日々姫さんの、もーにんぐこーる

皮以祝

12月31日 23:30

 今日は大晦日。

 両親に連れられて、

近くの小さなお寺にやってきていた。


「あら、刈田かれたさん?」

「こんばんは、石本いしもとさん」


 刈田さん夫婦もやってきていたらしい。


結人ゆいと君もこんばんは」

「こんばんは。お久しぶりです」

「おっきくなったわねー」

「あはは……」


 刈田さんとはお隣同士で、子供の頃は……


「あれ、結人?」


 今、小走りでやってきた、日々姫ひびきとよく遊んでいた。


「久しぶり、ってほどじゃないか~。5日くらい?」

「そうだな」


 今でも同じクラスではあるので、見かける機会はあるけど、話す機会はほとんどなくなってしまった。


「日々姫ちゃん、久しぶりね~」

月子つきこさん! お久しぶりです~」


 日々姫は母さんの方へ話しに行った。

 父さんは日々姫のお父さんと話し込んでいる。


「そういえば、結人君。また学年1位だったんだって? 日々姫から聞いたわよー」

「たまたまですよ」

「はぁー……日々姫も結人君くらい、真面目になってくれればいいんだけどねー」

「そんな、日々姫は陸上頑張ってるみたいですし。全国まで進んだんですよね?」

「いつまで経ってもおてんばなままでねー……」

「お・か・あ・さ・ん~?」


 日々姫が戻ってきていた。


「ほんとに落ち着きがないわね~」

「お母さんが結人に変なこと言ってるからでしょ!?」

「こんな夜中に騒がないの」

「こんなに人がいたら関係ないでしょ~……」

「はぁ……ほんとにこの子は……」

「も~!」


 相変わらず仲はいいみたいだ。


「結人だってね、朝起きれないんだって!」

「ぶっ!」


 な、なんで知って……


「あら、そうなの?」

「いや、あは……お恥ずかしながら……?」

「月子さんに起こしてあげてくれないかしら、って頼まれちゃった~」

「あら、いいじゃない。あんた無駄に早起きなんだから」

「無駄じゃないし! ランニングしてるでしょ!」

「そのあとは、だらだらしてるだけじゃない……玄関の開く音で目が覚めるのよね」

「だってご飯まですることないんだもん」

「もう少し遅くに起きるか、勉強するなり、自分で朝ご飯作るなりすればいいじゃない」

「やだ~」

「はぁ……結人君。こんな子だけど、これからもよろしくね?」

「こっちがよろしくするの! これから起こしてあげるんだから!」

「さっきから何言ってるんだ?」

「? そのままだけど?」


 そのままって……

 起こしに来るってことか?


「いやいやいや……大丈夫だって」

「早寝早起きは元気の源だよ? しっかり起きなきゃだめだよ」

「わかったから、今度から自分で起きるから」

「だめです~。もう頼まれちゃったもんね~」


 本当に、小さいころから全然性格は変わっていない。


「あ」


 周りが一層騒がしくなっていた。

 そんな中、スマホを見た日々姫が声を出した。


「明けたみたい」


 こっちに向けられた画面には00:00と映し出されていた。


「今年もよろしくね、結人」

「今年もよろしく、日々姫」

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