第188話 もう一人の魔法士殺し
コル家の他現在レプス家とサングィス家を除く脈々と魔法士の家系を守って来た魔法士達が集まって来ている。主だっただけでボース家、エクウス家、アリエース家、カニス家、コイトゥス家、クルース家、ベクトゥス家、アニマ家他にも分家筋に当たる何名かの人物も居る。分家の分家まで呼ぶと集まり過ぎるので三十人ほどの客が大広間に集まっている。
流石に誰が誰やら混乱しそうだが、昔の面影があるので全員に見覚えがある。
「あら、アナタは誰だったかしら~?」
「ウルルスです。ヴィクトリアさん、幼少期にお世話になりました」
「廃嫡されたウルルスくんね。やっと顔と名前が一致する人に会ったわぁ~」
始終こんな感じである。全員の名前を覚えてる俺が異常なのかもしれないが、ルドルフの顔も引きつっている、お前元当主候補だろ……。
「ほぇ~、何人か知ってる人もいますけど、こんなに大勢が集まるなんて就任祝いって大変そうですね」
「赤ん坊を連れた人は居ないわね」
「こんなにザワザワした所で寝てるなんて将来は大物になりますよ」
「ロイさんったら」
「何人かカジノに来た人も居るわね。負けてたけど」
大広間の扉とは逆の扉から今回の主賓が現れた。正装を着たリチャードだ、隣には若い娘さんが立っている。婚約者だろうか?
「皆さま! 今宵は私の当主就任祝いに駆けつけて下さって、ありがとうございます!」
よく通る声でリチャードが感謝の言葉を述べる隣の娘さんも揃って頭を下げた。
「ここで婚約者のマリアを紹介させて下さい」
「初めましてマリアと申します。実家はアニマ家です」
「私の娘なの~」
ヴィクトリアさんがふわふわした笑顔で告げた。
「あら、ウチの子の愛称と同じマリアなのね」
「あらあら、この子はなんてお名前?」
「マリアンヌです」
「同じマリアねぇ~」
リチャードは沢山の人と握手を交わしてお祝いの言葉を受けている。
「私も挨拶してくるわ~」
ヴィクトリアさんも行ってしまった。
大広間から廊下に繋がる扉が開き、食事が盛られたワゴンが運び込まれる。
なんとなくそちらを見て背筋に電撃が走り、サングィス家が何故滅びたか分かった!
「窓を開けて換気しろ!」
いち早く動いたのはティアだった。最も近い窓を開け風魔法で部屋で竜巻を起こす。
ウルルスは一人の使用人が胸元からアンプルを取り出し、床にたたきつける前に拘束した。
サングィス家が滅んだのは魔法士用に調節した毒だった。一番あり得ないと思っていた方法が使われていたなんて、この人には一度だけ会った事がある。
その人物とは……。
元仕事仲間であり俺が殺した毒使いのミカエルの奥さんだった。
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