1月1日 07:00

 目を覚ました。

 いつもはアラームをセットしていてもこんなにすっきりと起きれないのに、しっかり目が覚めた。


「ん……?」


 スマホから音が流れている。

 いつものアラーム音ではなく、これは……


『あ、もしもし~。起きた~?』

「……こんな時間にどうした……?」


 日々姫から電話がかかってきていた。


『おはよ! 結人、朝だよ!』

「っおはよう……」


 寝起きだからか、日々姫の声が大きく聞こえ、スマホを耳から少し遠ざけてから返事をした。


「今日は元旦だね! 結人の家は、おせち食べるのかな?」

「……食べると思う」


 たしか……昨日作っていた気がする。

 去年も元旦は朝から食べていたので、今日も食べるはずだ。


「うちはね、お餅も食べるみたい! こういう時しか食べないからね~」

「……」


 やっぱり眠い……


「あー! 寝ようとしてるでしょ~! おーきーてー!」

「……なんで新年最初から早起きしなきゃいけないんだ……」


 多分母さんも父さんも起きていない。


「最初だからこそ、だよ! 今年一年元気に過ごします、って」

「正月は休んでいいんだぞ?」

「もー、そんなに眠いんなら……」


 流石にそうだよな。


「一緒にランニング行く?」

「なんで!?」


 ちょっと目が覚めた。


「目、覚めるよー?」

「嫌だよ、こんな早朝から」


 画面の上部を見れば、7時を少し過ぎたところだ。


「今日は少し遅めでしょ~」

「価値観が違い過ぎる……」


 いつもの休みの日は、もっと遅くまで寝ている。

 登校する日も、7時半に起きれば、1限目が始まる時間には、充分間に合うので、7時に起きることなんてほとんどない。


「早朝のランニングは体にいいんだよ~たぶん」

「たぶんかよ」

「だって私健康だし!」


 ソウデスネ。

 日々姫が病気で学校を休んでいるところを見たことがない。

 一度休んだ時も、部活の何かで休みだと担任が話していた。


「迎え行くからね~」

「え、冗談だよな?」

「まっさかぁ~」

「こっちがまさかだよ!? こんな寒い中、外に出るなんて……」

「体動かせばあったまるよ?」

「それまでが寒いだろ……」

「せっかくだし、ほら! ランニングでおみくじとか引きに行こー! だいたい30分くらいでつけるところに神社あるから!」

「30分って……そんな遠いところ嫌だよ」

「えー。30分だけだよ~」

「30分もだよ!」

「しょうがないなー。じゃー、近所だけにしてあげる! 用意しといてね~」

「はぁ……わかったよ」

「じゃ、あとでね~!」


 通話が切れた。

 仕方ない……

 仕方ない?


「もしかして……はめられた?」


 まさかな。

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