1月9日 07:00

 着信音で目が覚めた


「さむ……」


 スマホを取る。


「おはよう」

『おはよ! 今日はまだ寝てたの?』

「みたいだ」

『そっかー、昨日の夜寒かったからねー』

「やっぱりか……起きたら布団にくるまってた」

『わかるわかる!』

「それで?」

『なにー?』

「今日は何の日だ?」

『あ、結人、もう癖になっちゃったー?』

「……ちょっとな」


 自然と口に出ていた。

 正直、数日前にきいた内容も朧げだけど。


『じゃー、今日はすぐに教えてあげる! 今日はね、初代iFohonが発表された日だよ!』

「Aqqule社の?」

『そう! 2007年の今日に発表されたみたい! 発売は半年くらい後らしいけど』

「今から14年前か……」

『私たちが2歳か3歳くらいの時だね』

「そんなに前からあるんだな」

『私は結構最近なんだなーって感じ。ないなんて考えられないし』

「あー……そうだな」


 今ではほとんどの人がiFohonを使っている。


『私、そろそろ変えよっかなー』

「へえ、一番新しいやつにするのか?」

『どうしよっかなーって。ほら、私、手が小さいでしょ?』

「そうか」


 昔は小さかったのを覚えているけど、今は知らないので適当に相槌をうった。


「じゃあ、小さいやつ……そういえば、一つ前のやつは小さいのもあるけど、最新のは全部大き目なんだっけ」

『そうなんだよー。本当は小さいのがいいんだけどねー』

「じゃあ、一つ前のにするのか? あれ、でも今使ってるのって」

『うん、一番大きいやつ』

「小さいやつがいいのに大きいの使ってたのか?」

『いやー、なんていうか、そこまで変わんないって言うかー』

「かわらない?」

『最近出てるiFohonの中で一番小さいやつ選んでも、どっちにしろ片手じゃ操作できないからさー、それならもう大きくても変わらないかなーって』

「たしかに」


 俺もそこまで手の大きい方じゃないので、片手で持ったときに画面の反対側まで親指が届かない。日々姫はなおさらそうだろう。


『ほらー、最近新しい料金プランも出てきたでしょー』

「あー、Kashikomoと軟銀の?」

『そうそう』

「前より結構安くなるんだっけ」

『うん、家族割とかはなくなるみたいけど、今よりは安くなるんだってー』

「だよな。俺も移行したし」

『あー、やっぱり?』

「父さんがすぐ変えようって」

『まぁ、今までより安くて今までより良くなるなら変えるよねー』

「どっちにするつもりなんだ?」

『今のところは軟銀のつもり。ほら、外国行かないし』

「Kashikomoのようは海外でも別の契約なしで使えるんだっけ」

『そうそう。それに軟銀はRune分は減らないし』

「そうだなー。俺も今みたいに日々姫とRune 結構使うしそっちの方がいいよな」

『あと、kashikomoの方は3C対応してないんだって』

「でも、今って3C使うことあるか?」

『たまにトンネルとかで3Cになるよね』

「車の中であんまり使わないけどそうなのか」

「私もあんまり使わないかな」

「改めておはよう」

「おはよ!」

「今日もランニングなしか?」

「う~ん、今日は凍ってて走りづらそうだからね。今日は雪合戦をしよう!」

「雪合戦?」

「たまにはね。小学校くらいからやってなかったし」

「たしかに」

「ってことで、童心に返って雪合戦です! 負けた方は肉まんと飲み物おごりで!」

「わかった、手加減しないからな?」

「どんとこーい!」

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