1月3日 07:00

「……」

『今日は何の日でしょ~?』

「……おはよう」

『おはよ!』


 今日も着信音に起こされ、スマホを耳に当てたのだが、ついに一言目からクイズを出してくるようになってきた。


「それで、えっと今日が何の日か、だったか。……いや、普通の日だろ。そもそも、昨日のも一昨日のも知らなかったし」

『正解は~?』

「……」


 1月3日……なんだろ。


『ひとみの日、でした~! ぱちぱちぱち~』

「いや落差。そんな語呂合わせみたいな日も選択肢に入るのか?」

『入るよ~! だって瞳がなかったら大変でしょ!?』

「それとこれとは別な気もするけど……じゃあ、瞳を休めるために寝てもいいか?」

『だ~めっ! ほら、ひとみの日だよ、ひとみの日』


 いつの間にかビデオ通話に切り替わって、日々姫の目がアップで映っている。

 ちょっと怖くてスマホを顔から話した後、スピーカーモードにした。


「ひとみの日がどうしたんだ」

『結人の瞳をよく見てみて』

「いや、どういうこと?」


 鏡なんて近くにないんだけど。

 たまに女子がやってるみたいにカメラで見ろと?


『結人の家の洗面所に鏡があるから、そこなら見えるよね!』

「……そして顔を洗えってことか?」

『そうだよ! 目が覚めるでしょ!』

「まわりくどい」

『前みたいに顔洗ってあげよっか~?』

「そんな特殊な過去はない」


 ない、よな?

 お互いの家に泊まったりは何度もあったのは覚えているけど、そのうちの1回くらいはあったのかも?


『じゃ、ランニング行こ!』

「またか……」


 正月から元気だな。

 他の人からすれば俺も元気に見えてるんだろうな。

 実際に元気なのは日々姫で、俺は付き合っているだけなのに。


『これから毎日、だよ!』

「まだ筋肉痛なんだけど」

『なさけないぞ~』

「はいはい、なさけないなさけない。じゃ、情けない俺はもうひと眠りします」

『だ~めっ! これからランニングでしょ~』

「もう頑張ったよ……」

『そんなこと言ってると~』

「……言ってると?」

『言ってると~……』

「なんでそんなにためるんだ……」

『パジャマのまま外に出すよ~』

「しぬ」

『大丈夫! 一緒に走ってあったまろ~! じゃ、私はもう家出たから! すぐ部屋まで行くからね』

「わかったから、すぐ用意するからまって……切れてるし」


 いや、さすがに、ねえ。

 日々姫だってそんなことは……

 でも、確か小さいころの日々姫はこっちの話なんて一切聞かず、手を引っ張って知らない場所に連れて行くような子供だった。

 今はもう成長したんだし……

 ……

 急いで着かえないと!


「来たよ、結人!」

「今着替えてるから!」

「タイムアップ~!」

「ちょ、シャレにならないから! 今パンツだけだから! 後1分! 1分だけだから!」

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