が別の場所に入り口を作ればソコで終了だ…。

「地図をもう一度…。」

「ほいよ。」

やはりズボンの中から出てくる…。

「周囲が見える場所に移動しよう…。」

「あいよ。」

谷の反対側、同じような高さまで登って来た…。

収納から鉄の皿を出す…。

「誰か、水筒は持っているか?」

「持って居ません…。」

「在るぜ?」

やはり裸がズボンの中から出してきた…。

魔法では無さそうだ…。

何が詰まっているんだ?そのオーバーオール…。

まあ良いだろう。

今回は簡単な判別法だ。

俺のアイデアが可能かどうかを判断するだけだ…。

とりあえず谷の向こう、穴に向かって胡坐で座る、背筋を伸ばして頭に皿を置く。

「おい、皿に水を入れろ。」

カッパとか言うなよ。

「ほいよ。」

裸が水筒から水を灌ぐ。

「悪いが皿の水が水平になる様に俺の頭を動かしてくれ、後で魔法を使うから身体を何時でも下げれる姿勢で確認してくれ。」

「はい…。」

シスターが優しく俺の顔を…。

む!なんか凄い力だ!

両手でがっちり挟み込んで動かない。

「はい。水平になりました。」

「では魔法を使う。」

頭の上に光のリングを出して光線を山肌に当て、谷の奥に動かしていく。

山肌の岩石に光線の跡が一直線に引かれる。

目標の谷の一番狭い所まで光線が届くと…。

「まあ、こんなところか。あの場所が同高度だ…。」

地図と見比べる。

悪くない、手間は掛かるが何とかなりそうだ。

「目がくらくらするよ。」

眩暈を覚える裸。

シスターは俺の光線を何度も見たことが在るので対応した様子だ。

「今日は此処までだな。資料を集めて計画に掛かろう。」

「え?終わりですか?」

「ああ、すまないキーファ、今日は下見だけで終わりだ、しかしこれからが忙しくなる。」

「マルダー、人を集めろこの山の麓に町を作る。」

「おお、ついに都だね!」

「まあ、教会を作るのですね?」

「いや…。まだ仮の都だ。しかし、立派な物を作るぞ。」

上手くいけば金に成るからな。


(´・ω・`)…。(猟期完了!)

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