第13話5.入植者4

雪が降るまでに森が切り開かれて、春になると更なる入植者が集まった。

理由は開拓が順調に行われているという噂が王国内に流れているからだ。

簡単な話で、俺が(転送魔方陣で)王都の嫁達フラン邸に(頻繁に)行くついでに、皆からの手紙を魔法収納カバンに積めてギルドに届けている。

検閲はしていないが家族への手紙だ。

内容は大概予想できる。

重労働はさせてるが飲ませて喰わせている。

危険な作業は多いが、事故による死者は出て居ない。

量産型の復活の魔道具のお陰で、死亡フラグが発動しても皆、死ぬ二時間前だ。

発動魔力を抑えたので、普通の魔法使いでも扱える、その代償は大きな宝石ルビーを消費する。

形は単発ピストル型でルビーをセットして相手に銃口(穴は開いていない)を向けて至近距離で引き金を引くと撃った者の魔力で発動する。

使える者には全員に渡してある。

裏技で魔力を持った魔石を使用者に持たせて使うと使用者は魔力切れで気絶するが、対象者はしっかり二時間前に戻る…。

それに、ココでは高価な治癒薬も強化ヒールも親方の権限に任せて湯水の様に使っている。

俺の奢りだ、教団の施設キムさんの秘密工場で蛇口をひねると出てくる状態だからだ。

骨折程度では病気休業は認めない…。

衣食住完備で安い日当でしっかりと働いて貰う。

その為、弟、従兄に”仕事は在る、飯は喰える。こっちに来い”と言う文面で新規入植者が王国全土から続々とやってくる状態だ…。

お陰で、通りには建物が建ち始め、真新しい木の香りが充満する村や町が出来た。

正直、集まり過ぎた…。

当初の計画で集めた食料がギリギリだ…。

食料生産計画の前倒しが必要に成った…。

活気は在る、手が増えたので開拓計画を押し進めることに成った。

「と言う訳で、流石に仮設指揮所では色々と手狭になった、俺の屋敷(仮設)を作る…。」

「どういう訳でしょうか?」

腹が目立ち始めたスパスが答える…。

「いや、流石になあ…。クーリョは?」

「クーリョさんは今日、悪阻が重いのでお休みです。」

うむ、メイドが増えたらライバル意識(で夜)が激しく成った…。

「そろそろ子供達の為に環境を揃えなくては成らない。タパスにも悪い。」

何せ、指揮所は移動している。

俺の都の場所は決まっていない。

毎回、魔法で作った即席指揮所では手狭で落ちついて生活も出来ない。

「あら…。タパスは元気に走り回ってます。問題ないのでは?」

二人目を妊娠中のスパスは首を傾げる…。

「いや、馬車の往来も多い、子供には危険だ…走り…(てぇん!)」

ダーク妊婦メイドの指差す先、窓の外には元気に走り回る。

走る馬を追いかける元気なダーク幼女が…。

「おい!ソコの兵!危ないから、その娘を捕獲して俺の所に連れてこい!!」

窓から顔を出して叫ぶ。

「は、「はい!」御領主さま!」「え?あ!指令所の娘だ…。」「つ!捕まえろ!!傷を付けるな!」

鎧を着た兵達が幼女を追いかける…。

なお、危険を察知したダーク幼女は笑みを浮かべながらジグザクに走り出した…。

「あら…。タパスはアレでは捕まりませんよ?」

「いや…。親なら子から目を離すな。」

軽い頭痛を覚える…。

「オットー様の娘ですから…。簡単には死にませんよ?」

不思議な顔のスパス…。

何となく、ラカスがあの性格に育った理由が判った様な気がした。

ダークエルフの子育ては基本、放任の様子だ。

健全な子供を育てる環境を整備する必要が有る…。早急に。

「飲用可能な泉の在る土地を見つけた、取り合えずソコに仮設の俺の屋敷を作る…。」

地図に印を付ける、開拓は西へ西へと広げている。

「もっと西に都を作るのでは?」

「計画ではな…。取り合えず仮設の屋敷だ。使い終わったら建物は何か使う。」

今まで(魔法で)作って来た指揮所の建屋は移動後に各種衛生施設に転用している。

上下水道完備(浄化槽)の優良物件だ。

大概は診療所か、大衆浴場だ。

開拓団が伐採終了後の空に成った宿舎は、そのまま開墾の為の入植者の拠点に成っている。

今や第一次入植者は完全に樵集団ハイヒール履いた男達だ。

裸執事の指導の元、職業:戦闘樵集団に育っている。(斧とナイフで魔物を倒す。)

何故か、お揃いの上半身裸オーバーオールに雄っぱいサスペンダーでムキムキだ…。(毎日の強化ヒールの成果)

日に焼けた素肌で雄っぱいが何処まで揺れるかを競い合っている…。(ぷるーん。ぷるん!!)

「おい!降りてこい!!」「キシャー!!」

窓の外では兵に包囲されたダーク幼女が木の上で威嚇をしている。

「フン!!」「うわっ!飛んだ!」「受け止めろ!!」

「うわっ!引っ掻かれた!」「抑えたぞ!イテテテテテ…。」「ガブッ!」「こら!噛むな!!」「大人しくし…。」「逃げたぞ!!」「追いかけろ!」

未だ喋れないはずだがとんでもない運動能力だ…。

ダークエルフは早熟なのか?

暫くすると。数人の兵が簀巻きにしたダーク幼女を連れて来た。

「御領主さま、捕獲しました。」

「キシャーーー!!」

全員顔に歯形やひっかき傷を受けている。

「ああ済まなかった、並べ傷を癒そう。」

肩に手を置き、兵を慰労して傷を癒す。

「くだらん仕事で怪我をさせてしまった申し訳ない。」

「いえいえ」「ご命令とあらば」

ついでに悪い所も直しておこう…。

「タパス、怪我はないか?治癒してやろう。」

「フーーーー!!」

簀巻きのまま威嚇するダーク幼女…。

「そんなもの…。唾でも付けて置けば治ります。」

自分の子供に厳しいダークメイド…。

「スパスそう言うな…。タパス飴をあげよう。」

「キラン!」

「だから今日は大人しく家の中で遊びなさい。」

「コクコク」

簀巻きから解放して飴をほおばる幼女に治癒魔法をかける。

ダァーがノックされた。

「入れ。」

通信兵だ。

「マルダー様より通信、”目標の熱い穴を発見!”だそうです。」

素晴らしい、ゲームの通りだ。

「よし!よくやった。返信内容は”現地に向かう、未だ穴に入れるな。”だ。」

火炎の悪魔が中ボスの灼熱のダンジョンだ。

火の系統の攻撃魔法でダメージを与えられない…。

氷系、水系魔法だ。

クククク…。悪魔め、果たして俺の物理攻撃に耐えられるかな。

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(´・ω・`)スパスの子、タパス…。(すまない、年表資料見直したらもう既に生まれて居ないとダメだった。)

(´・ω・`)何時か修正します…。

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