第112話 不埒な訪問者
ウルルスは莫大な賞金ゆえ賞金稼ぎに常に狙われいる。定住すれば見つかるのは必定だ。だが、奴隷と結婚出来るのは異端者の楽園しかない。奴隷との婚姻関係は土地に既存するので離れる訳にはいかないのだ。
「今日こそは一緒に来ていただきます」
「御託はいいからカード引けよ」
カジノ王の娘の刺客も度々やって来るが、むやみに死体を増やす必要もないので賭けで勝敗を決めている。
刺客はキング、ウルルスはエース。僅差だがウルルスの勝ちだ。
「なんという引きの強さ……。今回も私の負けですね」
「二度と来ないで欲しいんだが?」
「勝つまで来ますよ」
かなりの手練れだと思うのだが、カード勝負を提案したらあっさり乗って来た。さすがはカジノ王の刺客と言う所か、
「アンタが暗殺者ギルドに来てくれたら助かるんだがな」
「カジノ王の娘さんと結婚してくれたら私はアナタの物ですよ?」
「リスキーすぎるな。暗殺者ギルド長の主としてはアンタは魅力的なんだが……」
「カードで決めます?」
「何を?」
「私の所属ですよ。カジノ王か、暗殺者ギルドか」
「アンタがそれでいいならな」
それを聞くや否や既に刺客はエースを引いている。
「私が勝ったら来てもらいますよ?」
「はいはい」
ウルルスは確信を持ってカードを引く。
「ほれ、ジョーカーだ」
「……。暗殺者ギルドに移ります。手続してください」
「そういえば名前も知らないな」
「ソフィアです。ソフィア・ニックス」
「なんだ魔法士の家系だったのか……」
「何故わかるんです?」
「苗字を持つのは王国に貢献した家系なんだが、それぞれ法則性があるんだよ」
「初めて知りました」
「俺もまた聞きなんだが……。誰も使っていない言語が使われるているのさ魔法士の家系はな」
「そうなのですね」
「コル、レプス、ニックス、ゲミニーが有名処だな」
「ニックスはどんな意味ですか?」
「雪だ。確かな」
「なるほど……。触れると体温で水になるアレですか」
「名は体を表すとは言うが、ソフィアは触れても水にならんだろ」
「分かりませんよ? 私に触れる人はいませんからね」
「触れた人間は全員冷たい躯になるし、そうかもしれんな」
「触れてみますか?」
ソフィアの挑発的なセルフに少しイラっとする。
「ご主人様~。どこです~」
「気付いていたな、ソフィア」
「では、また」
いつも賭けをするのは家の裏手なのだが、さすがにティアにはもう隠しきれないか……。
「こんなところで何してるんですか?」
「ちょっと賭けをしてた……」
「へ~。ちょっとそのお話詳しく聞かせてもらっても?」
「痛み分けだから許して欲しいんだが……」
「なんか女の匂いがするからダメです」
「はい。分かりましたよ」
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