第120話 賞金稼ぎの目的

 賞金稼ぎに転身した冒険者達の目的は不死の魔女を封印した場所を知りたい奴が約半分。ウルルスに掛けられた賞金目的が約半分だが、今回からは溜め込んだ翠金貨を狙いの輩も増えるだろう。他にも見目麗しい美女、美少女を屈服させ乱暴できると言うのも大きな魅力だと思もわれる。武を極めんとする者も偶に来るが、その対処はウルルス専門だ。ウルルスが留守の時は家族が応対して引き留める事に苦心している。殆どの者はウルルスの帰りを待つ。その時はローガンが最後の晩餐として腕を振るう事が多い。稀にいる聞き分けの無い人間は良い気分にさせて酒で酔い潰してから、ティア達が手を下す。ウルルスに挑む資格無しと判断されるのだ。どちらにせよ、ウルルスに敵対する者はどのような者でも敵であると言うのが、家族の共通認識であった。

「どう上手く立ち回っても馬鹿はいつまでも減らんなぁ」

「実戦には事欠かないですけど、最初から舐めてるってのも有りますね。まるで連携が取れてませんでした」

「烏合の衆っていうのはああいう人たちの事なんですねぇ」

「リーダーは居なかったのか?」

「何人か居ましたが優先的に倒しました。後ろでふんぞり返って指示を飛ばしてる人ですよね?」

「そう、それがリーダーだ。腕に自信があれば俺に着いて来いとか言う奴もいる」

「そお言う人も優先的に倒しました」

「それで、なんの魔法を使った?」

「速度重視の雷属性魔法ですね。後ろにふんぞり返って奴は氷属性魔法です」

「いい判断だな。残りは?」

「炎属性魔法です。周りが混乱するので」

「的確な判断だ。ティアもそろそろ賞金首になるかもな」

「それは別にいいです、ご主人様と同じになるだけですから。戦闘の前にソフィアさんから魔法の効果的な使い方は教わってましたし」

 そうなのか? とソフィアを見ると頷いた。

「ティアさんは魔力が桁違いですが、少し稚拙な部分な所が有りますので助言しました」

「それは助かる。俺は攻撃魔法がからっきしでな。回復魔法は超得意なんだがな」

「コル家の異端児! 噂と言うか都市伝説でしか知りませんでしたが、実在したのですね!」

「ソフィア近い、ティアの目が怖いから離れて……」

「こほん、すいません取り乱しました」

「ご主人様は有名人なのは知ってますけど、何故都市伝説に?」

「それは、医学を百年進めたと言われるほどの知識量故ですよ! コル家に問い合わせてもそんな奴は居ないの一点張りでしたからね!」

「ま、昔から近所の医院に入り浸って医療行為に準じていたからな。薬学、解剖学、回復魔法の限界とか色々やってたんだよなぁ」

「その手腕からヘブンズキャンセラーなんて呼ばれてましたね!」

「その二つ名は恥ずかしいから止めて……」

「魔法士殺し、二の手要らず、カジノ潰し、ヘブンズキャンセラーですか……」

「こんなに二つ名のある暗殺者も珍しいですね」

「全部俺が進んで名乗った訳じゃないからな!」

「落ち着いて下さい、ご主人様」

「唯一納得してる二つ名はあるけどな」

「何です、それ?」

「同業者殺し。暗殺者の暗殺は良く依頼されるからな」

 みんな沈黙してしまった。鎖の外れた暗殺者ほど怖いモノはない。一般市民に被害が及ぶ前に暗殺したことは覚えているだけでも四十人ほどだ。メルケルは集団意識だったからカウントはしていない。

「二つ名が有った方がカッコいいじゃないですか!」

「そうよ、私もティアの意見に賛成よ」

「そうこれはアレです、有名税って奴ですよ!」

「私には二つ名が無いのでよく分からない悩みですね」

「お嬢様のお付き」

「うぐっ!」

 胸を押さえるソフィア。やはり周りはそおいう認識だったか、

「どうだ、レッテルを張られた気分は?」

「かなり来ますね……」




 






 

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