1月8日 06:00

「おはよ!」


 目を開けると目の前に顔があった。


「……なんでいる?」

「来ちゃったっ!」

「彼女か」

「いや~、ほら、外見て?」

「外?」

「あ、そっか。カーテン空けるね?」


 窓の外はまだ暗い。

 その中で、雪が舞っていた。


「今日、結構雪降るんだって。だから、今日のランニングはなしで」

「あー、了解。それで?」

「ん?」

「いや、なんで来た?」

「準備始めてたらかわいそうかなーって」

「そうか……って、まだ6時!?」

「そうだよ?」


 俺はスマホの画面に移された06:09の文字に驚いているのに、日々姫はあっけらかんと言う。


「いくら何でも速すぎるだろ」

「だから、準備始めてたらーって、それよりも!」

「ん?」

「今日は何の日でしょう!」

「あー、答えは?」

「当てる気ないじゃん!」

「当たる気もしないからな」

「ほーらー、なにか予想してよー」

「んー、市場いちばの日とか?」

「正解はー……吉口よしぐち紗代理さよりさんが引退した日でした!」

「あー、あのレスリングの?」


 何度も金メダルを取ったりしていて、印象に残っている。


「去年だっけ?」

「残念、おととし!」

「一昨年か、当時結構びっくりしたんだよなー」

「ねー、絶対次のオリンピックも出ると思ってたもん」

「オリンピックも延期になったからなー」

「どうなんだろ? やるのかな?」

「やるならいいな、とは思ってるけど」

「だよねー、私は短距離だからよかったけど、駅伝の子達とかは大会自体なくなったりもしてるし……」

「そういえば、短距離だっけ」

「そうだよー」

「それなのにランニングとかするんだな」

「ランニングは、趣味?」

「そうか」

「せっかく来たんだし、遊ぼう!」

「いや、さすがに眠い。今までより1時間早起きとか勘弁してくれ」


 俺の言葉に首をかしげる日々姫。


「え、学校始まったらこの時間だよ?」

「鬼か」

「まー、今は冬休み中だからね、許してあげるー」

「はいはい、どうも」

「あ、漫画借りていいー?」

「いや帰れよ」

「え? 結人はこんな寒い中、女の子の私に帰れっていうの?」

「隣じゃねえか」

「やだよー……寒いよー」

「動けばあったまるだろ」

「うちまでじゃあったまらないよ!」

「わかった。漫画でもなんでも好きにしていいから、静かにしといてくれ」

「わかったー」


 ベッドの上で再び横になって、布団を被った。

 寒いので布団を体に巻き付ける。


「そういえばー」

「……なんだ」

「今日って宮城県ができた日だよ?」

「それ、今言うことか?」

「仙台県から変わったんだってー」

「そうかー……」

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