1月7日 07:00

『おはよ!』

「おはよう」

『今日もすぐ出たね?』

「まあ、おきてたからな」

『えらいじゃん! もう慣れた?』

「まあ……」


 昨日か一昨日か、着信音で起こされなくなってきた。

 こんなに適応力があるものなのだろうか?


『じゃあ、今日は何の日でしょ~?』

「1と7……いちな……い、な? 稲作の日とか?」

『なにそれ?』

「予想なんだからそんな言い方なくないか!?」


 これでも結構考えた後の答えなんだが。


『ごめん、ごめんてー! あるのかもわかんないや』

「聞いたことないけど、今までのだって聞いたことなかったからな……」

『えっとねー、今日は、「ちょびほし子ちゃん」が初めて放送された日だよ!』

「へえ、こんな年明けから始まってたんだな」

『でもこれは一回目でね? 一回目は1年半くらいで終わっちゃったんだよ?』

「今でも続いてるのにか?」

『うん。一回目が1990年から始まって、二回目は一回目が終わってから2年半後くらいから始まったみたいだよ!』

「じゃあ、今やってるのは……25年目くらいか? 結構長いんだなー」

『ね、小さいころからやってたもんね』

「それだけ長いと原作も尽きそうだけど」

『あー、2年、じゃなくて3年前? 作者の人亡くなっちゃったもんね』

「ちょっとニュースにもなったよな」

『ちょっと調べてみたんだけど、その年の最後に漫画の方は完結になってたみたいだよ』

「まあ、そうなるか」


 漫画によってはアシスタント?の人に受け継いでもらったりする場合もあるのかもしれないけど。


『あとねー、アニメと原作って結構違うんだって~』

「そういうのって似せるというか、原作に近いように作るもんじゃないのか?」

『ブラックジョークとか出てくるんだって』

「え、全然そんなイメージないんだけど」

『ねー、だからちょっと気になって読んでみよっかなって』

「買うのか?」

「ほら、最近だと買うよりアプリでレンタルとかの方が安かったりするから、全部借りてみた! 結構安かったよ」

「へー」


 差しだされたスマホの画面には、『ちょびほし子ちゃん』の漫画の表紙と、その隣には『レンタル済』や期限の文字が書かれている。


「今日中に全部読もうかなって」

「俺も読んでみたいとは思うけど、一日で全部読もうとするなよ」

「今日だからこそ全部読むんだよ!」

「課題は?」

「……一緒にやろ!」

「……俺にもそれ読ませてくれるなら」

「やった! タブレット持ってくるから! 全部写しちゃお!」

「写させはしないけどな」

「え~……」

「自分で考えないと意味ないだろ」

「ちぇ~……あ、そろそろ行こっか」

「そうだな」

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