第74話 ギルド再建
翠金貨二枚の威力は凄まじく。ギルドとして機能する酒場はいち早く再建した。酒の種類が若干増えてるらしい。ここではほとんどエールしか飲まないからどうでもいい話だが。
「主様のお陰でギルド再建が思ったより早く出来たので、ご報告の為に鷹を使いました。申し訳ございません」
「別に構わん。俺もプライベートが忙しくてな、町の副町長になってしまった」
「それは、おめでとうございます主様」
「ありがとな、半分脅されてやってんだけど、給料は貰えるからな」
「暗殺者は辞めるので?」
カリアが今にも泣きそうな顔をする。接点が減るのが嫌なのだろう。
「俺は生涯暗殺者だよ」
「安心しました……」
「可愛い奴だな、カリアは」
頭をぐりぐりと撫でる。すり寄って来たネコの様に頭を押し付けてくる。全力で甘えたいのだろう。しばらく会わなかったし。
「町の人にも最近よく言われます。主様以外に言われるのは正直迷惑ですけど……」
三つ子だとバレるのも時間の問題だな。やはりギルド長はカリア専任で良いだろう。ローテーションを組む必要は無くなった。
「あの、主様……。申し上げにくいのですが……」
「アリアとミリアは絶対に抱かない」
「助かります」
「何だよ、そんなに男日照りなのか?」
「まあ、私が言うのもなんですが、良いのは顔とスタイルだけですから……」
同じ容姿のカリアが言うのだから、二人とも自覚はしてるんだろうけど。
「散りぢりになったギルド員たちも活動を始めました」
「再開はいつになりそうだ?」
「ひと月もあれば再開出来ると思います」
「そうか、副町長の仕事も慣れる頃だな……」
「申し訳ございません」
本業は暗殺者だからカリアが気にしなくてもいいのだが、ミリアがギルド長の時はホントに気が滅入るんだよな、からかってくるし。
「カリアをギルド長にして良かったのは。今後二度とミリアにからかわれるのが無くなった事だな」
「ミリアが凹むので、本人には言わないで下さいね。結構気にしてますから」
「積極的に言おうと思う所存」
「自業自得ですね、主様が寛容なのを良い事にずっとからかってましたし」
「はっきり言うと三つ子の中で一番嫌いだ」
「アリアは?」
「ミリアに便乗するから、どちらかと言うと嫌い」
「二人にはそう伝えます」
「それで性格が直っても抱かんがな」
散々嫌な思いをした。抱く気にならない、三人同時攻略などしてやるものか。
「この後、主様お時間はありますか?」
「二回戦出来る位はあるけど?」
「そ、そのお情けを頂ければ……」
新築にしたのだし、ギルド長室にベットを置いてもいいのではないだろうか?
「あのですね、ギルド長室にベットを搬入いたしまして……」
「じゃあ行くか、時間は有限だ」
ギルド長権限でベットを搬入したのはいい考えだと思う。防音が完璧ならなお良い。
「主様。その、まだ明るい時間で恥ずかしいです」
「建物の中は暗いから平気だろ。それとも嫌か?」
「嫌じゃないです……」
素直な事は美徳だと思う。ミリア、アリアにはそれが無い。照れ隠しで萎える事言いそうだ。
「案内してくれるか?」
「はい! こちらです!」
やはり自分の家業がそのまま出来るって嬉しいんだろうな、手を取ってスキップせんばかりの足取りだ。まあ、出る頃には足腰立たなくなると思うけど。
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