第47話 討伐完了報告
行きがけの駄賃とばかりにハウゼンの勤めていたマグショットとかいう商会?を乗っ取ってやった。駄賃で乗っ取られたマグショットの上から三人は運が悪かったかもな。
建前は悪徳金融の成敗なのだが、元の世界では明らかな犯罪行為ではあるし、この世界でもやっぱり犯罪だろう。
しかーし、女神さまの行動を規制する法などこの世には存在しないのだ。文句があるヤツは、俺が相手をしてやる。ワッハッハ。
「宿屋に戻って、今日の成功を祝って早い時間から酒盛りでもするか?」
「先に、冒険者ギルドに達成報告して、キューブの中に入っている強盗団を置いてきたいなー」
「それもそうだな。それじゃあ、冒険者ギルドにいってすっきりしよう」
「はーい」「はい」
アズランに案内させて冒険者ギルドにやって来た。俺たちがギルドのホールに入ると一瞬ざわめきが波が広がるように収まったのだが、俺たちがAランク冒険者の三人組だと思いだしたのか、すぐに喧騒は戻って行った。
このまえの受付嬢のいる列に並んでいたら、すぐに列がはけて俺たちの番になったので、
「これは、『三人団』のお三方」
「依頼達成しました!」
「もうですか?」
「一応、盗賊団の三人を殺しちゃったので、死体だけを持ってきたんで引き取って確認してくれますか?」
「は、はい。それでは、係りの者に確認させますので少しお待ちください」
受付嬢は席を立って奥の方に歩いて行き、一人の男を連れてきた。
「私が確認させていただきます。死体の方はどのような状態ですか?」
「グチュグチュって感じかな」
「バラバラでもなくグチャグチャでもなくグチュグチュ? まあ討伐ですからそこは仕方ありません。それでしたら、ギルドの裏の作業所の前に出していただきますか? 私について来て下さい」
男の後を付いてギルドの裏の広場に建っていた作業所の横辺りを指定されたので、トルシェはキューブからそこにグチュグチュを三つ並べておいた。
キューブから地面に出したとたん、反応が進み始めたようで、死体が泡を吹き始めた。
「うわっ! これは、想像以上ですね。どんな毒を使われたのか分かりませんが、これではもう判別のしようがありません。明日、マイルズ商会の方に来ていただいて確認していただきますが、このまま溶けてしまいそうですので確認はできないでしょう。わかりました。討伐完了ということにしておきましょう」
俺たちにすればありがたいことだが、そんなに簡単に討伐完了でいいのかよ? やっぱり俺たちの美貌が関係するのか? 世の中美貌が全てなのか?
係りの男はその場で、持っていた筆記道具で、紙切れに何か書いて、最後にサインをしたようだ。
「これを持って支払い窓口に行って報酬をもらってください。あとの手続きはこちらでやっておきます」
そういうことなので、俺たちはまたギルドのホールに戻って、支払い窓口にならんだ。
「報酬はいくらだったっけ?」
「この紙にも書いてありますが、今回の達成報酬は金貨500枚です。生け捕りにできれば一人あたり金貨100枚という話でしたが、これはもとより不可能ですもんね」
「そりゃそうだ。ワッハッハ」
俺たちの順番になったので、資金担当のトルシェが、先ほどの係りの男にもらった紙を差し出したところ、金額が大きかったためか、
「申し訳ありません、金貨500枚の用意に多少時間がかかってしまいますがそれでもよろしいでしょうか。商業ギルドに口座をお持ちならそちらに振り込むこともできますが」
「テルミナの商業ギルドに口座があるけれど、ここの商業ギルドには口座がないなー」
「そうですか。テルミナの商業ギルドに振り込むこともできなくはありませんが、二週間以上かかります。よろしいですか?」
「それじゃあ、明日また来ますから、その時までにお金を用意していてください」
「はい。お待ちしています。それでしたら、この紙は明日お越しの際に提出お願いします」
「了解。それじゃあ」
「テルミナの口座に振り込まれても使えないので、明日面倒だけどもう一度冒険者ギルドに顔を出さないといけなくなったけれど、大丈夫ですよね?」
「ああ、全然問題ない。いやー、強盗団を討伐できて肩の荷が降りたな」
「そうですね。しなきゃいけないことが残っているとお酒もおいしくありませんからね」
「トルシェもちょっと前から酒を飲み始めたくせに、イッチョ前なことを言うんだな」
「アハハ、言ってみたかっただけですよ」
宿屋に帰った俺たちは、特に部屋に戻る必要もなかったので、そのまま食堂に直行して、まだ日の高い中、酒盛りを始めてしまった。酒盛りの
「それじゃ、盗賊団討伐完了を祝って、カンパーイ!」
「カンパーイ!」「カンパーイ!」
三人でワインの入ったグラスを合わせて、飲み始めた。さー飲むぞー!
適当に頼んだ単品料理をつまみながら、気分は居酒屋だ。何を食べてもおいしく感じる俺なので、高級料理などむだなのかもしれないが、高級宿の料理なのできっと居酒屋などよりおいしいのだろう。
宿屋にとって、料理で儲けるより、酒で儲ける方が楽だし実入りも多いそうだから、酒を飲んで騒ぐわけでもない俺たちは、店にとってかなりの上客のはずだ。そういった信念のもと、結局その日は食堂が閉まる10時まで飲んでしまった。
帰り際に数えてみたら、テーブルの上にはワインの空瓶が10本ほどあったが、途中何回か片付けてもらっているので、いくら飲んだのか忘れてしまった。
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