第189話 事件の真相
サングィス家が滅んだ理由は魔法士に効く毒を生成する為。俺もそうだがサングィス家は魔法士の王族と言われるほどの攻撃魔法と回復魔法の使い手だ。
全てはウルルスを殺すための身勝手な犯行。回復魔法が得意な一族で予行練習としてサングィス家は狙われた。その為に魔法士でも効く毒薬を開発したらしい。元暗殺者の嫁だ、ティアがそうであるように覚悟を決めた女は強い。ミカエルの奥さんミラーが産んだ子はミカエルが育った孤児院で保護されているらしい。
「私はアンタが憎い! あの人を奪ったアンタが!」
「俺も、俺の一族の他無関係の一族を狙ったアンタを許すつもりは無い」
法的機関に任せてこの一件は終わりだ。ミラーの暗殺依頼は貰って無いし、私怨で殺す訳にもいかないミラーには絞首刑が言い渡されるだろう。
貴重な戦力であるサングィス家を殺したと言うのも有るが、殺した人数は八人と言い逃れ出来ない罪だからだ。預けられた赤ん坊は教会が既に保護しているから罪には問われない。
「アンタあげたお金、毒の研究に使ったのか?」
「悪い? 私だって子供と幸せになりたかったわ、でもね憎悪が勝ったの」
「アンタって人はぁ……」
全て俺が悪いが、残された子供の事を思うと辛い。親になって分かったがこの子の為に命を賭けられると思った。親の愛情を受けずに育った子が全員が全員不幸かと言えば否だといえるが、与えなきゃいけないものだろそれは……。
「アンタは絞首刑に処される。もう、お互い憎しみの言葉しか交わせないのならこれ以上の会話はふようだな」
「そうね。あの世で貴方が来るのを首を長くして待ってるわ、ミカエルと一緒にね」
自警団に連れていかれるミラーは全然死を恐れていない様だ。
「戻ろうせっかくの祝いの席だ」
◆◆
大広間の会場に着くと全員から事情を聞かれた。聞いた後に憤慨する者、同情する者、助かった事に安堵する者。祝いの席が台無しだ。せっかくの婚礼発表も有ったのに……。
「皆様に危害が及ばなくて良かった。これもウルルス叔父上のお陰です。ありがとうございました」
「いや、元々は俺が原因だし」
「それでも、お礼を言わせて下さい。ここに居る人たちを救ってくれてありがとうございます」
「いや、祝いの場だ。これから楽しもう」
「はい。ありがとうございます」
お礼の言葉尽くしで身が縮まる思いだ。
それからは立食形式のパーティーになった。俺も強い酒が欲しい人には秘蔵の酒を振る舞って。コル家当主就任祝いパーティーは夜通し続いた。
俺達は泊まることなく、馬車に乗り込み家路に着いた。
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